高速増殖炉 世界の高速増殖炉

高速増殖炉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/04 00:28 UTC 版)

世界の高速増殖炉

日本

  • 常陽 - 実験炉、1970年着工、1977年臨界。2007年6月に炉内で機器を損傷、現在停止中。熱出力140MW
  • もんじゅ - 原型炉、1980年着工、1994年臨界。1995年にナトリウム漏出火災事故、停止中であったが2010年5月6日運転再開。その後、炉内中継装置落下事故で再度停止。2016年廃止。電気出力280MW
  • (DFBR-1 - 実証炉、計画中止、計画電気出力670MW)
  • (JSFR開発試験炉 - 実証炉、計画中、電気出力500 - 600MW級 2025年頃導入の計画)
  • (JSFR商用導入炉 - 実用炉プロトタイプ、計画中、電気出力750 - 1000MW級 2035年頃導入の計画)
  • (JSFR実用炉 - 商用炉、計画中、計画電気出力1500MW×2のツインプラント 2050年頃に初号機導入の計画)

アメリカ合衆国

  • Clementine - 実験炉、1946年臨界、1952年閉鎖、熱出力25kW
  • EBR-I - 実験炉、1946年着工、1951年臨界、1963年閉鎖、電気出力0.2kW:世界初の原子力発電が行われた炉である
  • LAMPRE - 実験炉、1959年着工、1961年臨界、1965年閉鎖、熱出力1MW
  • EBR-II - 実験炉、1957年着工、1963年臨界、1994年9月閉鎖、電気出力20MW
  • エンリコ・フェルミ炉 - 実験炉、1956年着工、1963年臨界、1972年閉鎖、電気出力61MW:1966年10月5日に炉心溶融事故を起こしたため閉鎖された。
  • SEFOR - 実験炉、1965年着工、1969年臨界、1972年?閉鎖、熱出力20MW
  • FFTF - 高速増殖炉用燃料照射炉、1970年着工、1980年臨界、1993年廃止、電気出力400MW
  • CRBR - 原型炉、1982年着工、プルトニウム拡散防止政策のため、1983年計画中止
  • (SAFR - 原型炉、計画中止)
  • (一体型高速炉 - 原型炉、1988年概念選定、1994年9月計画中止)
  • PRISM - Power Reactor Innovative Small Module(革新的小型モジュール原子炉)。一体型高速炉の基本設計を引き継いでいる。
    • VTR(多目的試験炉) - PRISM型の1号機で2030年までに運転開始予定。熱出力300MW[23]

アメリカ合衆国は2006年2月からグローバル原子力パートナーシップ計画 "GNEP: Global Nuclear Energy Partnership" によって[24]核燃料サイクルとともに高速増殖炉の技術開発推進の立場に転じた。このプロジェクトには2008年1月1日時点で、日本を含む19か国が参加を決定している[注 5]。またこのプロジェクトによる高速増殖炉の実験炉と核燃料再処理施設建設の発注予定先として交渉相手に選ばれているのは三菱重工日本原燃アレバの3社である[25][26]。2009年に計画凍結となった。

フランス

  • ラプソディ (Rapsodie) - 実験炉、1962年着工、1967年臨界、1983年閉鎖、熱出力40MW
  • フェニックス (Phénix) - 原型炉、1968年着工、1973年臨界、2010年2月1日停止[27]、電気出力250MW
  • スーパーフェニックス (Superphénix) - 実証炉(後に実験炉)、1977年着工、1985年臨界、1998年閉鎖、電気出力120MW
  • ( スーパーフェニックス2 (Superphénix II) - 計画中止)
  • ( アストリッド (ASTRID) - 2019年8月30日計画放棄。2030年代運転開始予定、電気出力600MWを目指した[注 6][3]

欧州

フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、ベルギーの国際プロジェクトで、商業実証炉EFRにより2010年代の運転を目指していたが、設計研究終了後の1993年に計画中止となった。現在フランスを除いて高速炉の開発計画は存在しない。

イギリス

  • DFR - 実験炉、1955年着工、1959年臨界、1977年閉鎖、熱出力15kW
  • PFR - 原型炉、1966年着工、1974年臨界、1994年閉鎖、電気出力250MW
  • CDFR - 商業実証炉、計画中止。

ドイツ

  • KNK-II - 1975年熱中性子炉のKNK-Ⅰより改造した実験炉、1977年臨界、1991年8月閉鎖、電気出力20MW
  • SNR-300 - 原型炉、1973年着工、1991年3月計画中止、電気出力予定327MW
  • SNR-2 - 実証炉、計画中止。

