全1幕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 14:34 UTC 版)
ラバスタンスの家の居間 ラバスタンスは雇っていた家政婦と大喧嘩をやらかし、解雇してしまう。彼は職業紹介所に赴いて新しい家政婦の募集をかける手配を済ませてきたところなのだ。そこで、〈クプレ〉「斡旋屋は俺に尋ねた」(L’employé m’a dit)を歌い、若くてきれいで、給料が高くない女性を依頼してきたことを語る。彼はどんなに可愛い娘が来てくれるか、心待ちにしている。すると、甥のギュスターヴが泣き叫びながら訪れる。 ギュスターヴは叔父からの仕送りを止められたので、同棲していた恋人と別れることを余儀なくされて戻ってきたのだった。そして、〈クプレ〉「叔父さん、怒らないで下さい」(Mon oncle, ne vous fâchez pas)と歌う。ギュスターヴは別れた娘に相変わらず未練たらたらである。ラバスタンスは経験から言って、男女の良い関係はせいぜい3ヶ月しかもたないと説得する。そうこうしていると、カトリーヌが新しく紹介された家政婦ですと言って家に入って来る。 ラバスタンスは条件も合うし、可愛いので一目で気に入ってしまう。二階から泣き声が漏れ聞こえて来るので、カトリーヌが何事かと問う。ラバスタンスは甥を恋人と別れさせたので泣きわめいているのだと説明する。カトリーヌが食事の準備をしていると、ギュスターヴが台所にやって来て、カトリーヌを見て驚く。カトリーヌはギュスターヴの恋人だったのだ。ラバスタンスが買い物に出かけている隙に、ギュスターヴはカトリーヌにどうしてここにいるのかと問う。カトリーヌは今は職業紹介所から仕事をもらって働いているだけ、私たちのことはもう過去の話と冷たく語る。ギュスターヴは自分の気持ちは前と全然変わらない、相変わらず愛していると言い、静かに歌い始め、〈2重唱〉「それは日曜日の朝のことだった」(C’est un dimanche, un matin)となる。もう一度やり直そうと言うギュスターヴをカトリーヌは拒絶する。 ラバスタンスは買い物から帰るとカトリーヌに前のあなたの雇用主からの人物証明書を見せてもらっていなかったねと言う。カトリーヌは自分はこれまで働いた経験が無い、2年間恋をして同棲していたのだのだと言う。ラバスタンスはカトリーヌを食事に同席させて、身の上話の続きを聞こうとする。ラバスタンスがカトリーヌに今後はどうするつもりかと問う。カトリーヌは以前の恋人を忘れるために新しい恋人を作りたいと〈ロンド〉「1人、2人、3人、4人、5人と男を作ります」(J’en prendrai un, deux, trois, quatr’, cinq)と歌い出す。兵隊でも、議員でも、公証人でも、農民でも、文学者でも、バリトンでも、テノールでも私を愛してくれる男をなら何でもいいと話す。ラバスタンスは感動し、それは素晴らしい、ではまず私からどうぞと言ってキスをする。すると、ギュスターヴが割って入り、そんな破廉恥なことはダメだと怒り出す。2人は何の権利があってそんなことが言えるんだと言う。ギュスターヴは適切な反論ができずに、泣きながら家を出て行く準備をし始める。カトリーヌはギュスターヴがまだ自分を愛していることを悟って内心では喜ぶ。2人になると、ラバスタンスはカトリーヌにプロポーズする。カトリーヌはギュスターヴの意見も聞きたいと言い、家を出て行こうとするギュスターヴに相談をする。ギュスターヴは静かに〈ロマンス〉「君の心に訊いてごらん」(Consultez votre cœur,)と歌い出す。カトリーヌは自分の本当の気持ちを偽ることは出来ず、ギュスターヴへの愛情が爆発し、彼に抱きつくと熱烈にキスをする。驚愕するラバスタンスに実はカトリーヌは自分の別れた恋人だとギュスターヴが説明する。ラバスタンスは一旦は怒り出すが、こんなに良い娘なら仕方ない、結婚するなら仕送りを増やしてやろうとなる。カトリーヌは私を捨てたら「1人、2人、3人、4人、5人と男を作ります」と歌ってハッピーエンドとなる。
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全1幕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/07 23:10 UTC 版)
パリ中央市場(レ・アール) 食材など様々な商品を扱う売り子たちの呼び声が行きかい市場は活気に溢れている。近衛連隊の鼓笛隊長のラフラフラがやって来る。彼は陽気に「四旬節の晴れた日に」(Au beau jour de la mi-carême)と歌い出す。多額の負債を負ったラフラフラは小金持ちの市場の独身の女性の懐を狙って、彼女たちを口説き始める。しかし、経験豊富な女達に魂胆を見透かされ、簡単には行かない。 景気よく野菜を売りさばくマドゥ夫人は若いころ、一時期検察官と同棲し、子供まで生んだのだが、男に子供を奪われ逃げられていたのだった。一方、ブールフォンデュ夫人も初恋の税務官との間に子供をもうけたが、浮気な男に棄てられ、子供も男に引き取られてしまったのであった。それ以来、18年に亘って、2人の女は独身を通してきたのであった。