「2022年ロシアのウクライナ侵攻」後の報道の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 13:58 UTC 版)
「ウクライナにおける「ネオナチ問題」」の記事における「「2022年ロシアのウクライナ侵攻」後の報道の変化」の解説
2022年2月24日からのロシアのウクライナ侵攻では、ロシア政府はウクライナ進行のスローガンの一つとして、「ウクライナの非ナチ化」を掲げ、ウクライナ政府は「ネオナチの存在、またウクライナ政府がネオナチであるという事は、ロシア政府によるプロパガンダである」と発信した。 その後、Twitter上での「ウクライナ政府はネオナチ」という投稿をリツイートしたアカウントのうち、87%が反ワクチン関連、46・9%が米国の陰謀論集団「Qアノン」に関連する主張を過去にリツイートしていたとし、ウクライナ政府はネオナチとは無関係とした報道を東京大学の教授と日本経済新聞の共同により行った。上智大学名誉教授は、「確かにあそこにはソ連崩壊後、ネオナチ的な人が一部にいたようです。それが自衛団のような組織となり、クリミア併合後、ウクライナの正式な国家警備隊となったわけです。」とインタビューで答え、「ネオナチはこじつけ」と断言した。 日本経済新聞や読売新聞、毎日新聞は、ウクライナ進行後より日本での「ウクライナ政府はネオナチである」という発信はロシア政府のプロパガンダであり、親露派やワクチン忌避の人物達によるもので、「ウクライナ政府がネオナチ」と言う事はこじつけであり、また、ウクライナ政府とネオナチの関与、存在は陰謀論であるとする報道を行った。 ロシア側の侵略が容認される事は無いという事を前提として上で、ルポライターの清義明、アメリカの政治専門紙ザ・ヒル、イギリスの調査報道ベリングキャットやアメリカで最も著名なユダヤ系のニュースメディアである「フォーワード」紙は、ウクライナには白人至上主義や民族主義的な極右過激思想の「ネオナチ」の政治組織と政権への根深い癒着問題自体は長年存在しており、該当組織と政治への癒着をホワイトウォッシュ化する等のウクライナ政府側のプロパガンダに関しても警告している。 前提として「ネオナチ」という言葉は、ナチズムを源流とするアドルフ・ヒトラーの理念の復興の活動を行う「ネオナチ」と、「極右民族主義」や「ウルトラナショナリズム」を意味する「ネオナチ」の2種類がある。 行き過ぎた民族主義による極右過激思想を意味する「ネオナチ」は、第二次世界大戦におけるナチス・ドイツのイデオロギーであるナチズムの復権を目的とする原義的な「ネオナチ」とは違い、ユダヤ人か否かも関係なく人種を問わず欧米に多岐に存在し、これら政治組織、軍事組織、テロ組織等は、アメリカ合衆国国務省、連邦捜査局(FBI)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、日本公安調査庁等が警告している。 1990年代からアメリカ国内や国外の極右民族主義のネオナチは早期にインターネットを利用し、2000年代前半に登場したFacebookやYouTubeなどのSNSメディアを有効利用し始めた。連邦捜査局(FBI)は、この1990年代から2000年代前半の期間は電子メール等の利用を禁ずる等の情報管理を行っていた為、これら過激な民族主義者を追いきれない、また取り締まり切れない状況になっていった。 Netflixの番組「偽りなき偽りのデジタル社会」では、極右過激思想(ネオナチ)の発信方法はインターネット台頭以降変化したとしている。現在でも刺青を入れるなどの見た目での発信をする物達等もいるが、FacebookやYouTube等のSNSのアルゴリズムによる、視聴する側が興味を引く物を見せる「広告成功への最適化」を連邦捜査局(FBI)より以前にネオナチは熟知し、現在はスーツを着込むなどによって姿や言動を健全に見せ、愛国心や平和主義、民族主義の言葉を織り交ぜ、自国民や他国民に発信する手法になっている。 詳細は「ネオナチ」を参照 清義明は「現政権党首であるゼレンスキーがユダヤ人である為、またロシア政府が進行のプロパガンダとしている為、ウクライナにネオナチの軍事組織・政治組織に関与、また存在するわけが無い」などとする報道や、組織をホワイトウォッシュする報道は、ウクライナ側のプロパガンダだとした。
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