夜
*関連項目→〔闇〕
『日本霊異記』上-28 文武天皇の時代、役の優婆塞(=役行者)は、「天皇を害しようとした」と讒言され、捕えられて、伊豆の島に流された。彼は昼間は勅命に従って島にいたが、夜になると富士山まで行って修行をした〔*彼は3年後に釈放され、都に帰った〕。
『白鳥の湖』(チャイコフスキー)第2幕 悪魔ロットバルトが、王女オデットと侍女たちに魔法をかける。彼女たちは昼間は白鳥の姿になっていなければならず、夜だけ、湖のほとりで人間の姿にもどれる。夕暮れ時、狩に出たジーグフリード王子は美しいオデットを見て、彼女との結婚を誓う〔*しかし悪魔には勝てず、2人は愛をつらぬくために死を選び、湖に身を投げる〕。
『常陸国風土記』那賀の郡茨城の里哺時臥(くれふし)山 ヌカビコ・ヌカビメという兄妹がいた。ヌカビメは名も知らぬ男と夫婦になり、小蛇を産んだ。小蛇は、昼間は口のきけない者のごとくだったが、夜になると母ヌカビメと語り合った。ヌカビコ・ヌカビメ兄妹は、「これは神の子だろう」と思った。
*夜、こうもりに変身して遊びに出かける→〔こうもり〕2の『こうもり』(バレエ)。
『大鏡』「伊尹伝」 少将義孝は美貌の貴公子だったが、宮中の女房と親しく言葉を交わすようなことはなかった。ある夜、彼は珍しく細殿の局に立ち寄り、女房たちと世間話をして、夜更けに立ち去った。女房たちが後をつけさせると、義孝は世尊寺まで行き、紅梅の下で「滅罪生善往生極楽」と唱えて、西に向かい幾度も額づいていた(*義孝は21歳で病死した→〔同日・同月〕2a)。
『壺坂霊験記』 盲目の按摩沢市は、妻お里が毎晩こっそり外出するので、「男に逢いに行くのだろう」と咎める。しかしそれは、お里が夫の眼を治そうと、壺坂寺の観音に願かけに行っていたのだった。沢市は自分の誤解を詫び、夫婦は連れ立って壺坂寺へ参詣する→〔投身自殺〕2。
『墓場の鬼太郎』(水木しげる) 血液銀行の社員水木が、幽霊族の子・鬼太郎を育てる。鬼太郎が6歳になった頃、時々夜中に外出するので、あとをつけると、鬼太郎は墓場の穴の中へ姿を消した。鬼太郎は目玉親父に連れられて、死人の世界へ遊びに行っていたのだった。
『耳なし芳一のはなし』(小泉八雲『怪談』) 盲目の琵琶法師芳一が、夜ごと平家の武将に呼ばれ、高貴な方の屋敷へ行って、壇の浦の合戦の物語を語る。芳一が居住する寺の和尚が、芳一の夜の外出を怪しみ、下男たちにあとを追わせる。芳一は墓地に座し、安徳天皇の陵墓の前で琵琶をかき鳴らしており、まわりには無数の鬼火が燃えていた。
*夜、墓地へ行く僧→〔死体変相〕1bの『閑居の友』上-19。
*夜、墓地へ行く妻→〔無言〕2aの『野の白鳥』(アンデルセン)。
『現代民話考』(松谷みよ子)4「夢の知らせほか」第3章の2 昭和4~5年(1929~30)の話。善宝寺の門前の店のおばさんは、夜中に近所の子供たちが寺へ遊びに来る声が聞こえ、姿が見える。その中に、たまに淋しそうにうつむいた子供がいると、4~5日後に、その子は死ぬ。夜、子供たちが眠ると魂は身体を離れ、寺の境内のお地蔵さんの所へ来て遊ぶので、おばさんにはその姿が見えるのだそうだ(山形県)。
『今昔物語集』巻4-26 仏涅槃900年後、中天竺に無着菩薩という聖人がいた。夜は兜率天に昇って、弥勒菩薩のもとで大乗の法を習い、昼は閻浮提(えんぶだい。=現世)に下って、衆生のために法を広めた〔*魂だけ天界へ行っていたのか、身体ごと行っていたのか、どちらであろう?〕。
*小野篁は、現世と冥府の両方で仕事をした→〔冥府往還〕1の『江談抄』第3-39。
『黄金のろば』(アプレイウス)第5巻 プシュケは、西風によって山上から谷あいの宮殿に運ばれる。そこでは形のない声が、彼女を案内し給仕する。毎夜、正体不明の夫がどこからか訪れてプシュケとともに寝、夜明け前に去る→〔夫〕4。
