子どものためのピアノ曲集南の風とは? わかりやすく解説

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平吉 毅州:子どものためのピアノ曲集《南の風》

英語表記/番号出版情報
平吉 毅州:子どものためのピアノ曲集南の風作曲年1984年 

作品解説

2008年6月 執筆者: 齊藤 紀子

 まだ手の小さい子どもが、ペダルを使わなくても弾ける曲を、というコンセプトのもとに作曲された曲集である。1984年出版された。作曲者47歳時のことである。合わせて24の曲からなりそれぞれの曲には、タイトル付けられている。また、楽譜には、挿絵添えられている。

第1曲目 <夕顔(ゆうがお)の花(はな)が咲(さ)いたよ> やさしく ヘ長調 4分の4拍子
 メロディー和音からできており、全体的に音域ピアノ中音域に集められている。メロディーは、主に右手が弾くものの、途中で左手メロディーを弾く場面みられるメロディーの各フレーズ終わりは、2分音符音価となることが多く語りかけるかのようである。この曲の作曲者は、この2分音符長さ十分に保つように注意促している。

第2曲目 <さようなら> やさしく ト長調 4分の3拍子
 アウフタクトで始まるこの曲は、右手メロディーを、左手ワルツ思わせるような伴奏を弾く。この左手伴奏は、3拍目に休符おかれることが多くアウフタクト特徴的なメロディーひき立てている。この曲の作曲者は、メロディーの1拍目にアクセント付かないよう、そして、左手はゆれる感じを表すように注意促している。

第3曲目 <ルルの子守(こもり)唄(うた)> やさしく ヘ長調 4分の4拍子
 右手と左手会話をする場面と、右手と左手一緒に話す場面とがある曲。この曲の作曲者は、レガート美しく、そして透きとおった響き求めるように注意促している。

第4曲目 <月夜(つきよ)のコロボックル> 明るく活発に ホ長調 4分の3拍子
 コロボックルとは、アイヌ語で、フキ)のの下に住む人という意味がある右手が弾くメロディー左手合いの手を打つ場面と、右手と左手一緒に音楽進め場面がある。また、この曲の終わり近くになると、ヘミオラになる場所がある。この曲では、主に、1拍目にテヌートが、その他の拍にスタッカート付けられている。作曲者は、このスタッカートを軽いタッチで弾くように注意促している。また、前述ヘミオラ部分については、2分の3拍子感じ一息前進するように注意促している。

第5曲目 <北国(きたぐに)のおはなし> やさしく イ短調 2分の2拍子
 この曲集で初めての短調登場する音階的音の動き中心に作られている。中間部では、ハ長調音階現れる。この曲の作曲者は、1つ1つ音のタッチをそろえ、音楽前に進む感じを常にもつように、注意促している。

第6曲目 <(な)の花(はな)がゆれる> やわしく、ゆれるように ハ長調 4分の3拍子
 前半は、右手アウフタクト先行する形でメロディー弾き始める。左手は3拍目に休符がおかれ、タイトル表されているような「ゆれる感じ」をかもし出している。この曲の作曲者は、休符の前の拍にあたる第2拍目が短くなりすぎないように、注意促している。
 後半は、メロディーの息の長さ長くなり、おもむきが少し変化する

第7曲目 <カンガルー一家(いっか)のピクニック> あかるくはずんで イ長調 2分の2拍子
 スタッカート多用し右手と左手交互に弾くこの曲は、軽やかさが感じられる。この曲の作曲者は、前半を4小節1つまとまりであることを意識すること、時折みられる8分音符音階転ばないようにすることを呼びかけている。

第8曲目 <波(なみ)のたわむれ> やさしく ハ長調 4分の4拍子
 この曲には、とびうお飛び魚)の挿し絵添えられている。そして、ダ・カーポ記号による3部形式書かれている中間部変イ長調転調し、クライマックスを築くように構成されている。全体的に右手と左手フレーズ長さが違うつくりとなっているが、この曲の作曲者は、右手と左手の波は大きさ表情も違うこと、4分の4拍子のこの曲を2分の2拍子感じで弾くことを呼びかけている。

