一般生活で使用する機器からの電磁波による影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 13:46 UTC 版)
「心臓ペースメーカー」の記事における「一般生活で使用する機器からの電磁波による影響」の解説
一般生活で使用される機器の電気化・電子化・ワイヤレス化に伴い、これらの機器からの電磁波が人体や植込み型心臓ペースメーカーシステムに到達する機会は増えてきている。 一般生活で使用または接近する可能性のある機器のうち、厚生労働省・総務省・不整脈デバイス工業会より植込み型心臓ペースメーカーへの電磁波の影響について注意喚起されている機器の例として、以下のようなものがある。 携帯電話 - スマートフォン 無線LAN - Wi-Fi - Bluetooth IH炊飯器・IH調理器 - 電子レンジ 漏電している機器 低周波治療器・高周波治療器 電気風呂 体脂肪計 スマートキーシステム 電子商品監視装置(EAS機器。図書館や店舗などの盗難防止装置等) ワイヤレスカードシステム(SuicaやPASMOなどの交通系ICカード、セキュリティカード等) RFID機器(電子タグの読み取り機) ワイヤレス電力伝送 全自動麻雀卓 空港の金属探知機装着者は、保安検査を受ける際にペースメーカ手帳あるいはICD手帳を係員に提示して、金属探知器を用いない方法での検査を受けるようにとのアナウンスがされている。 など また現在普及が進んでいる電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電に用いられる急速充電器から発せられる電磁波が影響を与えることも懸念されている。 2010年の総務省の調査では、携帯電話やPHSの発する電波は、ペースメーカーの動作には大きな影響が見られないことが発表された。ただし、旧型の携帯電話端末や心臓ペースメーカーが使用されている可能性を踏まえ、「携帯電話端末の使用及び携行に当たっては、携帯電話型端末を植え込み型心臓ペースメーカー装着部位から22cm以上離すこと」とした、平成9年度の指針は現在でも妥当であるとしている。 2013年1月、総務省は距離指針を改正し、15cmに緩和し、「満員電車などでは電源を切るよう配慮することが望ましい」という1文を削除した。2Gの携帯電話では影響が考えられたが、3GやLTEではほとんど影響がないとされ、2014年7月関西地区の私鉄とJRでは携帯電話電源オフ規制は「混雑時、優先席付近だけ」とした。2015年10月、東日本旅客鉄道をはじめとする東日本地方の鉄道会社各社も、「車内での通話は控え、混雑時のみ電源を切る」方針に改めた。 東京女子医大循環器内科の庄田守男臨床教授は、規制が正しい理解を妨げるとしている。 過去には以下のような事例がある。 1996年と1997年に不要電波問題対策協議会(現:電波環境協議会)が「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話等の使用に関する指針」が公表され、この中で協議会が収集したデータに基づく暫定指針として、「携帯電話はペースメーカー装着部位から22cm以上離すことが望ましい」とされた。 2000年に(社)電波産業会が総務省からの委託調査の結果として「ペースメーカーと携帯電話を22cm以上離すこと」は妥当であるとして発表。 2003年頃まで公共交通機関等でもペースメーカーへの影響を理由とした携帯電話使用の制限に関するアナウンスが行われていたが、現在は「ペースメーカー」という言葉は削除され、マナーを重視したアナウンスされている。
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