出版の背景
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草双紙(くさぞうし)は江戸時代中期以降に江戸を中心に出版された絵入り本の総称で、刊行時期や形態により赤本・黒本・黄表紙・合巻などに分類される。合巻はほぼ全頁に渡って絵と平仮名中心の文章が配されたもので、文化4年(1807年)頃に数冊の草双紙を合冊したものを称した。合巻は文化・文政・天保期に山東京伝や曲亭馬琴、柳亭種彦らの書き手が出版し、天保の改革における自粛期を経て激増期を迎えるが、この頃の合巻には読本のダイジェストや乱雑な構成の作品が多いことが指摘される。 『甲越川中嶋軍記』はこの激増期の作品で、草双紙には『信玄一代記』など武田信玄や武田家の軍師とされる山本勘助を主人公とする一群の作品があるが、同時期には嘉永2年刊『川中島軍鑑』、嘉永3年刊『甲越武功伝』、安政6年刊『河中島列戦美談』など川中島ものの合巻が数多く制作された。『甲越川中嶋軍記』は文化6年から文政8年頃に刊行された速水春暁斎作の読本『絵本甲越軍記』を元にしており、川中島における信玄・謙信の一騎打ちを中心としたダイジェストとなっており、文章を配した柳下亭種貞は一般的な「作」「編」を用いずに「訳」を用いている。内容は甲斐・越後間の戦いに重点が置かれており、『絵本甲越軍記』で詳細に記されている晴信(信玄)の初陣や信玄の父信虎の追放などについては簡略化されている。
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出版の背景
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伊勢屋宗助の序文によれば、『甲買』を出版した目的は甲府城下町の諸職種を「いろは」順に配列して一覧化し商売の利便性を確保するためであるとしている。以下、I型とII型の序文を引用する。 凡天地の間、一物として其方あらざるものハあらず。故に其方に因循ざれバ、其利を得ることあたハず。茲になまよみの甲斐国の此府の諸廛に商ふ所の物品売買なさんとするに、其便を得ざれバ、捜すに暇を費やし、便ぜずして事をかき、労して功なきのみにあらず。又、損失以ってばく太也。故に、案内なくんバ有るべからず。今此買物独案内ハ、近里遠郷の人々商家の売物求めやすき弁利を考え、膨の大なるをはじめ、焦冥蟲のこまやかなる品までも漏らさず集めて、いとは四十八文字に部を分ち、糸なればいの部、綿なれバわの部と何品にても其品の頭文字をとりて引出し見れば、速やかに其商家を知り、あらゆる衣服雑具等にいたるまで掌中に詳也。依て、此一帖を世に弘て自在に弁用をなし、悉調法ならしめむことを冀ふ。 — 嘉永七甲寅歳、春三月、勝龍軒 王政復古して神のむかしに立かへり、蛭子の神事賑ふも豊けり御世の御恩沢、市中の繁栄大方ならず。爰に年頃商家の売物求めやすき弁利を考へ、膨の大なるを始め、焦冥蟲のこまやかなる品迄も漏さず集めて、小冊となす。これを開けば、居なから諸色の店をしるゆへに、物買ふ人足を費やさずして用を弁ずれハ、売る人もあせらずして益あり。されハ買物誂物等に、乾物なれハかの字、呉服なれハこの字、トかしら字をとりて引出し見れハ、何町何丁目何屋某と荷印迄あらハし、されハ自然と商売正路に相成、売物とも安心に弁用なす事此小冊を見て知り給ふへし。 — 明治五年壬申年、神無月、峡中 「甲府繁盛之図」は手前に高札場付近に賑わう群集の様子が写実的に描かれ、遠景には画面右奥に巨大な建物や黒い塔、雲上に甲府城の櫓など城下町を象徴する特徴的な建物が描かれている。「甲府繁盛之図」が描いている視点は、甲州街道沿いの八日町一丁目(甲府市中央)付近から北側を描写し、画面右奥の建物は長禅寺、黒い塔は時の鐘に比定し、これらの建物が左右逆に描かれている点については印刷上の問題としている。 一方で、髙橋修は黒い塔が二基描かれている点に着目し、これを火の見櫓と比定して位置関係を再考し、同図が描いている視点は八日町付近から南向きになり、群集が賑わうのは八日町通、長禅寺と考えられていた画面右奥の建物は一蓮寺(甲府市太田町)にあたり、手前には亀屋座の芝居小屋が描かれ位置関係が矛盾無く収まることを指摘している。甲府城に関しては雲上に描くことで位置関係をぼかし、甲府城下町を象徴する記号として描いたものとしている。 さらに、「甲府繁盛之図」で描かれている八日町は高札場や甲府町年寄である坂田家屋敷が所在する甲府町政の中心地であると同時に、甲州街道沿いで若松屋をはじめとする大店が存在する経済的中心地であるが、髙橋は画面右奥の一蓮寺の伽藍が誇張して描かれている点を指摘し、『甲買』出版元の伊勢屋宗助が一蓮寺の寺院街と隣接し城下町の周縁部にあたる甲府緑町に在住している点から、同図には甲府緑町を八日町と対比させることで視覚的に読者の関心を惹きつけ、緑町付近の活性化を図る意図があったものと推測している。 また、髙橋は『甲買』では諸本により紹介される店舗の異同があるが、嘉永7年本と明治5年本を比較し、明治5年本では新たに勃興した生糸産業に関する職種が数多く紹介され、料理屋や書物商の増加、一方で明治期には衰退する職種も見られる点など、時代の変化を読み取ることができることも指摘している。
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出版の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/12 17:52 UTC 版)
「日本製 (三浦春馬の著書)」の記事における「出版の背景」の解説
『日本製』は月刊誌の『プラスアクト』における三浦の同名の人気連載を再構成し、新たな撮り下ろし写真とロングインタビューなどを加えて書籍化したもの。2020年4月5日、自身の30歳の誕生日に『日本製+Documentary PHOTO BOOK 2019-2020』と2冊同時に出版した。 三浦が「日本の工芸・食・産業などをもっと知りたい、日本の魅力を海外の人にもしっかり伝えたい」という思いから受けた企画で、三浦が2015年から2019年の約5年をかけて日本全国47都道府県を取材している。匠の技などを紹介するだけにとどまらず、取材から得られた示唆、演劇産業や演じることの意味についても三浦自身の言葉で述べている。 初のドキュメンタリー写真集「Documentary PHOTO BOOK 2019-2020」は、「この1年間真剣に取り組んできた作品の舞台裏・自身の成長を記録したい」という思いから刊行した。
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