副腎皮質
副腎皮質
副腎皮質
副腎皮質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/17 08:13 UTC 版)
副腎皮質 | |
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![]() 副腎皮質 | |
ラテン語 |
cortex glandulae suprarenalis |
英語 | Adrenal cortex |
グレイの解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
副腎皮質(ふくじんひしつ、Adrenal cortex)は、アルドステロンとコルチゾールのそれぞれを含む鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドの生産を通してストレス反応を調停する、副腎の周囲に位置する部分である。また、男性ホルモンのアンドロゲンを合成する場所でもあり、たとえ女性でも、ここでアンドロゲンが合成される。
層
副腎皮質は、その組織に基づいて、3つの異なる層(区域)に分類することができる。副腎の外周側から、球状層(球状帯)、束状層(束状帯)、網状層(網状帯)の順番で重なっており、網状層の内側には副腎髄質が存在する。なお、ヒトでは副腎皮質が、副腎全体の75%以上を占めている。このうち、中層部の束状層だけで副腎皮質全体の8割弱(つまり副腎全体で見ても、束状層だけで6割弱)を占める。次に多いのが最外部の球状層で副腎皮質の15%程度を占め、残りの7%程度が網状層である。
層 | 名称 | 主生成物 |
---|---|---|
最も外面の皮質層 | 球状帯 | 鉱質コルチコイド (例、アルドステロン) |
中央の皮質層 | 束状帯 | 糖質コルチコイド (例、コルチゾール) |
最も深部の皮質層 | 網状層 | 弱いアンドロゲン (例、デヒドロエピアンドロステロン) |
ホルモン合成のステップ
すべての副腎皮質からのホルモンはコレステロールから合成される。コレステロールはミトコンドリア内膜へステロイド産生急性調節タンパク質(STAR)によって運搬され、そこで酵素 CYP11A1(CYP11A1)によってプレグネノロンに変換される。したがって、副腎皮質の全3層でのホルモンの製造は、ミトコンドリアへのコレステロールの輸送とプレグネノロンへの変換によって制限される。プレグネノロンはプロゲステロンに脱水素化されるか、17-ヒドロキシプレグネノロンにヒドロキシル化されることができる。これまでのステップは多くのステロイド合成組織に起こるが、以下のステップは副腎皮質だけで起こる。
- プロゲステロン→ (C21でヒドロキシル化) → デオキシコルチコステロン → (さらに2回のヒドロキシル化) → アルドステロン
- プロゲステロン→ (C17でヒドロキシル化) → 17-ヒドロキシプロゲステロン → (ヒドロキシル化) → デオキシコルチゾール → (ヒドロキシル化) → コルチゾール
合成されるホルモン
副腎皮質は、いくつか異なる副腎皮質ステロイドホルモンを生産する。
- 鉱質コルチコイドは球状帯で作られる。主な鉱質コルチコイドはアルドステロンである。その分泌作用は、オリゴペプチドアンギオテンシンIIによって調節される(アンギオテンシンIIは、アンギオテンシンIによって調節され、その変化はレニンによって調節される)。アルドステロンは
- 糖質コルチコイドは束状帯で作られる。副腎から分泌される主な糖質コルチコイドはコルチゾールである。その分泌作用は、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって調節される。標的器官に結合すると、いくつかの経路で代謝を促進する。
- アンドロゲンは網状層で作られる。最も重要なアンドロゲンには次のものがある。
- テストステロンは効果が多様なホルモンで、筋肉量の増進や二次性徴への発達を刺激する。
- ジヒドロテストステロン(DHT)は、テストステロンの代謝産物でありアンドロゲン受容体への結合力がテストステロンより強く、効果が強い。