ラフラフラは女たちに軽くあしらわれ、その場を立ち去る。すると、見習いのコックのクルト=オ=ポが現れる。彼は愛する野菜を売りの娘シブレットを探しながら「僕のシブレット」(Ma Ciboulette)を歌う。若くてハンサムなクルト=オ=ポを見かけると、マドゥ夫人とブールフォンデュ夫人はニンニクやニラを無料で彼の籠に入れてやり、気を引こうとする。彼はおばさんたちには一向に関心が無く、迷惑がる。ラフラフラが手押し車をひいて現れ、女にもてる男は邪魔だと考え、クルト=オ=ポを逮捕してしまう。ハンサムなクルト=オ=ポが捕らえられると、マドゥ夫人とブールフォンデュ夫人は諍いを始めるので、ポワルタペ夫人が喧嘩の仲裁に入るが、実はポワルタペ夫人もクルト=オ=ポを気に入っているので、理性を失い喧嘩に加わることになって、市場は大混乱となる。ポワルタペ夫人の悲鳴を聞いて、シブレット、警部、警官がこの場に駆け付ける。3人の女は口々に警部に訴えかけ、互いに警部引っ張っているうちに、警部を泉に落としてしまう。引き上げられた警部はカンカンに怒って、警官たちに3人の女たちを連行するように命令して立ち去って行く。 場はようやく静けさを取り戻す。一人残ったシブレットはこれからは商売に力を注がなくちゃと(アリア)「わたしは小さな果物売り」(Je suis la petite fruitière)を歌う。すると、ラフラフラが戻ってきて、可愛いシブレットに言い寄り、キスをしようとする。シブレットはびっくりして彼を突き放すが、全くの拒絶反応ではなく、僅かな好意と胸騒ぎも感じる。やがてポワルタペ夫人が警察の取り調べから釈放されて、戻ってくる。ポワルタペ夫人は警部に気に入られて、一杯奢ってもらっていたので、上機嫌だった。彼女はうろついていたラフラフラを見つけ、以前どこかで会ったことがあるのでは、かつてヴォジラールに住んでいたことはないかと質問する。彼は一瞬ギクッとするが、いやそんなことはないと答え、ポワルタペ夫人を口説き始める。ちゃんと結婚して君の2万フランの貯金も共有しようと彼女の手を取って「あなたは月」(Vous êtes la lune)と歌い出す。ポワルタペ夫人はそれをうっとりと聴くと、2人は腕をとって立ち去る。クルト=オ=ポは留置場の壁を乗り越えて、姿を現す。彼はシブレットを探している。シブレットは占い師に将来を占ってもらいに行っていたが、それによるとシブレットは馬鹿と結婚する運命だと言われたと話す。クルト=オ=ポはその馬鹿は正に僕だよと言い、プロポーズし、愛の2重唱となる。2人が抱き合って、キスしているところに、ブールフォンデュ夫人が現れ、こんな男と結婚するなんて許さないと言い、クルト=オ=ポを追い払ってしまう。シブレットは自分が好いた男と愛し合うのに何が問題だと機嫌を損ねる。両親さえ見つかれば、若くても結婚の許可がもらえるのにと悔しがる。 ブールフォンデュ夫人はそれを聞いて、まさかとは思いつつもシブレットの年齢や生まれなどを根掘り葉掘り質問する。すると、シブレットが18歳で、ヴォジラールで生まれたという事実を知って驚愕のあまり、泉に落ちてしまう。ポワルタペ夫人が駆け寄ってきて、ブールフォンデュ夫人を助け、一体何があったのかと尋ねる。ブールフォンデュ夫人はシブレットが自の娘であることが分かった経緯を説明する。娘の恋人を探しに走り出していく。シブレットも下宿のおばさんに親が見つかったことを報告しようと立ち去る。ポワルタペ夫人は自分の子供を捨てるなんて最低とブールフォンデュ夫人を非難し、市場の仲間に言い触らしてやると言う。ちょうどマドゥ夫人がやって来たところ、その話をすると、今度はマドゥ夫人が驚きのあまり泉に落ちてしまう。悲鳴を聞いて、ラフラフラ、シブレット、クルト=オ=ポらが駆けつけて、警部も到着する。泉から助け出されたマドゥ夫人がシブレットはブールフォンデュの娘ではなく、確かに自分の娘だと言い出す。マドゥ夫人とブールフォンデュ夫人が警部を挟んで、娘の奪い合いとなり、7重唱の〈ブルレスク〉「私は自分の子供を守る」(Je défendrai mon enfant !)となる。2人の母親からどちらを選ぶかと迫られて困り果てるシブレットだが、父親の形見として肌身離さず持っていた父からの手紙を思い出す。それを取り出して、クルト=オ=ポに読み上げさせる。手紙によれば、父が死を覚悟して戦地に赴く際に、赤子に残した認知状で、母親はセリメーヌ・クラブゾ、父親は近衛軍隊軍曹ラリソールと書かれていた。これを聞いた、ポワルタペとラフラフラの2人が卒倒して倒れ、泉に落ちてしまう。シブレットたちが2人を助け出すと、彼らは実は自分たちがあなたの両親なのだと告白する。ポワルタペは連隊のキャンプで私を誘惑したのはラフラフラだったのねと彼を睨みつける。ラフラフラは実は軍の極秘命令を受けて敵地に侵入する際に、シブレットも連れてヴォジラールから秘密裏に旅立たなければならなかったのだと言い訳をする。ポワルタペは事情を聞いて納得し、ラフラフラを許すことにする。これを見て、安心したシブレットとクルト=オ=ポは早速両親に結婚の許しを請う。勿論、両親は快諾し、ハッピーエンドとなる。
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