利用規約と惑星間航行について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 17:11 UTC 版)
「銀河鉄道株式会社」の記事における「利用規約と惑星間航行について」の解説
基本的には、連載当時の日本国有鉄道のものを準用している。従って、現在のJRと似通っている部分もある。 しかし、発車時間・運行ダイヤにはことの他厳しく、また現実の鉄道会社には見られない、独特のタブーも数多く存在する。また規則は1000以上あるとされているが、各項目内で矛盾した面もある。 ダイヤについては、惑星消滅、自然災害による天変地異等の列車運行に危険を及ぼしかねない緊急時を除き、どのような理由があろうとも定刻に発着し、原則として乗客のために発車時間を遅らせたり、引き返したりすることはない。また緊急時における運行中止等の判断については鉄道管理局が最終決定権を持っており、機関車及び乗務員は鉄道管理局に運行中止やルート変更等を提案する事はできるが、管理局側が認めない限り実行することは出来ない。ただし前述の通り管理局の判断が優秀とは言い難い描写もある。一方時刻について重視されているのは出発及び到着時刻が決められている地点のみであることから「駅間における停止」などは若干だが融通が利くようで、定刻通り出発した後「次の駅までに遅れを取り戻す」事を条件に、駅間である宇宙空間で停止して、乗り遅れた鉄郎を迎えに行った例がある。その他に乗客に落ち度の無い不測の事態で、旅客を惑星に置き去りにせざるをえない状況下では、引き返すことがある。 臨時停車等やルート変更についても、認めないとしている。しかし乗客の要請で不定形惑星ヌルーバ、かじられ星への停車が発生した一方で、アニメ版ではエルアラメインへの停車要請を拒否されるなど、「乗客の要請による臨時停車」については規約上本当に禁じているのかは曖昧なところがある。例外は上記の天変地異の他、軌道上での戦争等で列車の安全を確保できない場合や機械不具合による車両故障、乗客が重傷を負った場合等であり、いずれにしても非常時のみである。 こういったダイヤへの厳しさが目立つ規約の中で、最も極端なものが、一度でも所定の列車の発車時刻に乗り遅れた場合、以降は所定の乗車券などを買っても銀河鉄道全線において乗車拒否をするという、不条理な規則である。また、メーテルは鉄郎に対し「乗り遅れたら死ぬことになる」と教えている。 999号をはじめとする主要優等列車の停車時間は原則として、その星の1自転周期と定められており、停車時間中の外出は自由であるが、この外出は途中下車に含まれない。ただし停車時間が短い場合は車掌から「(乗り遅れないように)列車からあまり離れないでください」という注意を促される事がある。外出先には銀河鉄道指定のホテル・旅館が手配されていることが多い。なお、銀河鉄道指定の宿泊施設を利用した場合は、乗客を列車に戻すのは乗務員の義務である。 999号の場合、途中下車も禁じられている。映画第1作冒頭での、メーテルが鉄郎に乗車を確認する際のセリフから、999号における途中下車は再び銀河鉄道に乗車して出発することが不可能であることが示唆されている。原作やTVアニメ版などにおいても、途中下車は出来ないという台詞があるが、途中駅から999号に乗車する者や、降車する者が何人も登場し、「(あの人は)どうせすぐ途中下車して引き返す」という台詞もあるため、途中駅からの乗車及び降車が本当に不可能かどうか曖昧なところがある。また、車掌が乗換の案内をしているため、所定の目的地への経路として999号を利用する際の乗換も途中下車とは定義されないようである。 ダイヤには厳しいが、規定は非常に甘く、遅延が生じた場合の特急券・急行券全額払い戻しは、2年以上の遅れで初めて適用される。また、一部の近郊路線を除けば、非常に長時間の乗車が前提となるため、切符の有効期間は最低でも「当年限り有効」となる。定期券は1年、3年、6年、無期限の4種類で、距離が100skm以上の区間で発行される。また更新は有効期間の2年前から可能である。定期券や回数券の区間内の列車が5年以上運休になった場合は、有効期間が延長される。 たとえ乗客であっても規則に背けば即座に拘束対象とされ、車内において発砲等の危険行為に及んだ場合、車掌の裁量によっては走行中の車両から車外の宇宙空間に放逐されることもある。往来危険(列車妨害)や偽造パスの使用はもちろん、入場券による乗車さえも死刑である。定期券は、不正な手段によって入手しても真正のものであれば、本来の所有者とは無関係に記載の氏名を名乗るだけで正規の乗客と識別され乗車できるが、他人のサイン(名前)のある定期券を使用したのが発覚した場合は死刑となる。死刑執行は公安官が行うが、駅間などでは車掌が死刑を執行する権限を持つ。 一方で人道的な規則も存在しており、運行中に遭難者を認めた場合は、切符を所持していなくても人命救助名目で乗車させてもよい。999号の場合「遭難者救助は義務」とされている。しかし救出後に遭難者を何処まで乗車させるのか、また、遭難者に切符代を請求するのかは不明である。 人命救助の特殊な事例としては、999号は地球行きの上り列車では旅客扱いを絶対に行わないにも関わらず、TV版最終回及び映画第1作においては崩壊する惑星プロメシュームから鉄郎とメーテルを乗せて脱出し、TV版のラストシーンではプロメシュームからの脱出後に惑星こうもりへ避難し、その際鉄郎が地球へ帰る旨(上りの999号に乗車する)を車掌に告げても車掌は快く受諾している。映画第2作の終盤においても、崩壊する惑星大アンドロメダからの脱出の際にも、999号を避難列車として運用し、鉄郎やメーテルにより解放されたパルチザン達を大勢乗せて緊急発車した事例がある。ラストシーンでは大アンドロメダからの脱出後、惑星ラーメタルに到着。同惑星において、未だ機械帝国の残党勢力の支配下にある地球へ赴く際にも999号が運用されていたので、何らかの超法規的な判断が行われた可能性がある。 一般の乗降客に対してダイヤや旅客取扱の有無、行き先など、基本的な運行情報を伏せることは珍しくない。また、銀河鉄道の列車が発着している事自体を、停車駅である惑星側が知らされていないケースもある。 本社の存在する「運命(ディスティニー)」駅は、銀河鉄道車両以外にはガス星雲を偽装し、たどり着けないように細工をしている。つまり、一般の利用者にとっては、乗り換え以外には使いようのない駅である。 惑星間・恒星間航行については他に公共交通機関がほとんど存在せず、銀河鉄道による独占状態に近いため、自力で移動手段を調達できない場合、銀河鉄道の定めるルールに従わざるを得ない状況が成立している。なお、作者の松本によれば宇宙船は車やバイクに相当するものとのことである。また、乗り物に一切乗らない移動方法としてワープがあるが、時空や重力の歪みでとんでもないところに飛ばされるリスクがあるとのことで、銀河鉄道が「究極の安定したレール」なのだという。
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