再導入(野生復帰)の取り組み
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「トキ」の記事における「再導入(野生復帰)の取り組み」の解説
2008年(平成20年)から佐渡島で種の再導入(英語版)が進められ、2018年(平成30年)10月までに327羽が放鳥された。 生物の多様性に関する条約(日本は1993年(平成5年)に締結)では、再導入による野生復帰は締結国の責務のひとつである。また、国際自然保護連合も「種の保存委員会」を設置し、その中の「再導入専門家グループ」が1995年(平成7年)に再導入に関するガイドラインを策定していた。 こうしたトキの飼育や繁殖は野生のトキを日本に復活させることを最終目標としており、2007年(平成19年)6月末から「順化ケージ」での野生復帰訓練が始められ、第1回として2008年(平成20年)9月25日に、佐渡市小佐渡山地の西麓地域にて10羽が試験放鳥された。この放鳥により1981年の全鳥捕獲以来、27年ぶりに日本の空にトキが舞ったことになる。放鳥されたトキには個体識別番号(飼育下の個体番号とは別のもの)が付されており、翼のアニマルマーカー(羽の一部に色をつけたもの)や、脚のカラーリング、金属脚環などで個体を識別できるようになっている。うち6羽にはGPS発信器も付けられている。 放鳥結果(令和2年(2020年)現在)回放鳥日放鳥数備考オスメス計第1回試験放鳥平成20年9月25日 5 5 10 ハードリリース 第2回試験放鳥平成21年9月29日 - 10月3日 8 11 19 ソフトリリース 第3回放鳥平成22年11月1日 - 11月6日 8 5 13 第4回放鳥平成23年3月10日 - 3月13日 10 8 18 第5回放鳥平成23年9月27日 - 9月28日 11 7 18 第6回放鳥平成24年6月8日 - 6月10日 10 3 13 第7回放鳥平成24年9月28日 - 10月1日 3 14 17 第8回放鳥平成25年6月7日 - 6月10日 13 4 17 第9回放鳥平成25年9月27日 - 9月29日 3 14 17 第10回放鳥平成26年6月6日 11 6 17 第11回放鳥平成26年9月26日 - 9月28日 4 14 18 第12回放鳥平成27年6月5日 15 4 19 第13回放鳥平成27年9月25日 2 17 19 第14回放鳥平成28年6月10日 - 6月13日 16 2 18 第15回放鳥平成28年9月23日 - 9月24日 5 14 19 第16回放鳥平成29年6月2日 - 6月4日 8 10 18 第17回放鳥平成29年9月22日 14 5 19 第18回放鳥平成30年6月4日 11 8 19 第19回放鳥平成30年10月15日 - 10月16日 19 0 19 ハード/ソフトリリース 第20回放鳥令和元年6月7日 14 6 20 ソフトリリース 第21回放鳥令和元年9月27日、10月2日 - 10月3日 11 6 17 ハード/ソフトリリース 第22回放鳥令和2年6月5日 11 7 18 ソフトリリース 第23回放鳥令和2年9月18日 8 8 16 ハードリリース 合計 212 170 382 備考第2回ではNo.17も放鳥されたが、直後に保護されたため除外している。 第2回で放鳥されたNo.18とNo.27は、2012年に負傷のため保護された。その後No.18は第7回で再び放鳥されている。No.18の重複カウントにより、総計は実際の「個体数」より1羽多くなっている。 第3回で最後に残ったNo.54は負傷していたため中止。 2009年(平成21年)以降も放鳥は続けられたが、第1回の試験放鳥の際、1羽ずつを小箱に入れて放鳥したためにパニックを起こして散り散りになったことを踏まえ、放鳥場所に設置された仮設ケージで約1か月間に20羽を飼育し、放鳥時はケージを開放してトキが自然に出て行くのを待つ「ソフトリリース方式」を採るようになっている。 本来ならば2010年から春の放鳥も行われる予定であったが、2010年(平成22年)3月10日に佐渡トキ飼育センターの順化ケージがテンに襲われ、9羽が死亡する事故が発生した。テンの対策工事が終わるまで延期されることになり、2011年(平成23年)以降は春と秋の年2回実施するようになっている。また、2012年1月には、猛禽類による負傷で2羽が相次いで保護されている。これらの放鳥は全て佐渡島で行われたものであるが、放鳥後に数羽(特にメス)が佐渡島から離れ、新潟県の本州側や、長野、富山、石川、福井、山形、秋田、宮城、福島の各県にも飛来している。 佐渡市の地元住民の多くはトキの野生復帰に肯定的であるが、反対派や「どちらとも言えない」としている住民も少なからずいる。理由として、高齢化が進む農村においては農作業に必要な除草剤・殺虫剤の使用が制限されること、稲が踏まれて荒らされることなどが挙げられており、これは反対派だけでなく賛成派からも懸念されている。 2012年(平成24年)4月22日、放鳥された個体同士の繁殖による卵のふ化が確認され、野生下で36年ぶりのトキ誕生となった。2012年以降は巣立ちが確認され、2014年には再導入後初めて野生下で成熟した個体ができるようになり、2015年以降も野生下で成熟した個体数は増加している。翌23日には同じつがいの卵から更に2羽が孵化していたことが判明した。その後確認された雛も含めると、3組のつがいから計8羽のひなが孵化している。2012年に野生下で産まれた個体も、2014年に繁殖に成功した。
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再導入の取り組み
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中国では前述の通り、野生トキが順調に回復した。2004年以降、放鳥が行われ、従来の生息地への再導入が試みられている。トキの再導入計画が進行している地域は、次の通り。 陝西省寧陝県 陝西省銅川市 陝西省千陽県 河南省羅山県董寨自然保護区 浙江省徳清県
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