教育論とは? わかりやすく解説

教育学

(教育論 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/17 00:51 UTC 版)

教育学(きょういくがく、: Pedagogy, Studies of Education: Pädagogik, Erziehungswissenschaft)は、教育に関する研究、または教育という事象を対象とする学問

概要

教育学には、学習者こどものみならず成人も含む)、教育施設学校)、教育技術教授法)、教育課程教育評価教育制度、教育に関する権利義務教育行政教育法令、教育に関する理念歴史などについての理論的・実践的研究が含まれる。第二次世界大戦以前は「教育学」という語で教育心理学教育社会学などと区別された教育の現象や理念に関する一般的な思弁的研究を指していたことから、現在でもそのような意味で用いることがある。

教育学は翻訳であるが、その元となった単語の1つであるpedagogyは、元々ギリシア語で「こども」を意味するpaidosと「導く」を意味するagoから作られたpaidagogikeに由来する。当時の哲学的な教育に関する研究を経て、時代を重ねることによって、教育学の領域は拡大してきた。それに伴って、教育の研究が科学的な手法に基づくべきであるという教育科学概念も生じている。また、一部では「こどもの教育学 (pedagogy)」(ペダゴジー)と「大人の教育学 (andragogy)」(アンドラゴジー)とを対比させるむきもある。なお、pedagogyは、現在の英語圏では教授学教授法の意味で用いられることが多く、教育学一般を意味するには教育そのものと同じeducationや教育の研究を意味するeducational researchなどが用いられることが多い。

教育学は、基本的には、よりよく生きることのできる人間を育成する活動という研究対象によって定義され、研究方法によって定義される学問ではない。教育学は、哲学歴史学社会学心理学法学行政学経営学などの諸学問を基礎に据え、あるいは応用することで、さらなる発展と新しい視点を獲得してきたと言える。そのため、ときに個の「」としての堅牢さが不十分であるとか、学問のアイデンティティーが未完成であるとかという指摘を受けることがある。例えば、哲学教育や心理学教育といった教育体系は成立し得るが、教育学に関する教育体系としての教育学教育や、あるいは教育学に関する教育を学問的に考究する教育学教育学などのような学問の成立にまでは至っていない。

一方、このアイデンティティーが未完成な状態の中にこそ、教育学の特質を見いだそうとする捉え方もある。教育学では、教育という媒介項を基に学際的知見を成立させることも可能である。このような学際性こそが教育学の特徴的な個性であり、教育の現象を論じるためには不可欠な態度であるとも言える。古来より、どのような社会にも教育は不可欠であり、教育に関する専門的知見は常に必要となる。その限りで教育学は不滅の学問である。もっとも、不滅の学問として単に学問的な伝統を維持することが重要なのではなく、必要に応えるべく高度な知的生産や探求の継続が求められる。

また、教授学教材論、教育課程論などのような主題的な分野においては、「教育学における共通事項」というようなものが見られると言われることがある。

著名な教育学者

教育学の研究課題

教育学の研究課題には、次のようなものが含まれる。

教育学の歴史

古代、中世においては、しつけや何かの知識、例えばラテン語の教え方のようなものを表していたが、宗教改革期に教育学者コメニウスによって、初めて近代的な教育学のひな型が作られた。コメニウスの『大教授学英語版』は、世界最初の体系的教育学概論書といわれている[1]。『大教授学』は、すべての人に教育を届けるためラテン語に翻訳され[2]、子供向けの教科書『世界図絵』という世界で最初の絵入り学習百科事典が付されていた。

近代の教育学は、18世紀以降のルソーペスタロッチらによる教育論の展開を起点とすることがある。近代の日本における教育学は欧米の教育学の輸入として始まり、日本で初めて本格的に教育学を論じた書は、後に東京高等師範学校長となる伊沢修二の『教育学』(1882年)であった。

教育学の各分野

基礎・理論

方法・技術

現場・実践

  • 教育経営学(経営学系)
  • 学校経営学(経営学系)
  • 教師教育学
  • 教員養成論

教科教育学

教育段階別等

個別領域

社会教育

家庭教育


脚注

関連項目

外部リンク


教育論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 02:54 UTC 版)

田澤義鋪」の記事における「教育論」の解説

田澤青年団を「自然に発生した創立者なき団体」「郷土同じくする青年友愛の情を基盤とする共同生活集団」と定義づけていた。また、青年教育について画一主義注入主義払拭し、自由創造精神をもって青年には自ら考えさせ、自ら修養させ向上させるべき」という持論があり、自己磨き自己成長させるのは、結局は自身による修養しかないという事を愛情持って気づかせることが教育者使命であるとした。 戦前、ことに進学率低かった明治期青年団に対しては、学校教育補助教育機関という位置づけのもと、文部省主導講習会映画当時活動写真)会、通俗図書閲覧などによる教育実施されていた。田澤考え方はこれらと一線を画すものであり、これは現在における青年団意義さらには生涯学習考え方にも通ずるところがある。 1914年大正3年)、郡長務めていた田澤は、地方改良運動一環として安倍郡千代田村(現静岡市沓谷)の蓮永寺において、18歳から26歳青年団員を対象とした講習会実施する。この講習会最大特徴参加者講師におよそ一週間共同生活課したであった。その意図は、寝食ともにする事によって相互友愛精神芽生え相手尊重しあい、個人意見集約し集団意見作り上げ、そして集団寄与し貢献することによって自己の存在意義実感し義務感責任感培うところにあった。 田澤考案したこの「宿泊講習」は、テント天幕)を共同生活の「宿舎」とする「天幕講習」だった。1915年からは、教化団体修養団がこの天幕講習取り入れ田澤1922年までこれに参加した。この宿泊形式講習会実践し続けることで、修養団活動全国的なブームとなり、「労使協調」を模索する渋沢栄一団体協調会労務者講習会へと発展した田澤は同会の常任理事務めたこのような宿泊研修考え方戦後青年団事業にも受け継がれており、現在もこの理念則った青年リーダー養成事業日本青年館日本青年団協議会共催事業として行われている。(日本青年団協議会については、田澤理想から大幅に逸脱し政治団体化」している点に関して小さくない非難の声がある)

※この「教育論」の解説は、「田澤義鋪」の解説の一部です。
「教育論」を含む「田澤義鋪」の記事については、「田澤義鋪」の概要を参照ください。

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