第9曲目 <ロバート・シューマンの夢(ゆめ)を見(み)た> 流れるように ニ長調 2分の2拍子
 この曲の、音を残しながら和音響き作っていく手法は、シューマンの手法を思い起こさせる。そして、そのようにして作られる最後和音は、「レ・ミ・ファのシャープ・ラ
・シ」の5つの音で構成されているが、ニ長調主和音構成する「レ・ファのシャープ・ラ」が響くところに、「ミ・シ」の付加音が足されるため、これら5つの音を同時に弾いたときのように、にごった響きとはならない。この曲の作曲者は、4小節1つまとまりをなすフレーズ3回続いた後、中間部14小節という長いフレーズとなっていることに注意促している。

第10曲目 <どんぐりが踊(おど)っている> 明るく、元気よく ハ長調 4分の4拍子
 スタッカート付点リズム特徴的な曲。また、半音階的音の動き多用している。冒頭テーマ再現する前には、必ずポコ・リタルダンドの指示付け加えられている。この曲の作曲者は、はずむリズムくずさないようにすること、また、スタッカートがかたすぎたりすぎたりないようにすることを呼びかけている。

11曲目 <悲(かな)しい夢(ゆめ)> 悲しげに ロ短調 4分の3拍子
 息の長いフレーズ中に同じ音を続けて弾く同音連打含まれている曲。常にレガートで、そして、非常に表情豊かに弾く指示添えられている。指使い変えながら音をおさえる部分もあり、そのような点で「難しい」曲である。この曲の作曲者は、レガートで同じ音を繰り返すタッチ大切さ呼びかけている。

12曲目 <(かえる)の親子(おやこ)がポカポカ散歩(さんぽ)> のどかに ト長調 4分の4拍子
 右手が弾くこの曲のメロディーリズムは、ほがらかである。そして、強拍休符がおかれた左手がその味わい深めている。中間部では、親子ほほ笑ましい会話をする。この曲の作曲者は、この会話ユーモラスに暖かい気持ちで弾くこと、また全体的にスタッカート鋭くなりすぎないようにすることを呼びかけている。

13曲目 <チロお葬式(そうしき)> 悲しげに ニ短調 2分の2拍子
 この曲には、小犬チロお墓挿し絵添えられている。「レ・ミ・ファ」の3つの音の間を行きつ戻りつする音形が、沈んだ気持ち表しているように感じられる。この曲の作曲者は、そのような音形を左手が弾く部分重くなることのないように、注意促している。

14曲目 <四月(しがつ)のセレナーデ> やさしく 変ロ長調 8分の6拍子
 この曲は、ところどころ半音階的音の動き散りばめられている。また、後半左手音域がやや上がり気持ち高揚表しているように感じられる。この曲の作曲者は、メロディーアウフタクトについたテヌート重くならないように、注意促している。また、メロディーレガートきれいに歌う事の大切さ呼びかけている。

15曲目 <スタレガ・ラプソディ> 活発に 変ロ長調 4分の2拍子
 スタッカートレガート対比特徴的な曲である。中間部左手は、シンコペーションリズム中心としている。この部分は、右手メロディー時折シンコペーションリズムとなる。この曲の作曲者は、シンコペーション重くなることなく、前へ進むように注意促している。

16曲目 <サヴァンナをゆく> おちついて ハ短調 2分の3拍子
 曲全体通してみられる主要なモティーフがある。このモティーフスタッカート支配的である。中間部コーダには、このモティーフに対して長い音価を保つ音が現れる。この曲の作曲者は、スタッカート短くなりすぎないよう、また、広い空間広がる音を思い浮かべるよう、呼びかけている。<サヴァンナをゆく>というタイトルは、空間意識した響き大切にしてほしいという作曲者思い表れ考えられる

