ガダルカナル島をめぐって
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「暁 (吹雪型駆逐艦)」の記事における「ガダルカナル島をめぐって」の解説
1942年(昭和17年)10月からはガダルカナル島増援作戦(鼠輸送)に従事する。10月14日、前日10月13日夜の第三戦隊(司令官栗田健男中将:金剛型戦艦2隻《金剛、榛名》)によるヘンダーソン基地艦砲射撃に乗じる形で、第三水雷戦隊司令官橋本信太郎少将が指揮する増援部隊(軽巡洋艦《川内〔三水戦旗艦〕、由良》、駆逐艦《朝雲、白雪、暁、雷》)は、陸軍兵士1,129名と軍需品をガダルカナル島エスペランス岬に輸送。「白雪」は特殊潜航艇甲標的の基地員輸送を担当した。 10月17日未明、三水戦司令官指揮下の軽巡戦隊(川内、由良、龍田)、第四水雷戦隊司令官高間完少将指揮下の水雷戦隊(秋月型1番艦《秋月》〔四水戦旗艦〕、第9駆逐隊《朝雲》、第11駆逐隊《白雪》、第6駆逐隊《暁、雷》、第2駆逐隊《村雨、夕立、春雨、五月雨》、第19駆逐隊《浦波、敷波、綾波》、第27駆逐隊《有明、白露、時雨》)はショートランド泊地を出撃、輸送物件(陸兵2159名、野砲6門、速射砲12門、弾薬、糧食)を各艦に搭載し、ガ島へ向かった。村雨・時雨と主隊から派遣された天霧・望月が飛行場砲撃を行う中、各隊は輸送に成功。だが米潜水艦グランパス (USS Grampus, SS-207) が「由良」を雷撃し、魚雷1本を命中させた(不発、由良の損傷軽微)。「暁」は「由良」を掩護して敵潜に対し爆雷攻撃を行うが、効果不明に終わった(グランパスに損傷はなかった。)。 10月19日、海軍は第二師団(丸山政男陸軍中将)による総攻撃でヘンダーソン飛行場を占領すればガダルカナル島沖のアメリカ軍艦船は退避するだろうと考え、駆逐隊をいくつか送って脱出艦船の掃討と物資輸送を行う計画を立てる。第一攻撃隊(主隊《川内、綾波、浦波、敷波》、突撃隊《暁、雷、白露》)、第二攻撃隊(秋月《第四水雷戦隊旗艦》、由良、村雨、五月雨、夕立、春雨)、甲増援隊(津軽、龍田、時雨、有明)、乙増援隊(白雪、天霧、望月)、挺身輸送隊(大発動艇部隊)、第三攻撃隊(千代田、日進、千歳)という区分が決定。10月24日昼以降、各隊はショートランド泊地を出撃。同日22時30分、ガ島部隊より『二一〇〇飛行場占領』の報告がはいり、外南洋部隊指揮官三川軍一第八艦隊司令長官は予定通りの行動を下令、各隊はガ島に向け進撃を開始した。 10月25日午前2時30分、ガ島派遣部隊より飛行場占領は誤報・激戦中との報告が第八艦隊に入り、つづいて飛行場周辺のアメリカ軍陣地爆撃と米軽巡1隻のルンガ泊地入泊の報告を受ける。第八艦隊は突撃隊と第二攻撃隊に陸戦掩護を命じ、突撃隊(指揮官山田勇助第六駆逐隊司令)の3隻(暁、雷、白露)はアメリカ軍小型機計4機の空襲を切り抜け、サボ島南方を通過してルンガ泊地に突入した。突撃隊は南方泊地に仮装巡洋艦1隻・小型船2隻、ツラギ方面に軽巡2隻(駆逐艦2隻と訂正)を発見、まずツラギ方面の敵艦へ向かう。突入時、掃海駆逐艦ゼイン(英語版) (USS Zane, DMS-14) が荷役作業中であったが、3隻の日本駆逐艦の出現により逃亡を図る。突撃隊(暁、雷、白露)はシーラーク水道(英語版)を突っ切って「ゼイン」まで5カイリに接近したところで砲撃を開始し、ゼインに命中弾1発を与えるが、主任務であるアメリカ軍陣地砲撃との兼ね合いからそれ以上の追撃はできなかった。再度ルンガ泊地に向かうと、今度はアメリカ海兵隊向けの軍需品をガダルカナル島に陸揚げ中の艦隊曳船セミノール(英語版) (Seminole, AT-65) と沿岸哨戒艇YP-284を発見、セミノールとYP-284は接近してきたのが日本駆逐艦だと知ると陸揚げ作業を打ち切り、直ちに逃亡を開始した。間髪入れず砲撃を開始し、YP-284を砲撃で炎上させて撃沈したのに続きセミノールも砲撃により撃沈した。突撃隊は小型輸送船1隻・仮装巡洋艦1隻の撃沈を記録した。続いて海兵隊陣地に対して艦砲射撃を開始するが、海兵隊陣地の5インチ海岸砲からの反撃により「暁」の三番砲塔の薬室に1発が命中して一時火災が発生、戦死者4名・重傷2名を出す被害を受けた。緊急注水により爆発は免れた。「雷」も緊急発進したF4Fワイルドキャット戦闘機の機銃掃射で損傷、銃撃で数名が死傷する被害を受けた。 突撃隊は無事にルンガ泊地から脱出したが、第二攻撃隊はアメリカ軍機の波状攻撃を受け、被弾炎上した軽巡「由良」が第2駆逐隊第2小隊(夕立、春雨)により自沈処分、秋月型駆逐艦1番艦「秋月」が中破した。四水戦旗艦は「秋月」から「村雨」に変更、のちに「朝雲」に変更された。第二攻撃隊の被害を受けて、他部隊のガ島突入は一時延期となる。10月26日午前1時、ガ島より『陸軍主力未ダ飛行場ニ突入スルニ至ラズ敵ノ防禦堅固ニシテ後図ヲ策スルノ要アルヲ思ハシムルモノアリ』の報告があり、日本陸軍総攻撃失敗と判断した外南洋部隊は作戦を中止、各隊はショートランド泊地へ戻った。南太平洋海戦で日米双方の機動部隊が正面対決する中での突入作戦だった。 11月初頭、外南洋部隊増援部隊は全力でガダルカナル島輸送作戦を実施することになった。11月1日深夜、第一攻撃隊(衣笠《三水戦旗艦》、川内、天霧、初雪)、甲増援隊(朝雲《四水戦旗艦》、天龍、村雨、春雨、夕立、時雨、白露、有明、夕暮、白雪、暁、雷)、乙増援隊(満潮、浦波、敷波、綾波、望月)はショートランド泊地を出撃。甲増援隊は警戒隊(朝雲、時雨)が哨戒する中、各隊は11月2日深夜に揚陸を開始するも、強風波浪のため装載艇各種9隻を喪失し、一部物資・陸兵を揚陸できなかった。乙増援隊の輸送は成功した。
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