一般用医薬品 第一類医薬品

一般用医薬品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/07 23:43 UTC 版)

第一類医薬品

その副作用などにより日常生活に支障をきたす程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、特に注意が必要なものや、新規の医薬品。後述するスイッチOTCやダイレクトOTCの大部分が該当する。(イブプロフェンは例外で、指定第二類)

第一類医薬品を販売できるのは、薬剤師の常駐する店舗販売業や薬局のみである。薬剤師が、情報提供を購入者に積極的に説明する義務がある。そのため、全ての製品において、広告では「この医薬品は、薬剤師から説明を受け、使用上の注意をよく読んでお使いください」と表示される(ただし、第一類医薬品の風邪薬・解熱鎮痛薬においては表示内容が一部異なる)。このため、店舗販売業において薬剤師が不在になった場合は販売できない。なお、薬局では薬剤師が不在となった場合は、店舗自体を閉める必要がある。

第一類医薬品は薬剤師による情報提供が必要であり、購入者から情報提供不要の申し出があった場合においても、薬剤師が必要と判断した場合には、積極的に情報提供を行わせる必要があること。また、薬剤師以外が情報提供を行うことがないよう(相談は可)、登録販売者または一般従事者から薬剤師への伝達の体制およびその方法を手順書に記載することが望ましいこととされている。なお、法第36条の10第6項で医薬品を購入し、または譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があった場合には適用しないこと。ただし、相談があった場合は全ての医薬品について義務となっている。
店舗における登録販売者および一般従事者による販売・授与は、薬剤師の管理・指導の下で可能とされている[5]

スイッチOTC

これまで医師の処方箋によらなければ使用できなかった指定医薬品(処方箋医薬品)指定の医療用医薬品の中から使用実績があり、副作用の心配が少ないなどの要件を満たした医薬品を薬局などで処方箋なしに購入できるよう、一般用医薬品として認可したものをスイッチOTC薬という。軽い病気や症状はドラッグストアなどで売られる市販薬で治してもらうことで、膨張する医療費を抑制するのが狙いで、風邪薬や胃腸薬、目薬、発毛剤などの製品がある。

1985年に解禁され、水虫治療用の抗真菌外用薬から始まり、イブプロフェン錠、にきび治療外用薬(ペアアクネなど)、ケトプロフェン外用剤、H2ブロッカーなどが1990年代までに市販化された。2000年代に入るとニコレット☆、フェルビナク外用剤、フルコナゾールテルビナフィンなど第二世代の水虫外用薬、ニコチネルパッチ☆、第二世代抗ヒスタミン薬アシクロビル軟膏、肝斑改善を用途としたトラネキサム酸錠剤☆、ジクロフェナクナトリウム外用剤と拡充を続け、2011年にはロキソニン錠が解熱鎮痛剤として市販化されるまでに至っている(☆印は生活改善薬)。

スイッチOTC薬の価格は薬価によりメーカーの言い値が効かない医療用よりも高く、健康保険も適用されないが、医師の診察・検査料や処方箋料などが不要なため、同一の薬剤を処方されるのであれば安く済む事も多く、診察や調剤の待ち時間がかからず利便性が高い。厚生労働省は医療用医薬品のスイッチOTC化を推進しようとしており、さらに今後は高コレステロール、高血圧、高血糖に使用する医薬品もスイッチOTC化することが検討されている[1]

しかし、医学的知識のない者による医薬品の自己使用は病状の悪化をもたらすこともあるので、スイッチOTC製品の使用は薬剤師などに相談しなければならない。2009年からの改正薬事法で第1類医薬品に指定され、薬剤師の情報提供が必要(後に一部製品が第2類に鞍替えされているためこの限りではない。ただし、法第36条の10第6項で医薬品を購入し、または譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があった場合には適用しないことも留意)[6]。生活改善薬を除き服用は短期間に留め、重症の際や服用しても症状がよくならない場合は直ちに医療機関を受診することが勧められる。

2016年度税制改正大綱では、家族合わせて年1万2千円を超える場合、超過した購入費を所得控除できる制度が盛り込まれた。ただし年10万円超の医療費を使った場合に適用される現行の医療費控除制度との併用はできない[7]