イタリア

  • PEC - 実験炉、1976年着工、1987年計画中止、電気出力予定120MW。

ロシア(旧ソ連)

  • BR-1 - 実験炉、運転終了
  • BR-2 - 実験炉、運転終了・閉鎖
  • BR-3 - 実験炉、運転終了
  • BR-5 - 実験炉、のちにBR-10に改造。運転終了
  • BOR-60 - 実験炉、1965年着工、1969年臨界、熱出力12MW
  • BN-600 - 原型炉、1970年ベロヤルスク原子力発電所3号機として着工、1980年臨界、電気出力600MW
  • (BN-600M - 原型炉、建設されず)
  • BN-800 - 実証炉、1986年ベロヤルスク原子力発電所4号機として着工、1990年から2001年まで工事中断後に建設再開、2014年臨界。2015年12月商業発電を開始[28]。2016年8月定格出力880MWでの運転を開始[29][30]。2016年11月営業運転開始[31]
  • BN-1200 - 商用炉、2020年の運転開始を目標としていたが、核燃料の設計を改善する必要があり、また経済性に疑問があるためにかつて無期限に延期された[32][33][34][35]。再開した2016年にはベロヤルスク原子力発電所5号機として2025年の新規着工が計画され、新設のサウスウラル原子力発電所1、2号機としての着工も検討されている[29][30]
  • (BN-1600 計画中)
  • (BNM-170 計画中)
  • BREST-OD-300 原型炉段階の鉛冷却高速炉で2025年までに建設予定である[30][36]
  • (BREST-1200 計画中)鉛冷却高速炉 商用炉レベルの実証炉
  • (SVBR-100 計画中)鉛ビスマス冷却高速炉

カザフスタン(旧ソ連)

カザフスタン(旧ソ連)のBN-350
  • BN-350 - 原型炉、1965年着工、1972年臨界、電気出力150MW。1999年運転を終了した。

インド

国内に豊富に存在するトリウムの有効利用を考慮した独自の核燃料サイクルを目指している。フランスの技術を導入した[37]

  • FBTR - 実験炉、1976年着工、1985年臨界、電気出力13MW
  • Kalpakkam PFBR - 原型炉、2018年商業運転開始予定、電気出力公称500MW
  • (2023年までに4基の高速増殖炉を建設予定)

中国

ロシアの技術導入と並行して自主開発を行っている。商用炉は2030年頃の運転開始を目標としている。

  • CEFR - 実験炉、電気出力20MW:1988年に着工後、初臨界予定は2009年となっていた[38]が、2010年7月21日に初臨界となった。
  • CFR-600 - 実証炉。2017年12月29日着工、2023年完成予定。電気出力600MW[39]

韓国

  • (KALIMER概念設計) - 150MW、600MW、1200MWでの研究を行った[40]
  • PGSFR - 原型炉、電気出力150MW。2028年までに建設を計画中である。



注釈

  1. ^ 福島第一原子力発電所事故では、全電源喪失事故で、残留熱除去系が働かず、2号機、3号機はECCSによって数日持ちこたえた。つまり、ECCSは「LOCA専用」というわけではない。
  2. ^ 金属ナトリウムが漏出したときのために、循環系の設置される区域は窒素ガスが充填される。そのため、人間が容易にその区域に入ることが出来ず、緊急時のメンテナンス性が損なわれている。
  3. ^ プルトニウムが核兵器の原料となる危険があり、米国のカーター政権が高速増殖炉から撤退することを決めたのは、プルトニウムの拡散防止が理由の一つであった
  4. ^ 兵器級プルトニウムによって高性能な核兵器を作る目的だけに限らず、核廃棄物をばら撒く「ダーティボム」(汚い爆弾)としてなら、使用前・使用後にかかわらずあらゆる核物質が利用される恐れがある。
  5. ^ GNEPプロジェクトに参加する19か国の内訳は、米国、台湾、フランス、日本、ロシア、オーストラリア、ブルガリア、ガーナ、ハンガリー、ヨルダン、カザフスタン、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロヴェニア、ウクライナ、イタリア、カナダ、韓国である。
  6. ^ ASTRIDは燃料を自前で賄う self-generating 反応炉ではあるものの、増殖率が低く仰えられているので厳密には高速増殖炉ではなく、単に高速炉である。詳細は世界原子力協会発行の「Fast Neutron Reactors」を参照。

