【F/A-18】(えふえーじゅうはち)
McDonell Douglas F/A-18"Hornet(ホーネット)".
アメリカのマクダネル・ダグラス社(現ボーイング社)が開発した、艦上戦闘攻撃機。
愛称の「ホーネット」は、スズメバチを意味する。
現在アメリカ海軍、アメリカ海兵隊の主力戦闘攻撃機である。
本機のルーツは、1970年代にノースロップ社がF-5の後継として開発した「P530『コブラ』」であった。
この機は、アメリカ空軍のLCF(低価格戦闘機)競争試作に「YF-17」としてエントリーしたが、ジェネラル・ダイナミクス社のYF-16に敗れて一度「お蔵入り」となる。
しばらく後、アメリカ海軍でNACF(海軍空戦戦闘機)計画が立ち上がったが、海上運用時の安全確保の見地から、海軍が単発のYF-16を拒否したため、双発のYF-17をベースとした艦上機の開発が決まった。
しかし、ノースロップには艦上機開発の経験がなかったため、マクダネル・ダグラスとの共同開発となり、最終的にはマクダネル・ダグラスが主契約社となった。
後に、マクダネル・ダグラス社はボーイング社に吸収合併されたため、現在はボーイング社のブランドとなっている。
当初は戦闘機型のF-18と攻撃機型のA-18が別々に生産される計画だったが、同一の機体で両方の任務をこなせる多目的戦闘機となったため、F/A-18のナンバーが与えられた。
但し「F-18」と「A-18」の名は同一機体になってからもしばらく残っており、「F/A-18」になるまでは戦闘機の任務に従事する機体を「F-18」、攻撃機の任務に従事する機体を「A-18」と呼んでいた。
初期型のA・B型に加え、火器管制能力を向上させてAIM-120やAGM-65などを運用できるC・D型が開発されたが、その後、海軍でF-14やA-6が退役すると、それらの後継としては航続能力や兵装量が不足するため、機体を大型化して燃料搭載量やハードポイントの増加など、各所に改良を施したE・F型が開発され、現在配備が進んでいる。
なお、E・F型の呼称として、メーカーなどの通称 SuperHonet(スーパーホーネット) 、現場兵士などの愛称Rhino(ライノ)が挙げられる。
また、EA-6Bの後継となる電子戦機型として、複座のF型をベースにしたEA-18Gの開発も行われている。
アメリカ以外ではカナダ、スペイン、オーストラリア、クウェート、スイス、フィンランド、マレーシアの各国空軍が使用している。
映画「インデペンデンスデイ」の主役機やアメリカ海軍のアクロバットチーム「ブルーエンジェルス」の機体としても有名である。
スペックデータ
乗員 | 1名(A/C) 2名(B/D) |
全長 | 17.07m |
全高 | 4.66m |
全幅 | 11.43m |
主翼面積 | 37.2㎡ |
空虚重量 | 12,973kg(A/B) 10,810kg(C/D) |
最大離陸重量 | 21,888kg(A/B) 23,542kg(C/D) |
エンジン | GE F404-GE-400ターボファン(推力7,258kgf)×2基(A/B) GE F404-GE-402ターボファン(推力8,145kgf)×2基(C/D) |
最大速度 | マッハ1.7+(A/B)/マッハ1.8(C/D) |
航続距離 | 3,700km(フェリー時) 約537km(戦闘行動時)(C/D) |
実用上昇限度 | 15,240m(C/D) |
固定武装 | M61A1 20mmバルカン砲×1門 |
兵装 | 下記兵装を7,031kg(E/F型は8,051kg)まで搭載可能。 空対空ミサイル:AIM-9,AIM-7,AIM-120 空対地ミサイル:AGM-65,AGM-123,AGM-158 空対艦ミサイル:AGM-84 対レーダーミサイル:AGM-88 爆弾/ロケット弾ポッド: AGM-154「JSOW」滑空誘導爆弾 各種クラスター爆弾 ペイブウェイレーザー誘導爆弾 JDAM Mk.80シリーズ CBU-72 FAE LAU-10 ズーニー 5インチ ロケットランチャー LAU-68 ハイドラ70 ロケットランチャー B-57/61戦術核 |
バリエーション(カッコ内は生産機数)
- YF-17「コブラ」:
F/A-18の原型機。
- F/A-18A/B:
初期型。B型は複座型で当初はTF-18の名称だった。
- CF-18A/B(138機):
CF-104の後継として導入されたカナダ空軍向けの機体。CF-188A/Bとも呼ばれる。
外見上ではM61A1機関砲の装填ドアに取り外し可能なライトを搭載しているほか、フォルスキャノピーが書かれている点が主な識別点である。
