関西国際空港と経営統合後から現在まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:10 UTC 版)
「大阪国際空港」の記事における「関西国際空港と経営統合後から現在まで」の解説
これまで大阪国際空港の運営は国(国土交通省)が行ってきたが、前節で述べた議論を経て、2012年7月1日に、大阪国際空港は関西国際空港と経営が統合され、新体制がスタートした。経営統合にともない、大阪国際空港の運営は、大阪航空局大阪空港事務所から新関西国際空港株式会社へ引継がれ、大阪国際空港は会社管理空港となった。これを機に、大阪国際空港・関西国際空港の正式な協力態勢が打ち出されることとなった。従来の両空港同士の足を引っ張り合うような政策は見直され、両空港の協力による航空需要の拡大が進められることになった。例えば、上述のとおり、これまで関西国際空港に配慮して大阪国際空港の空港機能を規制してきたが、経営統合をうけて大阪国際空港の規制を緩和し、利便性の高い都市型空港として 活性化を行う方針が打ち出された。大阪国際空港の利益をもって、関西国際空港の財政の健全化も進められた。 大阪国際空港の規制の緩和は、航空機の運用面から始まり、経営統合後の2012年12月3日に、国土交通省、新関西国際空港株式会社、地元自治体の間で協議会が開かれ、2012年当時計170枠あったプロペラ機枠を低騒音機に限ってジェット機にも順次開放することで合意した。この結果、2013年には低騒音機枠が設けられ、ジェット機の運用拡大が実現し、機材大型化にともなう大阪国際空港の利用者増へとつながるなどの成果を上げた。また、関西国際空港へ移管されていた長距離路線(1,000 km超の路線)も、経営統合を機に大阪国際空港へ一部復便した。他にも混雑時間帯における単位時間あたりの発着回数制限も緩和されるなどの空港活用策が打ち出された。 「#発着枠」も参照 2014年1月17日、大阪国際空港は開港から75周年を迎えた。このころには経営統合により大阪国際空港の収益強化体制がさらに推し進められ、当初の経営統合のもくろみ 通り、大阪国際空港は巨額の負債にあえいでいた新関西国際空港の財政基盤を支える重要な存在となった。1月23日には記念のセレモニーが行われ、この席では空港のゆるキャラのマスコットが発表された。このキャラクターの名前は公募の結果「そらやん」と名付けられた。 経営統合・民営化の次なるステップとしてコンセッション方式による関西国際空港と合わせた空港運営権の民間への売却が行われ、2016年4月1日、オリックスとヴァンシ・エアポート並びにパナソニック・阪急阪神ホールディングス・りそな銀行等が出資する空港運営会社「関西エアポート株式会社」による運営が始まった。空港の新経営体制開始にあたり運用時間の延長などの規制緩和を求める意見があがっていたが、関西エアポート社長は大阪国際空港の現状の制約とこれからについて述べたうえで「伊丹の新たな歴史をつくる」と制約の見直しを含めた空港活性化への姿勢をみせた。また、運営開始時の記念式典でも「(まずは関西国際空港に注力したが)大阪国際空港も関空と同様に強化を図る」と述べ、関西国際空港とあわせた2つの空港を1つのシステムとして経営する考えを明らかにした。 再国際化に向けた動き 一部の国会議員 や地方自治体の首長、有識者 などには再度の国際化を求める声があるほか、地元商工会議所などの連合からなる団体も将来の国際線就航に向けた規制緩和を要望している。首都圏では、大阪国際空港と同じく定期国際線がなかった ものの「国際」の文字を冠していた東京国際空港が、成田空港の容量不足を補う形で2010年に再度の本格的な国際化を遂げた。この動きを見て、これらの大阪国際空港の活用推進派は、関西国際空港との経営統合による規制緩和で「大阪国際空港にも再国際化のチャンスがある」と期待を膨らませている。産経新聞は論説記事で「大阪国際空港と関西国際空港のそれぞれのポテンシャルを活かすのが肝要であり、都市部に近い大阪国際空港ではビジネス客をターゲットとして国際線を再導入するべきである」と、学識者の見解を引用して発表している。 2018年9月には台風21号により関西国際空港が被害を受けた事から、代替として伊丹・神戸両空港で国内線の臨時便が運航した。同月7日には、国土交通省は被害の早期復旧のため、関西国際空港の国際線の一部を一時的に大阪国際空港に振替するという対策プランを発表した。実際に日本航空が2018年10月17日と21日に香港国際空港発着の国際線臨時代替便を運航を計画し 国際線用のCIQや保安検査用の設備も置かれたが、関西空港が早期に復旧したため設備は未使用のまま撤去され幻に終わった。 ターミナルビル改修 2014年9月2日には、50年来使用してきた大阪国際空港ターミナルビルの改修の実施が発表された。これは、2015年から2021年にかけて窓口や搭乗口などの動線を見直すなどの大規模改修となることとなった。下記の点について増改築を行うことが発表されている。 出発動線関連大阪空港駅とターミナルビルをシームレスにつなぐペデストリアンデッキを新設し、2階保安検査場まで階層移動が不要に バス降車場の出発ターミナルビルの前への再配置(チェックインカウンターや保安検査場までの移動はよりスピーディーに) 駐車場とターミナルビルの間の横断歩道部分にルーフを設置し、雨の日もぬれずに移動可能に セキュリティーチェックや出発手続きに、インラインスクリーニングシステムを導入 セルフバゲージドロップの導入等も検討 保安検査場を拡張し、待ち時間を短縮 搭乗口までのムービングサイドウォークの設置 小型機対応フィンガーの新設(MRJ等の小型機の利用時にも搭乗橋でスムーズに乗降可能に) 到着動線関連到着口を中央2階に集約し、新設ペデストリアンデッキにより各交通機関にダイレクトに接続(次の目的地に向けてスピーディーな出発が可能に) 到着ロビーおけるIT・デジタルサイネージによりる交通情報提供システムの設置(利用者の各交通機関の選択を的確にサポート) その他利用環境の整備到着口の集約に合わせ、新しく3階まで吹き抜けの到着ロビーを開設(中央2階) 到着口を見下ろせるロビースペース、カードラウンジ、ビジネスサポートセンターも備えた空間を新設(中央3階) ゲートラウンジの全面リニューアル、段差の解消や点字・多言語の案内標識の整備を実施(ユニバーサルデザイン対応) 全館Wi-Fiの導入 2018年4月18日に中央ブロックの一部が開業し、到着口が1か所に集約される。 2022年3月16日 一部時間帯の気象観測で完全自動化(実施時間:4/1-10/31 1200(Z)-2159(Z),11/1-3/31 1200(Z)-2144(Z))を開始
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