ダイレクトOTC

国内において医療用医薬品としての使用実績がない新有効成分含有医薬品を、そのまま一般用医薬品として販売したものをダイレクトOTC薬という。現在のところ生活改善薬である発毛剤のリアップシリーズ(ミノキシジル)とアンチスタックス(赤ブドウ葉乾燥エキス)プレフェミン(チェストベリー)が該当する。購入・使用上の注意点はスイッチOTCとほぼ同じである。

新一般用医薬品

厚生労働省告示第69号(平成19年3月30日)の別表第一に掲げる医薬品以外の第一類医薬品。いわゆるスイッチOTC、ダイレクトOTCの開発と評価のために、使用実態治験(Actual Use Trial: AUT)と市販後調査(Post Marketing Surveillance: PMS)を確実に行うことができるよう指定された区分。 外国における状況と国際的ハーモナイゼーション、具体的には米国FDAの審査手順やWHOの指針に沿う形をとるための措置。セルフメデイケーション(自己治療)には自己判断、自己責任が使用の前提であるので、添付文書とラベルを注意深く読むことが重要であり、添付文書とラベルが理解できる内容であることの重要性が高まっている背景を受けている[8]

要指導医薬品

2014年(平成26年)6月12日に薬事法(当時)ならびに薬剤師法の一部を改正する法律の施行に伴い、第一類医薬品として販売されていた医薬品のうち、スイッチOTC化してから間もなく、一般用としてのリスクが確定していない品目や劇薬指定の品目については、改正に伴って新設された要指導医薬品へ移行となった。要指導医薬品に指定されたスイッチOTC薬については、原則3年で一般用医薬品(第一類医薬品)に移行させることとなっている[9]。 書面による当該医薬品に関する説明を行うことが原則とされているため、インターネット等での販売はできない。

要指導医薬品/新一般用医薬品/第一類医薬品一覧

()内は販売名である。斜体は承認されているが販売されていない販売名。

要指導医薬品

薬剤師の対面による情報の提供および薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なもの(法第4条第5項第3号)として厚生労働大臣が指定するもの[10]。 「要指導医薬品」と、黒枠の中に黒字で(判読できない場合は白枠の中に白字で)8ポイント以上の大きさの文字で表示する。

  • 再審査期間(8年)中のもの
    • 月経前症候群改善薬:チェストベリー乾燥エキス(プレフェミン)
    • 静脈血流改善薬:赤ブドウ葉乾燥エキス混合物(アンチスタックス)
  • 安全性等に関する製造販売後調査期間(6年)中のもの
    ※医療用医薬品の効能または効果は、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛および冷感の改善(抗血小板作用)。高脂血症(血清脂質低下作用)。
  • 安全性等に関する製造販売後調査期間(4.5年)中のもの
    • 消化器官用薬:トリメブチン(セレキノンS、セレノックスS
    過敏性腸症候群治療薬に限る
  • 安全性等に関する製造販売後調査期間(3年)中のもの
    • 消炎鎮痛剤:ロキソプロフェン(ロキソニンSパップ、ロキソニンSテープ、ロキソニンSテープL、ロキソニンSゲル)
    ※外用剤のみ
    ※フェキソフェナジンは小中学生用の製剤に限る
    • 抗真菌薬:クロトリマゾールエンペシドLクリームデリーザLクリーム)、ネチコナゾール(エスエスカンジファクリームフェミディアクリームカンジダカユミノンクリーム
    カンジダ治療薬に限る、クロトリマゾールは外用剤のみ
  • 安全性等に関する製造販売後調査期間(同一又は同等とみなされる既承認品目に承認条件として課される調査期間の残余期間)中のもの
    • 「虫歯予防薬」:フッ化ナトリウム(クリニカ フッ素メディカルコート、クリニカ プレミアムフッ素ケアクリニカアドバンテージ フッ素メディカルコート
  • 劇薬指定のもの

新一般用医薬品

いわゆるダイレクトOTCとスイッチOTC[11]。 第一類医薬品のうち、安全性等に関する製造販売後調査期間(3年)中のもの。全て要指導医薬品から移行したもので、期間は移行日から1年間である。 「第1類医薬品」と、黒枠の中に黒字で(判読できない場合は白枠の中に白字で)8ポイント以上の大きさの文字で表示する。数字は算用数字を用い、漢数字やローマ数字による表記は認められていない。