- AF-18A/B(75機):
オーストラリア空軍向けの機体。
- EF-18A/B(72機):
スペイン空軍向けの機体。C.15およびCE.15とも呼ばれる。
- F/A-18(R):
機関砲を撤去し、カメラを搭載した偵察機型。
- X-53:
NASA・アメリカ空軍研究所(AFRL)・ボーイングの「ファントムワークス」がF/A-18をベースに共同で開発(改造)したAAW実験機。
- F/A-18C/D:
A/B型のアップグレード型。
AN/AVQ-28 ラスター・スキャン型HUD、AN/AAR-50TINS、カラー多機能表示ディスプレイ、カラー・デジタル自動移動地図などのシステムが装備されているほか、暗視ゴーグルの利用も可能となった。
またレーダー目標指示/距離測定システムを持つ前方監視赤外線ポッドも装備され始め、レーダー誘導爆弾の投下能力、各兵器の精密誘導投下が可能となった。
- KAF-18C/D(40機):
クウェート空軍向け機体の非公式名称。
- F/A-18E/F「スーパーホーネット」:
1999年より配備されたF/A-18C/Dの発展型。
航続距離や兵器搭載能力の向上を図り、機体の大型化やステルス性を考慮した改修がなされている。
- F/A-18E/F Block 2:
F/A-18E/Fのアップグレード型。
搭乗員ステーションの改良やAN/APG-79AESAレーダー、多機能情報分配システム (MIDS) 、発達型目標指示前方赤外線 (ATFILR)ポッドの装備能力、AIM-9Xの装備能力などが追加される。
- EA-18G「グロウラー」:
EA-6B「プラウラー」電子戦機の後継機として開発された機体。愛称はうなる者の意。
複座のF/A-18Fをベース機としており、後席には電子妨害士官(ECMO)が搭乗する。
AN/ALQ-99戦術妨害装置(TJS)ポッド、AN/ALQ-218(V)2無線周波受信システム、通信対抗手段セット(CCS)を搭載し、AGM-88 HARM対レーダーミサイルの運用能力を持つ。
- F-18L:
ノースロップが主契約となる輸出バージョン。
降着装置の簡素化や主翼折りたたみ装置の撤去、翼下パイロンの増設や簡略化した電子機器を搭載する等、YF-17とF/A-18を足して2で割ったような機体となっている。
モックアップのみで製作されず。
F/A-18 (航空機)
(F/A18 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/30 17:41 UTC 版)
アメリカ軍所属のF/A-18
- 1 F/A-18 (航空機)とは
- 2 F/A-18 (航空機)の概要
F/A-18(キートン(初代))
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:27 UTC 版)
「ソニックウィングス」の記事における「F/A-18(キートン(初代))」の解説
特徴として、ショットのフルパワーアップ状態は25秒間保てる。サブショットは「スネークナパーム」、特殊武器の「F.A.E.」は火力の高い気化爆弾である。
※この「F/A-18(キートン(初代))」の解説は、「ソニックウィングス」の解説の一部です。
「F/A-18(キートン(初代))」を含む「ソニックウィングス」の記事については、「ソニックウィングス」の概要を参照ください。
F/A-18
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 02:34 UTC 版)
2018年8月13日に米海兵隊の要求によりF/A-18CへのAN/APG-83の搭載可能性を実証。ノースロップ・グラマンは、F/A-18C/DのAN/APG-73レーダーをAESAレーダーに置き換えるためにレイセオンのAN/APG-79(V)4と競合しており、選定されれば海兵隊の100機のF/A-18C/Dのレーダーをアップグレードする予定としていたが、敗れている。
※この「F/A-18」の解説は、「AN/APG-83」の解説の一部です。
「F/A-18」を含む「AN/APG-83」の記事については、「AN/APG-83」の概要を参照ください。
F/A-18(R)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 10:05 UTC 版)
「F/A-18 (航空機)」の記事における「F/A-18(R)」の解説
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