建築とランドスケープとは? わかりやすく解説

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建築とランドスケープ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/02 21:12 UTC 版)

モダニズム」の記事における「建築とランドスケープ」の解説

建築においては過去装飾用いた様式建築否定するウィーン分離派デ・スティルバウハウスなどの動向から、やがて合理的機能的な建築理想考え近代建築運動起こったル・コルビュジエミース・ファン・デル・ローエフランク・ロイド・ライト世界近代建築の3巨匠とされ、日本では前川國男やその弟子である丹下健三らが代表的な建築家として挙げられるモダニズム建築)。 一方でランドスケープ近代は、ゆっくりと姿を現しつつ出現する。その要因こそ、ランドスケープ植物という生物相手の造形領域であることと深くかかわっている。第一に植物成長時間要し第二植栽設計よりもその維持管理形態決めるからである。まさにランドスケープ歴史は、いつの時代植物の歴史そのものである。 20世紀通じて世界中で最も好まれランドスケープは、いわゆる自然風景式庭園様式」である。この根強い人気は何ゆえ人気なのかという最大理由は、建築からの外的圧力正面性記号性を否定した近代建築にとって、控えめな「地」を演じてくれる自然風植栽好都合だったのであり、ランドスケープは、フレッチャー・スティール自著(F. Steele (1930): New Pioneering in Garden Desi Landscape Architecture、October.)で述べた「木が木でありつづけた。ゆえにランドスケープ近代化されえなかった」のではなく、「自然風であること」を強要されたゆえに近代実現できずにいたと結論されている。 ところが広域計画植生分布から読み替えられ、空間造形言語新し構成獲得していた。植生からその形態言語劇的に見直されたのがむしろランドスケープ・プランニング論においてであったイアン・マクハーグの「デザイン・ウィズ・ネイチャー」においてである。その手法はじつに科学的近代的であり、その表象生態的であった生物生息形態物差しとして土地利用とらえようとする科学的思考法を、宇宙衛星観測電算処理という当時先端技術をもってひとつの手法にした点で、「デザイン・ウィズ・ネイチャー」は時代画した科学的データから浮かび上がる植生分布有機的形態は、軸と幾何学組み立てられ都市計画一気過去のものとしてしまう説得力をもち、都市計画法根本的に見直視点与えたのである。 じつは植物生態分布沿う都市再編は、近代ランドスケープの祖、フレデリック・ロー・オルムステッドにより20世紀初頭にすでに行われている。たとえばボストンの「エメラルドネックレス」である。それは、ボストン郊外人為的形態ではなく水系にそった植生連続規定しようとしたもので、衛生福祉といった社会問題解決だけでなく、その有機的形態パークウェイという交通システム翻訳するという離れ業でもあった。都市に緑をという一元的発想ではなく近代の問題複合的に解く植生提案だったのである広域計画このように植生生態域から見直されるという展開を遂げていた一方空間デザイン領域での植栽新し言語たりえるようダン・カイリーたち先駆者らが1940年代頃から積極的に新し庭園構成試みる。そのほとんどが、近代建築打ち立てた空間様式を、列植、ボスクなどの植栽言語用いて実現することであったといって過言ではないが、その集大成1955年ミラーハウス庭園である。そして建築平面様式読み替えも、それが植栽特有の光と影パターンとなって立ち現れたとき、新しい庭のあり方人々予感させずにはおかなかった。なぜなら、列植は列柱とは異なり生垣は壁体とは異なる。季節に応じて量を変える落葉樹はその透明性変化させ、列植は頭上樹冠広げるとき、空間重合を可能とする。新し樹木配列は、新し構成生み出しただけでなく、新しい光と影の空間言語可能性示唆した。まさに木は木であり、いつまで木であり続けることにより 建築にはなしえない近代空間表現生まれたともいえる。 更に1960から70年代にかけてミニマリズム環境アート実験があり、そこにランドスケープアーキテクト初期追い求めていたリズム環境アートのなかの植物の扱い方を見ることができる。例えば「木材という彫刻素材は、もとは樹木である」などの作品製材という工程を自らの制作過程にとり入れたディビッド・ナッシュは、J.アンドリューによると(J. Andrews (1996) : The Sculpture of David Nash, p. 57、The Henry Moore Foundationミニマル形態に向かう彫刻家意志と、樹木という生物偶発的形態交差点位置している。そしてミニマリズム・アートは「修辞否定の上位置し近代視覚美術一概形態からすべての物語性排除するかたちが、ヨーロッパディーター・キーナスト次世代ピーター・ウォーカーらによりランドスケープ展開されたとき、それはあらため植物という生物素材特質際立たせることになった。すなわち極限まで純化され配列中において、植物はその生物として形態価値-ひとつとして同じ形のものはありえないことを顕在化させたのである一方ジョージ・ハーグレイブス環境アート植物への関心埋立地再生公園河川敷整備自生植物偶発性ゆだねるという手法として展開した環境アート多く植物の生物として特質個体差偶発性そして増殖発想多く得ており、制度への反駁構造への反問形態言語をつくり出したことに着目したのである

※この「建築とランドスケープ」の解説は、「モダニズム」の解説の一部です。
「建築とランドスケープ」を含む「モダニズム」の記事については、「モダニズム」の概要を参照ください。

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