タックス・ヘイヴン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 01:12 UTC 版)
日本とタックス・ヘイヴン
軽課税国とは、日本から見た場合に定められる基準税率(20%)を下回る場合に該当するものである。例としてはシンガポール(法人税率17%)などが当てはまる。この税制による徴税は、日本における二重課税ではなく、対象国と日本の税率の差異に相当する額に対して追加課税される仕組みである。
この時対象となる課税所得は、日本法人の株式保有割合に対応する部分であり、対象国の所得を日本でのものとみなして、日本で合算課税することとなる[22]。なお2010年度の税制改正によって、地域統括会社に対してはタックス・ヘイヴン対策税制の適用要件が緩和されている[23]。
2010年にバミューダと脱税防止協定を結んだのを皮切りに、他のタックス・ヘイヴンとされる国家と協定を結んでいる[24]。以下が協定を結んだタックス・ヘイヴン。
2015年1月19日に日本経済新聞が「海外の口座情報監視」と報道、日本国政府は日本に居住しながら、世界に隠し資産を持つ「富裕層による租税回避の監視」を強化する方針を出した[36]。40カ国を超す税務当局と連携して、日本に住む人が、世界に持つ預金などの口座情報を捕捉し、2018年から個人番号と連動して国税庁に情報集約させるものである。ケイマン諸島など、イギリス領の租税回避地(タックス・ヘイヴン)の協力も得る。国境を越えた租税逃れに国際連携で対抗する。
パナマ文書(タックス・ヘイヴンの利用者を明らかにした文書)には、日本の個人として楽天の三木谷浩史、セコムの飯田亮、UCC上島珈琲の上島豪太などの名が掲載されていた[37]。企業としては、世界的な規模で活動する商社・郵船会社・衣料品会社・通信会社・玩具会社・音楽配信企業など、色々な企業名が掲載されている[37]。
対策
2017年から、経済協力開発機構加盟の先進諸国と協定を結んだ、タックス・ヘイヴンの国家や地域での金融口座の残高などを、先進諸国の税務当局に自動的に送付する仕組みを導入する。OECD加盟国の日本では、2014年に5,000万円以上の資産が、世界にある国内居住者に資産内容の報告を義務付ける「国外財産調書制度」を導入している[3]。
注釈
出典
- ^ デジタル大辞泉
- ^ a b ズックマン 2015, pp. 10-11, 53-54.
- ^ a b [1]
- ^ ズックマン 2015, pp. 10-11.
- ^ [2]
- ^ “租税回避マネー”を追え 〜国家vs.グローバル企業〜 | NHK クローズアップ現代
- ^ ルーシー・クラーク・ビリングズ (2016年4月12日). “世界最悪のタックス・ヘイヴンはアメリカにある” (日本語). ニューズウィーク日本語版 2016年6月29日閲覧。
- ^ a b c 清水憲司 (2016年6月7日). “トランプ氏、クリントン氏も活用 米国の「租税回避地」”. 毎日新聞 2016年9月13日閲覧。
- ^ 清水憲司 (2016年6月4日). “米デラウェア州2階建てビルで31万社租税回避の怪”. 毎日新聞 2016年9月13日閲覧。
- ^ ズックマン 2015, pp. 111-112.
- ^ Shafik Hebous(2011) "Money at the Docks of Tax Havens: A Guide", CESifo Working Paper Series No. 3587, p. 9
- ^ ズックマン 2015, pp. 127-128.
- ^ ズックマン 2015, pp. 109-110.
- ^ ズックマン 2015, pp. 74-77.
- ^ ズックマン 2015, pp. 122-125.
- ^ ズックマン, サエズ 2020, pp. 1661/3959.
- ^ EU 租税回避1兆ユーロとの闘い | BS世界のドキュメンタリー | NHK BS1
- ^ [3]
- ^ [4]
- ^ いわゆるタックスヘイヴン・ブラックリスト。2009年5月19日付
- ^ EU、タックス・ヘイヴンのブラックリストを承認-韓国など17地域指定 Bloomberg 2017年12月5日 23:04 JST
- ^ [5]
- ^ [6]
- ^ 日・バミューダ租税協定の署名
- ^ 日・バミューダ租税協定の発効
- ^ 日・香港租税協定の発効
- ^ a b 脱税の防止のための情報の交換 及び個人の所得についての課税権の配分に関する 日本国政府とケイマン諸島政府との間の協定(略称:日・ケイマン租税協定)
- ^ 日・英領バージン諸島租税情報交換協定の発効
- ^ 日・サモア租税交換協定の発効
- ^ 日・マン島租税情報交換協定の発効
- ^ ジャージーとの租税協定の発効
- ^ ガーンジーとの租税協定の発効
- ^ 日・マカオ租税情報交換協定の発効
- ^ 日・リヒテンシュタイン租税情報交換協定の発効
- ^ 日・パナマ租税情報交換協定の発効
- ^ [7]
- ^ a b [8]
- 1 タックス・ヘイヴンとは
- 2 タックス・ヘイヴンの概要
- 3 概説
- 4 判定と対策
- 5 日本とタックス・ヘイヴン
- 6 出典・脚注
- タックス・ヘイヴンのページへのリンク