OYQシリーズとは? わかりやすく解説

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【OYQシリーズ】(おーわいきゅうーしりーず)

日本海上自衛隊艦艇搭載されている戦術情報処理装置
現時点での最新モデルは、あきづき型護衛艦搭載OYQ-11であるが、平成24年度配備される19500トン型護衛艦には新型のOYQ-12が搭載され予定である。

システムの変遷

システム黎明期からの流れ大まかに示すとこのようになる

  1. デジタル・コンピューターの利用NYYA-1導入
  2. デジタル・コンピューターによる武器管制一元化OYQ-1OYQ-2)
  3. 初の国産CDS開発ASWCS国内開発、2CPUの採用OYQ-3OYQ-4
  4. COTS計算機導入と全武器システムデジタル連接
  5. アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダー(AESA)方式FCS(FCS-3)専用CDS開発OYQ-10OYQ-11

以下にその変遷示しておく。

前史

戦術情報処理装置、つまり戦闘艦搭載され軍用コンピュータの歴史第二次世界大戦にまで遡る
1946年エニアック」と呼ばれる真空管コンピュータ開発された。
48年にはトランジスタ開発され民生用コンピュータ大きく躍進したものの、アメリカ海軍作戦本部などは情報漏洩を防ぐために、民間とは別に軍用規格コンピュータ開発した
1956年には海軍NTDS(Naval Tactical Data System)の開発本格化させると共にコンピュータ平行して開発され58年にはUSQ-17、60年にはCP-642A、69年にはUYK-7開発されて行くことになる。

日本におけるデジタルコンピュータの導入

海上自衛隊初めデジタルコンピュータ導入するのは38DDG「あまつかぜ」が発端となった
当時高性能防空システムであったターター・システムアナログ式のもので、第1世代ミサイル護衛艦として建造された同艦においても同じものが搭載された。

その数年後建造されたDD「たかつき」では初の本格的なデジタルコンピュータによる戦闘指揮システム(CDS)がアメリカ海軍UNIVAC監修のもとで搭載された。
これはNYYA-1呼ばれCICでの要務担当したが、武器とは連接されていなかった。

第1世代OYQシリーズの開発

あまつかぜ」の後継ターター・システム発展型であるターターD・システム搭載されることになった46DDG「たちかぜ」に搭載されCDSOYQ-1である。OYQ-1は別名WES(Weapon Entry System)と呼称され、戦闘情報処理武器管制一元化した画期的なシステムNTDSにほぼ準じるものにはなったが、イージス艦のようにコンピュータ意思決定行わず算出され脅威評価オペレーターによって処理されていた。

第2世代ミサイル護衛艦たちかぜ2番艦「あさかぜ」では日本国産のFCS-2ECMソナーなどと関連させるために日本独自技術が必要とされ、OYQ-1修正したのがOYQ-2である。

3番艦「さわかぜ」と第3世代ミサイル護衛艦はたかぜ型では、OYQ-2発展型のOYQ-4搭載された。搭載コンピュータ新型UYK-7UYK-20になったほか、先程国産兵器との連接が可能となった。このOYQ-4がOYQシリーズでCDS呼ばれる初の機種となった

これとは別に戦後対潜対策に力をいれてきた海上自衛隊で護衛艦隊対潜中枢艦として建造された50DDH「しらね」ではこれまでとは経緯がことなるOYQ-3搭載された。
しらね型護衛艦当初からRIM-7高性能20ミリ機関砲(CIWS)などを備えるなど防空能力には優れたものの、武器との連接なされていなかった。
このためCDSとは呼ばれずに、TDPS(Tactical Data Processing System)と呼ばれる所以であるが、当艦よりリンク11リンク14衛星通信システム搭載されOYQ-4でも同様のものが搭載された。このOYQ-3/4でデータリンク整備が行われたといえるだろう。

第2世代OYQシリーズの開発

1980年代建造され汎用護衛艦はつゆき型は、初の国産CDS搭載した艦で、TDS(Target Direction System)とも呼ばれた
海上自衛隊プログラム業務隊三菱電機との共同開発による本型は当初から戦術データリンク武器との連接なされていた。
しかしながら搭載されはつゆき型排水量3000トンあまりと小型だったために大型コンピュータUYK-7搭載断念し小型UYK-20中心に据えた
この結果リンク11処理能力不足のために搭載できず、変則的ではあるが代わりにデータリンク14受信する形をとった。