出典

  1. ^ 高速増殖炉 (03-01-01-01) - ATOMICA
  2. ^ 高速炉開発の方針(案)原子力関係閣僚会議(第6回)資料1 2016年12月21日
  3. ^ a b “高速実証炉断念。「原発大国」フランスは曲がり角”. 朝日新聞. (2019年9月6日). https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019090600005.html 2019年9月17日閲覧。 
  4. ^ 鹿志村芳範、安藤秀樹、「常陽」の実績から考察した高速炉の放射線管理 保健物理 Vol.30 (1995) No.1 P19-26, doi:10.5453/jhps.30.19
  5. ^ FaCTおよびFSの経緯および概要
  6. ^ a b 山田克哉著 『日本は原子爆弾を作れるのか』、PHP研究所、2009年1月30日第1版第1刷発行、ISBN 9784569706443
  7. ^ なぜ高速増殖炉の研究開発が必要か?-詳細-国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
  8. ^ 転換比 ATOMICA
  9. ^ 労多くして益少なし―不必要な「プルサーマル」 舘野淳 (PDF)
  10. ^ 高速炉の安全性”. 2010年4月9日閲覧。
  11. ^ 20020400原子力安全白書 平成13年版 1_2_2 高速増殖炉”. 2010年4月7日閲覧。
  12. ^ 高速増殖炉スーパーフェニックスの即時閉鎖(1998年12月30日) (14-05-02-12)”. 2010年4月8日閲覧。
  13. ^ 高木仁三郎『プルトニウムの恐怖』(岩波新書・1981年)159~160頁
  14. ^ 高速増殖炉 (1960) p.2
  15. ^ 国際熱核融合炉の建設さらに5年遅れ、巨額のコスト超過も=独誌” (2015年11月12日). 2015年11月21日閲覧。
  16. ^ 原子力エネルギー の展望”. 2015年11月21日閲覧。
  17. ^ 原子力白書 第3章 民間および国立研究機関における研究”. 2015年11月21日閲覧。
  18. ^ 原子力の現実 〜 今や商業化前夜の核燃料サイクルと、夢の海水ウラン研究開発huffingtonpost jp 2016年11月08日
  19. ^ 原発は過渡期のエネルギー 代替技術確立へ日米欧結集を”. 2015年5月7日閲覧。
  20. ^ 2030 年に向けた太陽光発電ロードマップ”. 2015年5月7日閲覧。
  21. ^ 長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告 (PDF)”. 2015年5月7日閲覧。
  22. ^ 太陽光発電・地熱発電・中小水力発電・バイオマス発電について資源エネルギー庁調達価格等算定委員会(第34回)配布資料2 P15 (2017年12月27日)
  23. ^ 原子力にいま起こっているイノベーション(前編)~次世代の原子炉はどんな姿?資源エネルギー庁2020年8月20日
  24. ^ GNEP
  25. ^ 三菱重工業は米国エネルギー省 (DOE) と原子力GNEP計画の契約を締結
  26. ^ 三菱重工と日本原燃 高速炉、米で合併 仏アレバと国際標準狙い[リンク切れ]
  27. ^ Nuclear Power Reactor Details - PHENIX”. 国際原子力機関. 2011年12月11日閲覧。
  28. ^ World’s most powerful fast neutron reactor starts supplying electricity to grid
  29. ^ a b ロシア:試運転中の80万kW級高速炉が定格出力で運転開始”. 一般社団法人 日本原子力産業協会. 2016年8月19日閲覧。
  30. ^ a b c Russia to build 11 new nuclear reactors by 2030”. World Nuclear Association. 2016年8月22日閲覧。
  31. ^ ロシア:80万kW級の高速実証炉「BN-800」が営業運転開始”. 一般社団法人 日本原子力産業協会. 2016年11月2日閲覧。
  32. ^ 高速増殖炉サイクルに関する国際的な研究開発の現状 (PDF)
  33. ^ 高速炉サイクル技術の国際動向 (PDF)
  34. ^ 高速炉の稼動で、ロシアでクリーンエネルギーの時代が始まる (2014/6/27) - RT
  35. ^ Russia postpones BN-1200 in order to improve fuel design
  36. ^ ロシアの高速炉サイクル開発戦略日本原子力研究開発機構 平成29年10月31日
  37. ^ インドの原子力発電計画と核燃料サイクルの見通し (PDF)
  38. ^ 日本原子力研究開発機構 「世界の高速増殖炉開発の実績は」 (PDF)
  39. ^ 福建省・霞浦で60万kWの高速実証炉を本格着工電気事業連合会 海外電力関連トピックス情報2018年1月22日
  40. ^ 世界の高速炉開発の動向 - 日本原子力研究開発機構 (PDF)


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