パラダイス文書
イギリス領バミューダにある法律事務所から流出したとされる、タックスヘイブン(租税回避地)への資産預け入れに関連する資料群の総称。およそ1340万件の電子文書からなる。パラダイス文書は南ドイツ新聞によって入手され、2017年11月に国際調査報道情報ジャーナリスト連合(ICIJ)を通して公開された。
パラダイス文書からは世界中の著名人の名が見出されており、世界の超富裕層が租税回避に関与していたことが窺われる。鳩山由紀夫はタックスヘイブンに資産を預け入れるどころか、同地に設立された法律事務所の役員に就任していたことが明らかになっている。
タックスヘイブンの存在やタックスヘイブンへの資産の預け入れは、それ自体が不正行為というわけではない。しかしながら、租税を回避することは本来なら受け入れるべき課税を避け、自国への資産の還元を拒み、超富裕層が富の大半を持つ寡占状態につながる。ここに挙った名は半ば汚名のような扱いを受けやすい。
パラダイス‐ぶんしょ【パラダイス文書】
パラダイス文書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 03:28 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動パラダイス文書 Paradise Papers |
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パラダイス文書に記載される政治家や
公人とその親族の所属国(赤) |
パラダイス文書(パラダイスぶんしょ、英: Paradise Papers)は、国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ) と加盟報道機関によって2017年11月5日一斉に公表された、タックス・ヘイヴン取引に関する約1340万件の電子文書群である[1][2]。
オフショアリング支援を手がける企業などから流出したもので、複数の人物が南ドイツ新聞に提供し、ICIJがデータベース化した[2]。国際的な調査報道プロジェクトが組織され、67の国と地域、96の報道機関から記者382人が参加してデータの分析や取材にあたった[1][3]。
流出文書約1340万件の内訳は下記のとおりである。
- イギリスの海外領土バミューダ諸島などを拠点とするアップルビー法律事務所の内部文書683万件[4]
- シンガポールの法人設立サービス会社アジアシティトラストの内部文書56.6万件[4][5]
- バハマ、バルバドス、マルタなど19の国と地域の登記文書604万件[1][4]
これまでに明らかにされた顧客の企業や個人の数を国別に分けると、アメリカ合衆国31000余、次いでイギリス14000余で、日本は1056であった[1]。うち国家的要人は、47か国127人にのぼっている[2]。日本の有名人として、元首相の鳩山由紀夫、元総務副大臣の内藤正光[6]、参議院議員の山田太郎[7]や漫画家の鳥山明が挙げられる[8][9]。
脚注
- ^ a b c d “米商務長官に新たな「ロシア疑惑」 国際調査報道”. NHKニュース. 日本放送協会 (2017年11月6日). 2017年11月7日閲覧。
- ^ a b c “パラダイス文書「U2」ボノ氏の名も 1340万件入手”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2017年11月6日). 2017年11月7日閲覧。
- ^ “【パラダイス文書】世界380人の記者が連携、合同取材し一斉報道”. 産経新聞. 産業経済新聞社 (2017年11月7日). 2017年11月10日閲覧。
- ^ a b c “最大流出元「ハッキング受けた」 パラダイス文書”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2017年11月6日). 2017年11月10日閲覧。
- ^ “Paradise Papers' Singapore Connection”. finews.asia (2017年11月6日). 2017年11月10日閲覧。(英語)
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2017年11月6日). “【タックスヘイブン】「パラダイス文書」に鳩山由紀夫元首相ら元国会議員3人 香港拠点企業の役員に” (日本語). 産経ニュース. 2019年4月4日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “パラダイス文書 追跡 疑惑の資産隠し|NHK NEWS WEB”. www3.nhk.or.jp. 2019年4月4日閲覧。
- ^ “鳩山元首相、タックスヘイブンの企業から5年で7千万円:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2019年4月4日閲覧。
- ^ “パラダイス文書って何? 鳥山明さん、鳩山由紀夫・元首相の名前も” (日本語). ハフポスト (2017年11月6日). 2019年4月4日閲覧。
関連項目
- オフショア・リークス(2013年4月、約13万件)
- ルクセンブルク・リークス(2014年11月)
- スイスリークス事件(2015年2月)
- パナマ文書(2016年4月、約1150万件)
- バハマ文書(2016年9月、約130万件)
- キプロス文書
- パンドラ文書
- 経済的不平等
- 租税回避
- オペレーション・カー・ウォッシュ
外部リンク
- パラダイス文書(英語) - 国際調査報道ジャーナリスト連合
- パラダイス文書(ドイツ語)(英語) - 南ドイツ新聞
- パラダイス文書(英語) - ガーディアン
- パラダイス文書に関するトピックス - 朝日新聞デジタル
- 疑惑の島「パラダイス文書」 - 朝日新聞
パラダイス文書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 01:23 UTC 版)
「ゲンナジー・トゥルハノフ」の記事における「パラダイス文書」の解説
2017年に公開されたパラダイス文書にオデーサ出身のギャングについてのデータがあり、トゥルハノフがそのギャングの一員であったとBBCが報じた。石油産業で財を成したが、ソ連崩壊後の1990年代後半に麻薬や武器の密輸の疑いでイタリア警察の捜査対象となり、トゥルハノフも身元を特定されていた。
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