鑑定を行った主な事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 18:59 UTC 版)
別府3億円保険金殺人事件 車が海に飛び込んだ際に運転していたのは被疑者か死亡した被疑者の妻かについて、被疑者の妻の傷害部位と車内のダッシュボードの傷などから、被疑者の妻は助手席にいたと鑑定した。 一審判決では、牧角の鑑定姿勢について「予断を排し誠実に鑑定をする」姿勢に欠けると批判し、牧角鑑定は「全体として証拠価値はない」と判断したものの、その一部を採用して被告人に死刑を言い渡した。 なお、牧角は、第一審で牧角鑑定の評価が争われていた時期のマスコミの報道に「牧角鑑定なるものが間違いであれば面白い」という論調を感じたとした上で、「困ったことにこのところ、法医学の権威、古畑先生の鑑定なるものが、誤りであったとか、おかしな鑑定であったとか記されることが続いております」としてマスコミの報道姿勢に疑問を呈している。 免田事件 再審で検察から改めて創傷順序についての鑑定を依頼され、「鉈で殴ったのち包丁で刺し、さらに鉈で殴った」と鑑定した。この事件は、自供と確定審判決で「鉈で殴り包丁でとどめを刺した」と認定されていたが、再審請求審で「包丁で切りつけたのち鉈で殴った」とする名古屋大学教授の矢田昭一の鑑定を基に「包丁による首の傷がとどめでないことは動かし難い事実」として自供の信用性を否定するなどして再審開始が決定されたものであった。 再審判決では、「包丁による傷が最後の傷でないことは明白な事実」であり自供の信用性は失われているのであるから、先に鉈で殴ったかどうかは「もはや多くを論じる必要がない」として自供の信用性を否定した。また、最初の被害者の手の傷は包丁を避けようとしてついた防御創と思われるとして、「第一撃は包丁ではないかとの疑いを、牧角鑑定の反論によっても払拭できたとは言えない」と評価した。 島田事件 第4次再審請求差し戻し審で、犯行順序や凶器について鑑定を行い、検察側証人として「被害者の傷は生前にできたものであり、被告人の自供通りである」と証言した。これに対して弁護側は「推論が多く観念論的で科学的とは思えない」と反論した。 なお、再審を支援していた全国「精神病」者集団は、牧角を「免田事件でも検察側の鑑定を行なった御用学者」などと評している。 みどり荘事件 第一審で事件後に観察された被告人の傷についての鑑定を行い、検察側証人として「被告人の頸部の傷は発赤反応で、6名に繰り返し実験した結果、受傷後2時間から3時間以内に見られるもの」であり犯行時に被害者の爪によって成傷した可能性が高いと証言した。ただし、弁護側の反対尋問で傷の現認時刻は犯行時刻から4時間以上経過していたことを指摘されると絶句し、慌てて「個人差がある」と訂正した。 確定判決では、この傷について、牧角鑑定からは「むしろ、本件犯行の犯行時間帯に生成されたものではない可能性の方が大きい」と認定されている。 松橋事件 確定審控訴審で検察側証人として証言に立ち、被害者の傷と凶器とされた切出小刀の形状の矛盾は受傷時に刃の先端部で皮膚が押し下げられる「押し下げ現象」で説明できると証言した。 ただし、のちの再審請求審第一審では、弁護団の依頼で遺体の傷などの鑑定を行った日本医科大学の大野曜吉教授が、傷の場所や深さ、凶器の刃物によって衣服に空いた穴と傷口の長さがほぼ同じであることなどから「押し下げ現象」が発生した可能性はほとんどないと証言した。同審の決定では、大野鑑定が合理的であり、被害者の傷は凶器とされた「切出小刀によっては成傷し得ないのではないかという合理的な疑いが生じる」と判断されている。
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