再審請求審とは? わかりやすく解説

再審請求審

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 23:13 UTC 版)

松橋事件」の記事における「再審請求審」の解説

再審申立にあたって弁護団面会したAは、認知症患い裁判を受け服役したことも覚えていない状況であったこのため2012年平成24年1月11日にAの成年後見申し立て同年3月2日衛藤二男弁護士成年後見人となった3月12日衛藤弁護士成年後見人として再審請求高齢のAが再審請求中に死亡した場合備え弁護団依頼受けてAの長男再審請求することになった。Aの長男は、家族には迷惑を掛けられない離婚した上で2015年平成27年9月17日再審請求した。2件の再審請求併合され熊本地裁審理された。 弁護側は、Aが燃やした供述したシャツの布片発見されたこと、凶器とされた切り出し小刀遺体の傷は矛盾するとの鑑定致命傷となった傷はセーターの上から刺されたもので傷口から血が出るのが見えたとするAの供述矛盾するとの鑑定などを無罪言い渡すべき明らかな証拠として示し再審開始求めた検察側は、これらの証拠には新規性や明白性がないとして全面的に争った発見されシャツの布片についても、凶器巻き付けられたのは別のであった可能性があると主張した。 再審請求審における裁判所検察弁護団による三者協議は、2012年平成24年11月27日から2015年平成27年12月まで、計19回を数えた弁護側は裁判所に対して保管する証拠全面開示と未提出証拠目録作成および開示検察命じるよう申し立てたが、当初裁判所任意の証拠開示促すとどまった。しかし、検察側が任意の開示拒否したため、弁護側の度重なる要請受けて2013年平成25年12月9日裁判所検察官に対して血痕指紋足跡鑑定書関係者供述書など11点証拠開示勧告出した同月18日にも追加開示勧告)。これに応じて2014年平成26年4月24日開示され証拠からは、自供ではAは土足のまま被害者宅に上り込んで犯行及んだとされているにもかかわらず室内からも被害者周辺からもAの履物該当する足跡検出されていないことなどが明らかになった。 2015年平成27年2月27日には大野教授対す証人尋問が行われた。傷口凶器とされた切り出し小刀との矛盾についてはすでに確定審控訴審弁護側が指摘していたが、そこでは検察側の鑑定人であった牧角三郎によって、受傷時に刃の先端部で皮膚押し下げられる「押し下げ現象」で説明が可能と証言されていた。これに対して大野教授は、傷の場所や深さ凶器刃物によって衣服空いた穴と傷口長さがほぼ同じであることなどから「押し下げ現象」が発生した可能性ほとんどない証言した2016年平成28年6月30日熊本地裁は、「無罪言い渡すべき明らかな証拠発見したとき」に該当する判断し再審開始決定した決定理由の中で、確定審争点はAの自白任意性信用性であったとして、再審請求審で弁護側の提示した証拠について以下のように判断したシャツの布片 Aは、犯行切り出し小刀シャツ左袖部分布片巻き付け犯行後軍手とともに風呂の焚口燃やした供述したが、その左袖部分現存し血液付着認められなかった。このことは、切り出し小刀巻いた布片シャツ左袖部分ではなかったというだけでなく、そもそも切り出し小刀布片巻いたという供述が「Aの体験に基づく供述ではないのではないか、すなわちその事そのもの存在しなかったのではないかとの合理的な疑い生じてくる」。 大野鑑定 大野鑑定は「非常に合理的」であり、被害者遺体の傷のうち2か所について、凶器とされた「切出小刀によっては成傷し得ないではないかという合理的な疑い生じる」。シャツの布片のことも併せて考えると、凶器とされた「切出小刀被害者殺害した凶器ではないという疑いは、一層強いものになる」。 そして、これらはAの自白の「重要部分に客観的事実との矛盾存在する」ことを示しており、さらに、自白信用性支えるとされたその他の事実も「その証明力や証拠価値疑問生じており」、Aの自白のみで「確定判決有罪認定維持し得るほどの信用性認めることは、もはやできなくなった」とした。 決定を受け検察側は7月2日福岡高裁即時抗告即時抗告審を担当した検察官は、障害者郵便制度悪用事件國井弘樹だった。検察側は、「Aの自白以外にもAが本件事件の犯人であることを示す間接事実多数認められ確定判決も、このような全体像正当に評価したもので、Aの自白みをもって有罪判決宣告したものではない」とし、自白間接証拠によってAが犯人であることに疑いはないと主張したまた、大野鑑定に対して反論する法医学者意見書提出する意向示していたが、結局法医学者による意見書提出されず、検察官による意見書のみが提出された。 福岡高裁2017年平成29年11月29日即時抗告棄却検察側は12月4日最高裁特別抗告した。弁護団は、2018年平成30年2月27日特別抗告申立書対す反論書を提出。これに対し検察側から弁護側に対す反論新たな証拠提出一切行われなかった。弁護団は、4月27日6月29日8月29日三度渡り特別抗告早期棄却要請した最高裁は、同年10月10日特別抗告棄却し、再審開始確定した。ただし、Aの長男は、福岡高裁即時抗告が行われていた2017年平成29年9月病死したため、Aの長男による再審請求手続き終了している。

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再審請求審

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 02:45 UTC 版)

恵庭OL殺人事件」の記事における「再審請求審」の解説

Xは2012年10月15日札幌地裁再審請求行なった弁護団は新証拠として豚を焼いた実験元にした「灯油10リットルでは内臓まで炭化しない」とした弘前大学大学院教授伊藤昭彦による鑑定結果提出し、「炎を目撃した住民供述から、遺体着火され時刻午後1115分頃で、犯人早くて事件当日午後1142分までは現場にいたが、被告人午後11時半時点現場から15km離れたガソリンスタンド防犯カメラ映っており、アリバイがある」と主張したが、「遺体炭化するほど燃焼するのは不可とは言えない」などとされ、2014年4月21日 札幌地裁再審請求棄却する決定行なった

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