- アンドロステンジオン(Andro)は睾丸、副腎皮質、卵巣で作られるアンドロゲン性ステロイドである。アンドロステンジオンは代謝的にテストステロンと他のアンドロゲンへ転換され、またそれらはエストロンの親構造でもある。
- デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)はコレステロールから作られるステロイドホルモンで、天然エストロゲンの主な前駆体である。 デヒドロエピアンドロステロンは、デヒドロイソアンドロステロンまたはデヒドロアンドロステロンとも呼ばれる。
病理学
関連項目
外部リンク
副腎皮質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/28 21:08 UTC 版)
副腎の外周部で、ヒトでは副腎の75パーセント以上を占める。副腎皮質には、中胚葉由来の細胞が索状、または塊状に配列しており、それらの細胞が、副腎皮質ホルモンを分泌している。外側から、球状層(球状帯)、束状層(束状帯)、網状層(網状帯)の3層に分かれており、それぞれ違った組織でできている。これらのうち、特に束状層が厚く、この部分だけで副腎皮質の8割弱を占めている。細胞の間には毛細血管が発達しており、分泌されたホルモンが全身へと運ばれるのを助ける。 なお、3層は、明確な境界をなさず、だんだんと移行するように見えるが、機能的には、それぞれ分泌する副腎皮質ホルモンの種類が異なると考えられている。しかしそれぞれの層にある細胞を分離して生体外におくと、全て同じ物質を産生するようになる。このため生体内では、球状層の細胞が産生するステロイドあるいは代謝副産物が、血流を通じて下流にある束状層の細胞の何らかの酵素活性を抑えてアルドステロンの産生を不可能にしており、同様に束状層の細胞が産生するステロイドや過酸化物が網状帯でのコルチゾールの産生や分泌を抑制しているのだろうと示唆される。 また、最外縁の球状層で新たな細胞分裂が起こり、古い細胞は順に内側の層へと押しやられながら、その性質が変化していく、とする説が存在する。 なお、副腎皮質ホルモンの分泌が何らかの理由で急激に減少するのが「副腎クリーゼ」と呼ばれる病態である。副腎クリーゼは、処置が遅れると命に関わる。
※この「副腎皮質」の解説は、「副腎」の解説の一部です。
「副腎皮質」を含む「副腎」の記事については、「副腎」の概要を参照ください。
「副腎皮質」の例文・使い方・用例・文例
- 副腎皮質に刺激となるか、作用するさま
- 副腎皮質の、または、副腎皮質に由来する
- 副腎皮質を刺激する脳下垂体前葉によって作り出されるホルモン
- ストレスのために副腎皮質によって分泌されたカテコールアミン(商標名アドレナリン)
- 副腎皮質機能の低下による腺疾患。貧血と肌の色素沈着が特徴
- 副腎皮質によって排出される
- 副腎皮質によって作り出される、または合成されたステロイドホルモン
- 副腎皮質ステロイドは、多くの異なった状態を治療するために使用される
- ナトリウムおよびカリウムの新陳代謝に影響を与える副腎皮質のステロイドの1つであるホルモン
- 副腎皮質によって作られるステロイドホルモン
- 副腎皮質によって排出されるコルチコステロイドホルモン
- 炭水化物とタンパク質代謝において活動的な副腎皮質ホルモン(商号 ハイドロコルトーネまたはコウテフ)
- 副腎皮質によって通常生産される副腎皮質ステロイドホルモン(商標名コルトンアセテート)
- 副腎皮質ステロイド薬(商標名デカドロン、デキサメタゾン、インテンソール、デキソン、ヘキサドロール、または、オラデキソン)で、アレルギーまたは炎症を治療するのに用いられる
- 抗炎症剤として使われる合成副腎皮質ステロイド(商品名Aristocort、Aristopak、Kenalog)
- 動物の器官としての副腎皮質
- 副腎皮質刺激ホルモンという内分泌ホルモン
- 副腎皮質ホルモンという内分泌ホルモン
- コルチコトロピンという副腎皮質ホルモン
- アジソン病という,副腎皮質の機能低下による病気
副腎皮質と同じ種類の言葉
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