17曲目 <メトロノームティータイム> 軽くはずんで ト長調 2分の2拍子
 この曲のタイトルは、機知富んでいる。作曲者は、メトロノームのように機械的なテンポ弾いて楽しくないこと、音楽の自然な流れ大切にすることを呼びかけている。レガート部分スタッカート部分もあり、それらは右手と左手の間で対比されることもある。

18曲目 <仔(こ)(ねこ)の午睡(ひるね)> 流れるように 変イ長調 4分の2拍子
 この曲には、ソファ寝そべる仔猫挿し絵添えられている。主に、右手シンコペーションを、左手拍節にあった4分音符を弾く。この曲の作曲者は、やや気だるく甘やか弾きシンコペーションアクセントつかないように注意促している。

19曲目 <骸骨(がいこつ)達(たち)の陽気(ようき)な行進(こうしん)> 歯切れよく ト長調 4分の4拍子
 この曲のリズムおどけている。右手左手も、ほぼ全体通して、このリズム一緒に弾く。この曲には、一列並んで前へ進んでいく骸骨達の挿し絵添えられているが、そのうち最初2人手をつないでいる。作曲者は、全身の力を抜けばリズム難しそうに見えるこの曲も楽しく弾くことができ、奇妙な明るさを味わうことができると呼びかけている。

20曲目 <見捨(みす)てられた小舟(こぶね)> 流れるように 変ロ長調 8分の6拍子
 左手先に弾き始める曲である。右手と左手メロディー伴奏という関係ではなくどちらも舟歌リズムを弾く。この曲の作曲者は、レガート美しく弾くこと、右手と左手2度ぶつかり合うところを丁寧に弾くことを呼びかけている。

21曲目 <秋(あき)の舟歌(ふなうた)> ゆれるように 嬰へ短調 4分の5拍子
 前の曲と同様に左手先に弾き始める。この左手は、オスティナートとなっている。右手は、このオスティナート乗り音価長くフレーズの息も長いメロディー歌い上げる作曲者は、左手オスティナート音楽を運ぶためには、緊張を保つ必要があることを呼びかけている。

22曲目 <赤(あか)い月(つき)とこびとの踊(おど)り> 少しおどけて、しかし、やさしい気持ち失わないで イ短調 4分の3拍子
 まず、右手と左手が1拍ずつ交互に弾く。中間部になると、上声メロディー探知ながら、左右の手和音伴奏を弾く。作曲者は、この中間部音楽流れ停滞しないようにすること、スタッカート鋭くならないようにすること、アクセント付いたfが乱暴にならないようにすることを呼びかけている。

23曲目 <南(みなみ)の風(かぜ)> やさしくさわやかに ニ長調 8分の6拍子
 この曲のタイトルは、この曲集のタイトルにもなっている。半音階的音の動きがたくさ用いられている左手伴奏乗って様々な音程自由に組み合わせた右手メロディー歌われる中間部では、右手メロディーにも半音階的音の動きみられるうになる作曲者は、この中間部乱れながら盛り上げ、そして沈んでいきながら再現部へとつながる感じ音楽的に表現するよう、注意促している。

24曲目 <ジャングルの闇(やみ)の中(なか)に> おちついて ヘ短調 
 この曲は、4分の4拍子、4分の5拍子、4分の6拍子、4分の9拍子の間で何度も拍子変化する。そして、そのような変化をまたがるように、小節線越えて保たれる長い音価みられる。この曲の作曲者は、拍子めまぐるしい変化惑わされることなくフレーズまとまり考えて弾くよう、注意促している。

25曲目 <つくしんぼうがうたった歌(うた)> 軽やかに 変ホ長調 8分の12拍子
右手と左手1つライン紡ぎだしていく曲。作曲者は、左右の手分散して弾く和音を、最初まとめてコラールのようにして弾き、この曲の和声に十分親しんでから譜面どおりに弾く練習方法薦めている。




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