「2060年」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/02 09:01 UTC 版)
「アイザック・ニュートンのオカルト研究」の記事における「「2060年」」の解説
2003年の2月から3月にかけて、多くのメディアが確かにニュートンによって書かれた無名・未発表の文書に注目した。この文書で、ニュートンは少なくとも2060年までは世界は滅びないと予測していたのである。このニュースは広く関心を集め、イギリスのデイリー・テレグラフ紙、カナダのナショナル・ポスト紙、イスラエルのマーリヴ (en:Maariv) 紙、イェディオト・アハロノト紙など大新聞の一面を飾り、ネイチャー誌などの科学雑誌でも特集が組まれた。その翌週、テレビやインターネットではさらに大きくこれを取り上げ、しまいには2060年の予言や、ニュートンの知られざる思想や研究を取り上げるドキュメンタリー映像も制作された。科学的合理性の権化といった一般的なニュートン像と、不合理な「世界の終わり」の予言の対比はそれ自体が避けがたくセンセーショナルな話題となった。 この予言について詳述している2つの文書は、現在エルサレムのイスラエル国立図書館に保管されている。アイザック・ニュートン「卿」(Sir Isaac Newton) と記してあることなどから、どちらもニュートンの晩年(1705年以降)に書かれたと考えられている。 これらの文章は出版する意図を持って書かれたものではないようで、ニュートンはこの中で人気取りのために黙示録の日を推測するものに対する個人的な強い嫌悪を表明している。また、ニュートンはこれらの文書の中で具体的な終末の日の日付を書いていない。 ニュートンの予測を理解するためには明らかな反三位一体論、教皇への宗教的視点など彼の神学上の信念を踏まえなければならない。このどちらもニュートンの計算にとって必須の要素であり、2060年という期間に密接に関係しているのである。詳しくはアイザック・ニュートンの宗教的視点 (en:Isaac Newton's religious views) を参照。 最初の資料はヤウダ・コレクションの一部で、手紙の紙片である。この裏にニュートンはダニエル書に関して以下のように走り書きしている。 Prop. 1. The 2300 prophetick days did not commence before the rise of the little horn of the He Goat. 2 Those day [原文ママ] did not commence a[f]ter the destruction of Jerusalem & ye Temple by the Romans A.[D.] 70. 3 The time times & half a time did not commence before the year 800 in wch the Popes supremacy commenced 4 They did not commence after the re[ig]ne of Gregory the 7th. 1084 5 The 1290 days did not commence b[e]fore the year 842. 6 They did not commence after the reigne of Pope Greg. 7th. 1084 7 The diffence [原文ママ] between the 1290 & 1335 days are a parts of the seven weeks. Therefore the 2300 years do not end before ye year 2132 nor after 2370.The time times & half time do n[o]t end before 2060 nor after [2344]The 1290 days do not begin [this should read: end] before 2090 nor after 1374 [sic; Newton probably means 2374] 予言1.予言における「2300日」は雄ヤギから角が生えた日以前から数えはじめるものではない。 2 これらの日(those day、原文ママ)はローマによる紀元70年のエルサレム征服・神殿破壊以前から数えはじめるものではない。 3 一時(いっとき)と幾時と半時(The time times & half a time)は教皇が支配権を確立する800年以前から数えるものではない。 4 これはグレゴリウス7世の治世の後、1084年以降から数えるものではない。 5 1290日は842年以前から数えはじめるものではない。 6 これはグレゴリウス7世の治世の後、1084年以降から数えるものではない。 7 1290日と1335日の違い(原文ではdeffence、differenceのことだと思われる)は7週間に収まる。 したがって、2300年間の終わりは2132年以前でもなければ、2370年以降でもない。一時と幾時と半時の終わりは2060年以前でもなければ2344年以降でもない。1290日の始まり(終わりの間違いか)は2090年以前でもなければ1374年(おそらく2374年の間違い)以降でもない。 2060年予測に関する二つ目の資料はフォリオ判の以下のような記述である。 So then the time times & half a time are 42 months or 1260 days or three years & an half, recconing twelve months to a yeare & 30 days to a month as was done in the Calendar of the primitive year. And the days of short lived Beasts being put for the years of lived [sic for “long lived”] kingdoms, the period of 1260 days, if dated from the complete conquest of the three kings A.C. 800, will end A.C. 2060. It may end later, but I see no reason for its ending sooner. This I mention not to assert when the time of the end shall be, but to put a stop to the rash conjectures of fancifull men who are frequently predicting the time of the end, & by doing so bring the sacred prophesies into discredit as often as their predictions fail. Christ comes as a thief in the night, & it is not for us to know the times & seasons wch God hath put into his own breast.「一時と幾時と半時」は、太古の暦法に合わせて一年を12か月・1か月を30日とすれば、3年半、すなわち42か月もしくは1260日間である。そして短命の獣の年月を長命の王国の年月に置き換える。1260日間を三人の王の征服からはじまると計算すると、2060年に終わることになる。これ以降に世界の終わりが訪れるのかもしれないが、これより早く終わる理由は私には見あたらない。この指摘は、終末がいつ来るか断言するものではない。空想家による性急な当て推量と、それが外れることによって神聖な予言に疑惑が湧くことを防ぐためのものである。キリストは夜盗のように(訳注 ひっそりと姿を隠して)やって来るのであり、我々は神の胸中にある来訪の時期を知るべくもないのである。 明らかに、ニュートンの数学的な終末予測は聖書の解釈のみに拠るものではなく、彼個人の神学的視点を通した特有の年代解釈にも基づいている。 ニュートンは2060年以降の出来事について、地球とそこに住む生物の消滅といった風に明言はしておらず、どちらかといえば神聖なる霊感を受けた平和な時代への移行とともに、世界が新しいものに置き換えられると信じていた。キリスト教やイスラム神学では、このような概念はイエスの再臨や神の王国の樹立として見受けられる。別の草稿では、ニュートンは黙示録21章と22章について以下のような解釈を書いている。 A new heaven & new earth. New Jerusalem comes down from heaven prepared as a Bride adorned for her husband. The marriage supper. God dwells with men wipes away all tears from their eyes, gives them of ye fountain of living water & creates all thin things new saying, It is done. The glory & felicity of the New Jerusalem is represented by a building of Gold & Gemms enlightened by the glory of God & ye Lamb & watered by ye river of Paradise on ye banks of wch grows the tree of life. Into this city the kings of the earth do bring their glory & that of the nations & the saints raign for ever & ever.新しい天と新しい地。新しいエルサレムが夫のために着飾られた花嫁のごとく天から降臨する。結婚の晩餐会。神は人々を思い煩って涙を涸らし、泉を贈り、小さき者どもを作り、完了する。新しいエルサレムの栄光と喜びは、金と宝石によって示され、神と子羊(神の子羊=キリストの称号のひとつ)の栄光に照らされ、生命の樹が茂る楽園の川に潤される。この街の中で、世界の王はみずからと民と聖人の栄光をもたらし、永久に統治する。
※この「「2060年」」の解説は、「アイザック・ニュートンのオカルト研究」の解説の一部です。
「「2060年」」を含む「アイザック・ニュートンのオカルト研究」の記事については、「アイザック・ニュートンのオカルト研究」の概要を参照ください。
- 「2060年」のページへのリンク