国際的な動向
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同一労働同一賃金の理念は、主として国際労働機関(ILO)を中心に展開してきた。 まず、ヴェルサイユ条約(1919年)において、「同一価値の労働に対しては男女同額の報酬を受くべき原則 」(第13編第2款第427条)が提起された。 国際労働機関は1946年の「ILO憲章」で「同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認」を前文に挙げ、同一価値労働同一賃金を最も重要な原則の1つとして位置づけている[要出典]。1944年の「フィラデルフィア宣言」でも、「雇用及び職業における差別の排除」を基本的権利に関する原則として挙げ、「これらを検討し且つ審議することは、国際労働機関の責任である」としている。 国際労働機関憲章 前文 そして、世界の平和及び協調が危くされるほど大きな社会不安を起こすような不正、困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件が存在し、且つ、これらの労働条件を、たとえば、1日及び1週の最長労働時間の設定を含む労働時間の規制、労働力供給の調整、失業の防止、妥当な生活賃金の支給、雇用から生ずる疾病・疾患・負傷に対する労働者の保護、児童・年少者・婦人の保護、老年及び廃疾に対する給付、自国以外の国において使用される場合における労働者の利益の保護、同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認、結社の自由の原則の承認、職業的及び技術的教育の組織並びに他の措置によって改善することが急務であるから...(略) フィラデルフィア宣言 2. 永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立できるという国際労働機関憲章の宣言の真実性が経験上充分に証明されていると信じて、総会は、次のことを確認する。 (a) すべての人間は、人種、信条又は性にかかわりなく、自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において、物質的福祉及び精神的発展を追求する権利をもつ。 — ILO憲章、フィラデルフィア宣言 また、ILO総会は、1951年に同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約(ILO第100号条約)を採択し、1958年に雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(ILO第111号条約)を採択した。 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第七条 この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。 (a)すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬(i)公正な賃金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が保障されること。 — 国際人権規約 なお、国際連合第34回総会で採択された女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約、1979年)でも、「同一価値の労働についての同一報酬(手当を含む。)及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利」(第3編第11条d項)の確保に必要な措置を講じることを締約国に求めている。この条約により、同一職種に対する「同一労働同一賃金」を超えて、異なる職種に対する「同一価値労働同一賃金」を目指すべきことが(少なくとも男女間については)明確にされた。 1994年に制定されたILO条約175号は、パートタイム労働者についての同一労働同一賃金を定めている。 第五条 パートタイム労働者が、パートタイムで働いているという理由のみによって、時間、生産量又は出来高に比例して計算される基本賃金であって、同一の方法により計算される比較可能なフルタイム労働者の基本賃金よりも低いものを受領することがないことを確保するため、国内法及び国内慣行に適合する措置をとる。 — パートタイム労働に関する条約(第175号)
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国際的な動向
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「The Future of Money」(日本語訳「マネー崩壊」、日本経済評論社)の著者であるベルナルド・リエターが創設したアクセス財団や、「The Inflation and Interest-free money」の著者であるマルグリット・ケネディらが創設したMONNETA、また国際的な連帯経済のネットワークであるアライアンス21内の運動である社会的通貨ワークショップなどが、世界各地に散らばっている実践者や研究者などを結んだ国際的なネットワークを生み出しつつある。 また、関連の国際会議も最近は開催されるようになっている。シューマッハー協会が2004年6月に米国ニューヨーク州で開催した21世紀の地域通貨や、マルグリット・ケネディらが2004年7月にドイツで開催した欧州補完通貨会議などで、数多くの異なった事例が紹介されている。また、2006年と2007年にはBALLEB(英: Business Alliance for Living Local Economies)という米国の地域経済振興団体が開催した会議のプレイベントとして地域通貨が特集されている。 この他、事例としても注目すべきものが増えている。ドイツではREGIO(地方通貨)と呼ばれる運動が盛んになっており、バイエルン州南東部のキームガウアー(2003年発足)などの実践例が生まれつつある。アメリカではマサチューセッツ州西部のバークシャー郡でバークシェアーズという地域通貨が2006年9月に発足し、1年も経たないうちに100万ドル相当の地域通貨が地域内で流通している。両者とも地産地消型経済の推進を目的として運営されており、これらの成功が今後の世界の地域通貨の動向を示すものと思われる。 さらに、マイクロクレジットとの関連でも、非常に興味深い事例が存在する。ブラジルのフォルタレザ市のパルメイラス地区では1998年より、パルマス銀行と呼ばれる銀行が運営され、ブラジルの法定通貨であるレアルではなく独自通貨パルマで融資を行っており、3万人強の人口の地区で1000名以上に雇用を創出している。 日本でも地域通貨関連の会議は各地で開催されているが、国際的な連携というよりも国内での事例紹介が主目的となっている。
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