新幹線中止道路単独架橋問題とは? わかりやすく解説

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新幹線中止・道路単独架橋問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 15:06 UTC 版)

大鳴門橋」の記事における「新幹線中止・道路単独架橋問題」の解説

1978年昭和53年3月9日建設運輸国土3省庁は、大鳴門橋道路単独への変更固め4月鉄道建設審議会にて本四淡路線削除することとした。「国鉄財政悪化しているのに、開通見込み立たない鉄道併設するのはおかしい」との異論以前から政府部内にあったのである山地進運輸省鉄道監督局国有鉄道部長は、1978年昭和53年3月28日 参議院建設委員会で「四国新幹線、いまの大阪から大分に至る新幹線というのがいつできるかということについては非常に見通すことがむずかしい問題一つになってきております。いま整備五線というすでに整備計画のできているものについても、一体これは財源問題含めましてどういうことになっていくのかということ議論されているわけでございますが、その他の計画路線についてはさらに時間がかかる問題だろうと思うわけでございますこういうことを考えてみると、一体その併用部分の金というもの、まあ六百億ぐらいの負担国鉄せざるを得ないわけでございますが、これが四国新幹線できない間、まさに何ら効果生まないままに置くということは金利毎年積み重なってまいりますので、これは国鉄、それから本四公団についても大変な圧迫要因になる。こういうことを考えまして、一体この併用というものについてもう一回見直すべきじゃないだろうかという議論をわれわれの方でいたしまして今後も本四における鉄道部分というのは、新幹線で行くにしても併用であることが必要なかどうかということで、とりあえ私どもとしては、単独考え方というものは一体いままで経緯から見て認められるものかどうかかような観点国土庁並びに建設省といろいろお話をしているというのが現状でございます。」と答弁している。 一方住田正二運輸省鉄道管理局長は「新幹線併用造るには、全部新幹線計画が決まらなければならない大鳴門橋はともかく世界最長つり橋になる明石海峡大橋新幹線乗せることは、騒音対策含め技術的に極めて困難だ。それに新幹線はいつできるかわからない。21世紀までむずかしいという見方もある。併用にすると赤字国鉄が約4割の費用負担し利子だけでも大変。21世紀まで通らないなら、そのとき別にトンネル掘った方が安くつく」と説明している。 「徳島県では当初運輸省のこんな計画変更案に対しやむをえない」との空気支配的だった武市恭信同県知事3月県議会で「早期完成最優先」と弱気答弁したほどだ。あまり新幹線こだわってそのもの完成遅れたのではもとも子もなくなる、との心配も手伝って運命は「単独」に決まったかに見えた。」と四国関係者道路単独合意するところであった。 これに対して地元徳島県選出三木武夫元首相反発し道路単独阻止動いた鉄道建設審議会会長であった中曽根康弘淡路島等を地盤とする原健三郎中曽根派)等へ働きかけるとともに自民党総裁選での三木派による中曽根支援の動きもあった。 「政治家地元への利益誘導を慎むべき」としている三木氏のこんなハッスルぶりに地元喜んだびっくりしたり、と異例行動であったことを報じている。 この三木動きに対しても、「運輸省は「三木さんは併用造っておけば、将来新幹線を引く”人質”になる、とお考えようですが、たとえ併用になって人質にはなりませんよ。本土四国間の新幹線計画神戸鳴門ルートのほかに、岡山坂出高松高知ルート計画あります」と冷ややかだ。」としている。結果的に運輸省当局思惑のとおり大鳴門橋は”人質”にはならず明石海峡大橋道路単独となった1978年昭和53年12月12日自民党国鉄基本問題調査会は、大鳴門橋は「新幹線にこだわることなく工事促進する」ことを決め大平正芳首相高木文雄国鉄総裁等に道路単独での架橋申し入れたその際巨額赤字抱えた国鉄財政再建の面から、新幹線建設は無理と運輸省国鉄反対しているため、併用主張する建設省対立」と報じており、国鉄財政面から大鳴門橋への新幹線敷設反対していたことがわかる。 1979年昭和54年1月に「総工費対す道路負担部分増やし新幹線建設費極力切り詰めて併用とすることで、建設省運輸省間で合意した。」「なお、新幹線は「単線載荷方式」とすることとし複線にはするものの、上下線の電車いっしょに通らないように配慮し工事費切り詰めることとした。」 「道路」1985年昭和60年6月号に掲載され対談大鳴門橋建設振り返って」において、松崎彬麿は「結局は載せる鉄道の火は消さない。ただ、複線載荷単線でいこう、かつ、鉄道載せるために将来でもできる仕事は、今回極力やるまい、鉄道載せるための手当て最小限のことしかやっておくまい」と述べている。また、将来新幹線を通す際には補剛桁の主構トラス下弦材を取り換え鉄道新たに設置する必要がある」とあるよう実際に鉄道敷設するには相当ハードルが高いのが実情である。 本州四国連絡橋公団総裁であった山根孟は、神戸-鳴門ルート鉄道についての「経営上はどうですか。」との問いに対して「備讃線でもう精一杯ではないでしょうか。備讃線でさえ止めようと話が出たくらいですから。」と答えている。 本四淡路線鉄道施設建設要した費用は、長期借入金係るものとしての債務総額602700万円本州四国連絡橋債券係るものとしての債務総額232億3700万円合計、約292億6400万円となっている。この他鉄道側の維持管理費として毎年度共用部分維持管理費の4.5%分を鉄道側が負担している。これらは本来は国鉄負担するべきものであったが、国鉄民営化に伴い日本国有鉄道清算事業団日本鉄道建設公団)が債務負担することとなった。 これらの鉄道係る費用について運輸省外郭団体編纂した日本国有鉄道民営化に至る15年」では、「大鳴門橋については現状では全くの埋没費用となっており、投資決定責任の所在問われるべき」としている。 本四淡路線鉄道施設は、日本高速道路保有・債務返済機構第12条2項に基づき本州四国連絡橋公団より建設途中にある鉄道資産建設仮勘定)として日本高速道路保有・債務返済機構承継し、33,107,794,306円が建設仮勘定計上された。しかし、「昭和60年以来建設20年余にわたり中断されている状況鑑み当初基本計画から完成著しく滞っていると認められたため、減損の兆候認めました。さらに、現状においてこの状況大きく変わる状況に無いことから、減損認識することとし帳簿価額備忘価額まで減額しております。」とされ、現在の簿価1円となっている。一方国土交通省大鳴門橋維持管理係る経費のうち鉄道負担分に対し年間34百万円(2017年平成29年実績)を税金負担している。

※この「新幹線中止・道路単独架橋問題」の解説は、「大鳴門橋」の解説の一部です。
「新幹線中止・道路単独架橋問題」を含む「大鳴門橋」の記事については、「大鳴門橋」の概要を参照ください。

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