OYQ-5発展型で、次級のあさぎり型護衛艦搭載されOYQ-6では、UYK-20処理能力の向上が図られリンク11搭載可能になったほか、対空戦強化のために対空レーダーとの連接これまで独立していた電子戦システムとの連接実現した
また国産哨戒ヘリコプターSH-60J搭載に伴い、ヘリコプター・データリンク「リンク60」とその洋上端末であるORQ-1システム連接された。
この結果OYQ-3発展型としてFRAM改修時にヘリコプター護衛艦はるな」「ひえい」にバックフィットされた。
OYQ-7では従来までのSFCS-6(対潜攻撃指揮装置)からソナーデータリンクからの情報統合できるOYQ-101 ASWDS(Anti Submarine Weapon Direction System:対潜情報処理システム)が導入され、のちにOYQ-6搭載艦にもバックフィットされた。

第3世代OYQシリーズの開発

あさぎり護衛艦ののちに汎用護衛艦として建造されむらさめたかなみ型護衛艦ではイージス武器システム(AWS)のシステム・アーキテクチャ見習いハードウェア新型UYK-43、UYK-44に換装された。
これがOYQ-9であるが、むらさめ型からたかなみ型への若干設計変更(VLS規格統一主砲大型化など)によりシステム面でもOYQ-9Cとしたほか、4番艦「さざなみ」からはQ-70シリーズ分散処理方式導入して艦内限定的ではあるがLAN敷きさらには5番艦「すずなみ」では新型リンク16対応し、また同時に新型哨戒ヘリコプターSH-60Kとのデータリンクにも対応している

OYQ-9ののちには海自防衛省・技術研究本部共同開発したATECS(Advanced Technology Combat System)のもとにOYQ-10開発された。
OYQ-10新型国産射撃指揮装置FCS-3対応した革新的なもので、平成19年度計画されあきづき型護衛艦搭載OYQ-11にもこのシステム継承されている。
なお、OYQ-10に関してヘリコプター運用円滑化させるために「航空支援ターミナル」が設けられている。

平成22年度計画されている19500トン護衛艦では、新開発のOYQ-12が搭載されることになっている

国産CDSの例外

なお、国産CDS例外としては、イージス艦がある。
イージス艦ドクトリン管制による脅威評価攻撃指示等をつかさどる「C&Dシステム(Comand and Direction)」、自艦武器システムおよび航空機等の攻撃管制を行うWCSWeapon Control System)と対空・対水上目標捜索探知追尾する「AN/SPY-1レーダー」はすべてロッキード・マーティン社から輸入している。

システム詳細については、各項を参照されたい。

シリーズ

型番名称搭載艦艇
NYYA-1-
たかつき
たかつき型1番艦)
OYQ-1WESWeapon Entry System)&br:たちかぜ
たちかぜ型1番艦)
OYQ-2TDSTarget Designation System)&br:あさかぜ
たちかぜ2番艦)
OYQ-3TDPS(Tactical Data Processing System
しらね型護衛艦
OYQ-4CDSCombat Designation System)/TDS
さわかぜ
たちかぜ3番艦)
はたかぜ型護衛艦
OYQ-5TDS-3
はつゆき型
ゆうばり
いしかり
OYQ-6CDS
あさぎり護衛艦
(1~3番艦)
はるな(FRAM改装後)
OYQ-7CDS
あさぎり型護衛艦
(4~8番艦)
ひえい(FRAM改装後)
あぶくま型護衛艦
OYQ-8-1号型ミサイル艇
はやぶさ型
「はやぶさ」(OYQ-8B)、2~6番艦(OYQ-8C)
OYQ-9CDSむらさめ型護衛艦
たかなみ型護衛艦
(1~3番艦)
OYQ-9D/ECDS
さざなみすずなみ
たかなみ型護衛艦4番艦・5番艦)
OYQ-10ACDSAdvanced Combat Designation System
ひゅうが型護衛艦
OYQ-11ACDSあきづき型護衛艦
OYQ-12ACDS19500トン型護衛艦



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