ドイツ国民受信機と放送局型受信機・国策型受信機とは? わかりやすく解説

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ドイツ国民受信機と放送局型受信機・国策型受信機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:22 UTC 版)

再生回路」の記事における「ドイツ国民受信機と放送局型受信機・国策型受信機」の解説

第二次世界大戦が始まる少し前頃から、政治思想普及資材統制などのため政府主導する形でのラジオ規格化普及ドイツ日本行われた低コスト大量生産可能なラジオ受信機実現するため、これらには単純な回路それなりの性能得られる再生回路使われた。 ドイツ国民受信機(独: Volksempfänger)は、ナチス・ドイツ一般国民対すプロパガンダ放送受信の手段として低価格販売されたもので、ライトホイザー博士を長とする委員会中心になって開発進めた最初国民受信機 VE-301 型は、1933年8月18日ベルリン国際無線展示会発表され発売初日10万台が売れたと言われる。この受信機は、製造コストできるだけ抑えること、および自国ローカル局およびドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)の放送確実に受信でき、イギリスBBCヨーロッパ向け放送(後のBBCワールドサービス)など他国放送局受信できないようにすることが重要だったため、部品点数少なく感度低め構成採用された。交流電源用や直流送電地域用、電池用、交直両用などの複数モデルがあり、使用真空管構成異なる。交流用の基本モデル VE301W は三極管 REN904 による再生検波回路(後に五極管 AF7 に変更)と五極管 RES164 による低周波増幅回路組み合わせ使用された。 後にはさらに価格抑えたドイツ小型受信機(Deutscher Kleinempfänger)DKE1938 型が販売された。この受信機三極管/四極管複合管 VCL11 の使用電源トランス省略など徹底的な資材節約行い価格は VE301W のほぼ半額35ライヒスマルクだった。DKE1938 型は1938年末までに70台が生産された。 ドイツ国民受信機 VE301W ドイツ国民受信機 VE301Wの内部構造 ドイツ国民受信機 VE301Wの回路図 日本では日本放送協会が「放送局受信機」の検討1938年頃から始めたドイツ国民受信機から影響を受けたもので、放送協会デザイン回路販売価格までを指定し、同じ物を量産することで一定上の品質持った標準受信機安価に提供することを目指していた。最も有名なものとして放送局123受信機があり終戦までに62台以上が生産された。当時一般的な受信機であり空襲警報玉音放送などの記憶とともに語られることも多い。この受信機は、五極管 12Y-V1 による高周波増幅回路五極管 12Y-R1 による再生検波回路五極管 12Z-P1 による低周波増幅回路からなり整流管には双二極管 24Z-K2 を用いた節約するため電源トランス用いないトランスレス方式採用し、また戦争末期になるほど物資の不足から作り簡素になっている。この受信機電解コンデンサ不良な判定困難な故障多く真空管が特殊で修理時に入手しにくかったせいもあり、非常に評判悪かった。以下に放送局受信機種別構成を示す。 放送局受信機放送局ラジオ)の種別構成名称使用真空管感度階級規格年度形式備考放送局1号 57 47B 12B 中電界 1938.1 並三 音改善のためプレート検波採用低感度 放送局3号 58 57 47B 12B 弱電界 1938.1 高一 音質改善のためプレート検波採用低感度 放送局11号 57 47B 12F 中電界 1939.3 並三 放送局1号感度改善省資源放送局122号 12Y-R1 12Z-P1 24Z-K2 弱電界 1940.10 並三 トランスレス方式 放送局123号 12Y-V1 12Y-R1 12Z-P1 24Z-K2 微電界 1940.10、1942.3 高一 トランスレス方式物資不足で段階的に仕様簡素化 また、放送局受信機とは別に資材節約という当時国策沿ってラジオメーカが独自に設計した普及受信機(「国策受信機」と呼ばれる)も数多く存在した。これらの受信機で最も一般的な構成真空管 UZ-57, UX-26B, UX-12A, KX-12F の組み合わせからなる並四で、初期国策受信機である「ナショナル国策1号型」(KS-1型)がこの構成である。1940年以降ラジオ統制強化により UX-26B に代わって UY-56 が使われるようになった。これらの受信機には、放送局受信機と同様、再生検波回路使われていた。 戦争が終わるとラジオ統制解除されGHQによる民主化の手段としてラジオ普及が行われることになったこのような背景から1945年9月には日本新たな標準受信機規格である「国民受信機規格検討始まり1946年日本通信機工業会から正式な規格発表された。この規格でも再生検波回路使われた。戦争中代表的な受信機だった放送局123号の構成国民1号として国民受信機規格採用されている。以下に国民受信機種別構成を示す。 国民受信機(戦後認定受信機)の種別構成名称使用真空管感度階級出力形式備考国民1号 12Y-V1 12Y-R1 12Z-P1 24Z-K2 微電界 300mW以上 高放送局123号と同構成、トランスレス方式 国民2号A 6D6 6C6 6Z-P1 12F 微電界 300mW以上 高一 国民型受信機主流モデルナショナル4M-106型など) 国民2号B 12Y-V1 12Y-R1 12Z-P1 12F 微電界 300mW以上 高一 国民型1号電源トランス使用版、後に廃止 国民2号C 6D6 6C6 42 12F 微電界 300mW以上 高一 後に廃止 国民3号 12Y-V1 12Y-R1 12Z-P1 24Z-K2 微電界 300mW以上 高ダイナミックスピーカー使用の高級型、トランスレス方式 国民4号A 6D6 6C6 42 80電界 1000mW以上 高ダイナミックスピーカー使用の高級型 国民4号B 6D6 6C6 6Z-P1 12F 微電界 300mW以上 高ダイナミックスピーカー使用の高級型 国民5号 57A 56A 12A 12F 弱電界 170mW以上 並四 旧式の2.5V管を使用GHQ指示により後に廃止 国民6号A 58A 57A 47B 12F 微電界 300mW以上 高旧式の2.5V管を使用、後に廃止 国民6号B 58A 57A 3Y-P1 12F 微電界 300mW以上 高6号Aの 47B を傍熱型の 3Y-P1 に変更、後に廃止 その後再生妨害発生する国民5号製造GHQにより禁止されヒーター電圧2.5Vの旧式真空管用いたものが廃止になるなど、見直し整理が行われた「普通級国民受信機規格」が1947年制定された。 また、上位規格である「超ヘテロダイン国民受信機規格」も同じ年に発表されスーパーヘテロダイン受信機標準化が行われた。これ以降多くメーカーから普及型のスーパーヘテロダイン受信機(五球スーパー)も発表されるようになった。この当時国内電源事情極めて悪く100ボルト電灯電圧半分以下に下がることもあり、電源電圧低下局部発振止まる受信できなくなるスーパーヘテロダイン受信機がすぐに主流となることはなかったが、1951年民間放送始まり 局数増加すると、徐々に感度選択度に優れたスーパーヘテロダイン方式への移行進んでいった。

※この「ドイツ国民受信機と放送局型受信機・国策型受信機」の解説は、「再生回路」の解説の一部です。
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