第一類医薬品

告示により指定されたもの[12]。 新一般用医薬品同様、「第1類医薬品」と、黒枠の中に黒字で(判読できない場合は白枠の中に白字で)8ポイント以上の大きさの文字で表示する。数字は算用数字を用い、漢数字やローマ数字による表記は認められていない。

※オキシコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾールはカンジダ治療薬のみ
  • 強精強壮剤:ジエチルスチルベストロール、ストリキニーネ、テストステロン(グローミン、トノス)、テストステロンプロピオン酸エステル、メチルテストステロン(オットピン、金蛇精(糖衣錠)、ペレウス)、ヨヒンビン
※ヨヒンビンは劇薬に指定されている要指導医薬品を除く、メチルテストステロンは「眉用育毛剤」として販売している製品がある
※2012年5月31日付で劇薬指定を解除
※抗炎症成分として配合されている場合は除く
  • 禁煙補助剤:ニコチン(シガノンCQ透明パッチ、ニコチネルパッチ)
※貼付剤のみ
  • 発毛剤:ミノキシジル(リアップ)
  • 消炎鎮痛剤:ロキソプロフェン(エキセドリンLOX、コルゲンコーワ解熱鎮痛LXα、バファリンEX、ロキソニンS、ロキベール)
※一般用医薬品では「解熱鎮痛薬」となる

また、2016年9月21日に、体外診断用医薬品のうち、一般用黄体形成ホルモンキットが新たに「第一類医薬品」に指定された(指定に伴い、既に「第二類医薬品」で承認されている体外診断用医薬品については、一般用グルコースキット、一般用総蛋白キット、一般用ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンキットを対象とするように規定された)。一般用黄体形成ホルモンキットは排卵日予測検査薬(ドゥーテストLHa、ハイテスターH、チェックワンLH・II排卵日予測検査薬)として販売されている。


  1. ^ ただし、雑貨などを販売するドラッグストアなどはスーパーなどと同じように混む時間帯があるため、そのような場合は実質的に詳しく説明をしている余裕がないという実情がある。そのため、ほとんどの場合はただ販売するだけという形になりがちである。
  1. ^ a b セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について(平成14年11月8日) 一般用医薬品承認審査合理化等検討会 中間報告書(厚生労働省)
  2. ^ 厚生労働省. “薬事法の一部を改正する法律の概要 (PDF)”. 2010年7月18日閲覧。
  3. ^ 「薬事法施行規則」(厚生省令第1号)第209条の2(ただし、この条文の改正施行日は2009年6月1日(「薬事法施行規則の一部を改正する省令」(厚生労働省令第109号)による))、厚生労働省法令等データベースシステム(2009年5月8日閲覧)
  4. ^ 試験問題の作成に関する手引き第4章薬事関係法規・制度p203下段(v)
  5. ^ 薬事法の一部を改正する法律等の施行等について」(平成21年5月8日薬食発第0508003号医薬食品局通知(平成23年5月13日最終改正)159条14項関係
  6. ^ 薬事法
  7. ^ http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201512/CK2015121102000147.html 東京新聞
  8. ^ セルフメディケーションを視野に入れた 新一般用医薬品の開発と評価 http://homepage3.nifty.com/cont/27sup/OTC.html
  9. ^ [1] (PDF) 2014年6月13日閲覧
  10. ^ 要指導医薬品(厚生労働省)平成26年10月25日更新
  11. ^ 新一般用医薬品(厚生労働省告示第69号(平成19年3月30日)の別表第一に掲げる医薬品以外の第一類医薬品)一覧(平成26年10月25日現在)
  12. ^ 第一類医薬品
  13. ^ 第五章 医薬品の販売業および医療機器の販売業等の第一節 医薬品の販売業 第36条6項4号
  14. ^ 「薬事法の一部を改正する法律等の施行等について」(平成21年5月8日薬食発第0508003号医薬食品局通知(平成23年5月13日最終改正)159条14項関係
  15. ^ 乱用等のおそれがある医薬品
  16. ^ 「薬事法の一部を改正する法律等の施行等について」(平成21年5月8日薬食発第0508003号医薬食品局通知(平成23年5月13日最終改正)
  17. ^ 厚生労働省 医薬品等安全対策部会 平成21年5月8日発表







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