競輪の誕生とは? わかりやすく解説

競輪の誕生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 17:32 UTC 版)

競輪」の記事における「競輪の誕生」の解説

太平洋戦争終結後競輪公営競技として開催されるようになった。元満州国官吏(後に国策会社社員となる)の海老澤清(海老澤清文)と、久留米連隊所属し後にGHQで働くことになる元陸軍大尉倉茂貞助本名倉茂武)の2人が、東京有楽町に「国際スポーツ株式会社」を設立したことで始まる。 当初第二次世界大戦敗戦に伴う大陸南方からの引揚者に、宝くじ利益をもとに住宅建設構想練っていた海老澤思惑と、湘南海岸一大レジャーランド建設構想し世界屈指の観光地とする構想描いていた倉茂の思惑それぞれあったが、海老澤構想描いていた「住宅建設宝くじ」を取り入れる形で、「自転車産業復興サイクルスポーツ振興」を大義名分として、戦前日本各地人気博していた自転車レース競馬倣って賭け対象にし、その収益金をもとに戦後復興役立てることはできないものかと考え出されたのが後の競輪であった。もっとも、後の競輪国際スポーツ株式会社運営で行うのは不可能と分かり立法として取り上げてもらうべく働きかけた。 2人は、後に日本自転車振興会連合会会長となる、日本社会党所属代議士であった林大作出会うことになる。戦前三井物産社員であったが、財閥解体貿易国営を主張したものの受け入れられずに1942年昭和17年)に退社その後交易営団移り1947年昭和22年4月25日行われた総選挙当選果たした前述通り三井物産時代貿易国営を唱えており、国家事業重要性考えていた2人提案気に入り、その話を当時日本社会党委員長でもあった片山哲首相に提言したところ、片山も「それは面白い」と乗り気になり、やがて日本社会党中央執行委員会同意して法案作りへと進むことになった。 しかし、この草案に対してGHQがいったんは許可下ろしながらも、すぐさま白紙撤回する騒ぎとなったGHQ説いていた地方分権相反する思われたからである。それに対して日本社会党は、GHQ地方分権案に同意。それによりGHQも草案を認め自転車競技法として国会審議へと入った1948年昭和23年6月26日衆議院本会議可決し参議院へと法案送られたが、同年7月1日自転車競技法参議院でも可決し成立同年8月1日より施行されることになった敗戦直後1946年昭和21年)、気持ち暗く沈んでいた日本国民明るくしようと、第1回国民体育大会近畿各地開催される。その国民体育大会1948年昭和23年10月第3回福岡県開催されることとなったが、莫大な経費嵩む自転車競技場建設には県内のどの自治体及び腰であり、自転車競技開催危ぶまれるという事態に陥った。これを回避すべく、小倉市が「人気種目野球小倉市開催するということ条件に、抱き合わせする形で自転車競技場建設名乗り挙げたのだったその後自治体戦後復興費用捻出および自転車産業の発展目的として自転車競技法1948年昭和23年8月成立同年11月20日地方財政健全化経済情勢全般健全化自転車産業の振興掲げ国体会場でもあった小倉競輪場において第1回競輪競走開催され、ここに競輪誕生した第1回小倉競輪競走では、単勝式複勝式2種類車券発売された(連勝式発売は、同年12月11日開催され大阪府府大競輪場大阪住之江競輪場)が最初)。車券売り上げの中から25%控除され、更にその中から必要経費差し引いた額が自治体等財源となるわけだが、ノウハウもなく全て手探りの状態で始められ小倉競輪はいきなり赤字となる可能性もあり、税収が殆どなく職員支払え給料もままならなかった時代では正に競輪開催そのもの賭けであったという。 第1回小倉競輪予想上回る成功をおさめ、財政難打開の手段として 競輪開催しようとする動き他の地方自治体波及し第1回小倉競輪以降2年間で50上の競輪場建設され1953年開設静岡まで63競輪場開設された。 だが主催者不慣れであった点、選手へのルール理念教育の不足、GHQ全国的な運営母体認めなかった点などから運営不手際生じ一時中止追い込まれるなど波乱の歴史を持つ。 この立法運営側曖昧さ競走自体においても風圧を受けるトップが不利を蒙るという特殊な面が、逆に観客選手による独自のローカルルール生んだ今日公営競技において競輪道」と呼ばれる精神性を語らせては競輪右に出るものはないが、反面わかりづらい」「情実優先の展開レース」という批判根強い。しかし、作家阿佐田哲也色川武大)はこの競輪特殊性故に競輪こそギャンブルの王様」と呼んでいる。

※この「競輪の誕生」の解説は、「競輪」の解説の一部です。
「競輪の誕生」を含む「競輪」の記事については、「競輪」の概要を参照ください。

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