『日本書紀』巻5〔第10代〕崇神天皇10年(B.C.88)9月 崇神天皇の姑(をば=祖父の姉妹)にあたる倭迹迹日百襲姫命(やまとととびももそひめのみこと)は、大物主神の妻となった。しかし夫の神は、昼には現れず、夜だけやって来た→〔箱〕2。
★3b.夜の夫と昼の夫。
『ガラスの山』(イギリスの昔話) 美貌の若者が、あるお嬢さんと結婚した。夫(=若者)は妻(=お嬢さん)に、「僕が夜のあいだ人間で、昼間は牛でいるのと、夜は牛で昼は人間でいるのと、どっちがいい?」と聞く。妻は「夜のあいだ人間で、昼間は牛の方がいいわ」と答える〔*夫婦の間に3人の子供ができるが、夫は魔法にかかっていたため、妻を捨ててガラスの山へ行ってしまう〕→〔ガラス〕2。
『太平御覧』「東食西宿」の故事 1人の娘の所へ、東の家と西の家の両方から、「嫁に来てほしい」との申し入れがあった。東の家は金持ちだが息子は醜男、西の家は貧乏だが息子は美男子だった。娘は「昼間は東の家で食べ、夜は西の家で寝たい」と言った。
龍犬盤瓠(ばんこ)王となる(中国・ヤオ族の神話) 高辛王の3人娘の末子が、龍犬の嫁になった。姉2人は、犬と結婚した妹をあざ笑う。しかし龍犬は、昼は犬の姿をしていても、夜になるとりりしい若者に変身した。それを知った姉たちは、歯噛みして悔しがった。
*昼間は壺だが、夜は人間になる夫→〔壺〕4の『壺むすこ』(インドの昔話)。
『ギリシア哲学者列伝』(ラエルティオス)第1巻第1章「タレス」 タレスは、ギリシアの七賢人の1人だった。ある人から「夜と昼とどちらが先に生じたか?」と訊ねられて、タレスは「夜のほうが1日だけ先だ」と答えた。
*闇の中に光明が射し、昼が生まれた→〔天地〕3の『南島の神話』(後藤明)第1章「南島の創世神話」。
『ガリア戦記』(カエサル)第6巻の18 ガりー人はディース(冥府の神)を共通の祖先としている。そのため暦を、日の数でなく夜の数でかぞえる。誕生日も朔日(ついたち)も元日も、夜から始まるものとして祝われる。
★5.はじめは昼だけで、後から夜ができた。
盗まれた太陽(ロシアの民話) 昔は1日じゅう太陽が輝き、夜はなかった。ある時、雌雄のヘラジカが太陽を盗んで逃げたため、地上に夜が訪れ、人々は困ってしまった。猟師マニが、ヘラジカたちを追って弓矢で射止め、太陽を取り戻して人間に返した。昼と夜が交互にやって来るようになったのは、この時からだ。毎晩ヘラジカが太陽を盗み、マニが追いかけ、明け方に太陽を取り返すのだ。
『マイトラーヤニー・サンヒター』 双子の兄ヤマが死に、妹ヤミーはいつまでも「ヤマは今日死んだ」と言って忘れなかった。その時代には昼のみあって夜がなかったので、神々が夜を作り、翌日というものが生じた。そこでヤミーはヤマを忘れることができた。
*夜は外に出て行動し、昼はとじこもる怪物→〔吸血鬼〕に記事。
夜と同じ種類の言葉
「夜」に関係したコラム
-
株365を取り扱う証券会社や東京金融取引所では、株365に役立つセミナーを開催しています。株365のセミナーでは、株365の基礎知識から取引方法など、初心者向けの内容が多いようですが、売買タイミングや...
-
携帯端末での取引のメリットは、電波を含む通信回線が確保されていれば場所を選ばずにどこでも取引ができるという点が挙げられます。朝から夜までオフィスにつめていて取引ができない場合でも、スマホがあれば取引が...
-
株365と日本の株式取引とはどのような点が違うのでしょうか。ここでは、その違いについて解説をします。▼取引銘柄2012年9月現在、株365で取引されている銘柄数は4です。一方、株式取引では約4000で...
- >> 「夜」を含む用語の索引
- 夜のページへのリンク