合板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/24 04:59 UTC 版)
分類や規格など
さまざまな分類法がある。材料となった樹木の種類による分類、材料となった単板の仕上がりの状態による分類、強度や剛性による分類、用途による分類、放出されるホルムアルデヒドの量による分類などである。
なお合板は、一般に水にかなり弱いが、船で使用するために特別に耐水性を強めた合板を「Marine Plywood マリン合板」と言う。高価だが船舶の内装のほか、船の種類によっては外装に使われることもある[6]。
米国
- 合板の材料のベニヤ(単板)の加工の質によるグレード
米国では、柔らかい木材の合板(≒建築用合板)の単板に着目して、「A」「B」「C」「D]の4つのグレード(等級)に分類されている。(まれに「C-plugged」という5つ目の等級も追加されることがある [7]。またそれらの等級の上に(広く市販されているわけではない、特注品として)「N」という等級も一応ある。
- Nグレードは、「自然な仕上がり」を求めた特注品。心材や辺材も選択できる。特注なので規格などには制約されない。また修復も含みうる。
- Aグレードは、滑らかで塗装可能。Aグレードは、(「Neatly made reapair permissible(丁寧な修復は許容範囲)」と規定されており)製造業者の中にはかなりうまく修復しているところもあるが、大抵の業者のものでは(多かれ少なかれ)修復跡やノット(材木の「目」など)を含む[7]。
- Bグレードは、いくつかの修復が施された固い表面。通常は、丸いパッチや木材でのフィラー(充填)も含む。1インチ以下の硬いノット(目)を含むが、木材の塊がない。小さな分割も多少含む[7]。
- Cグレードは、1から1/2インチ程度のサイズの硬いノット(目)があり、1インチまでのノットホール(穴)もある。割れ目や変色も多少含む[7]。
- Dグレードは、1/2インチから最大で2インチほどの大きさのノットホール(穴)がある。多少の分割。(そのかわり)一般に修復は無い[7]。
- 強度や剛性に焦点を合わせた合板の分類
「Classification of Softwood Plywood Rates Species for Strength and Stiffness」と言い、「GROUP 1」から「GROUP 5」までの5つのグループに分類されており、それぞれのグループごとに、含まれる樹木の種類と産地の組み合わせがリスト化されている。
たとえば「GROUP 1」のリストの冒頭は以下のようになっている。
(...) たとえば「GROUP 1」に含まれるのは、ブナではAmerican Beech(アメリカ・ブナ)のみ、カバノキではSweet BirchとYellow Birchのみ、ということになる。
日本
日本農林規格(JAS)では、「ロータリーレース又はスライサーにより切削した単板3枚以上を主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして、接着したもの」を合板としており、建築物の構造用に用いられる構造用合板、コンクリートの型枠に用いられるコンクリート型枠用合板(コンクリートパネル、コンパネ)、特に用途を定めない普通合板、構造用合板の表面等に美観を目的とする単板を貼った化粧ばり構造用合板、普通合板の表面等に美観を目的とする単板を貼った天然木化粧合板、普通合板の表面等にプリント、塗装等の加工をした特殊加工化粧合板の6種類を定めている[8]。かつては普通合板について、「難燃処理」や「防炎処理」が定められていたが、2014年の改正で廃止された[9]。
上述の通り、「コンパネ」はあくまでコンクリート型枠用合板のみのことであり、全ての合板を「コンパネ」と総称するのは間違いである(カテゴリ錯誤)。ホームセンターなどでも売られている「シナ合板(シナベニヤ)」は、天然木化粧合板のうちでも表面にシナノキを用いたものである。
構造用合板には強度等級があり、住宅等の構造上重要な部分には、必要な強度の構造用合板を用いなければならない。日本農林規格では、合板中の接着剤から放出されるホルムアルデヒドの量についての性能区分もあり、合板750cm2から24時間に放散するホルムアルデヒドの量が平均0.3mg/L以下であるF☆☆☆☆から、5.0mg/LのF☆の4段階の区分がある。現在では大半の製品がF☆☆☆☆を取得しているが、製造にホルムアルデヒドを発生する接着剤を使っていないわけではなく、その遊離を抑制するキャッチャー剤を配合しているだけで、依然として多くの合板でホルムアルデヒドを原料とする接着剤が使われている。
韓国
国立山林科学院告示第2015-8号「木材製品の規格と品質基準」では普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板、表面加工合板に分けられる[10]。
- ^ n.a. 著、日本建築学会 編『建築学用語辞典』岩波書店、1993年12月6日、665頁。
- ^ 堀岡邦典「ごうはん 合板」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p232 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
- ^ 河村進, 大畑敬, 村田功二「斜行型合板を用いた耐力壁の面内せん断性能」『材料』第58巻第4号、日本材料学会、2009年、280-285頁、doi:10.2472/jsms.58.280、ISSN 0514-5163、NAID 130000104435、2021年7月1日閲覧。
- ^ “The Man Who Made It Happen ? Alfred Nobel”. 3833. 2012年5月3日閲覧。
- ^ 現代の合板は誰が発明したか ミサワホーム総合研究所 2017年9月3日閲覧
- ^ [1]
- ^ a b c d e FamilyHandyman, "Understanding Plywood Grades"
- ^ “合板の日本農林規格” (PDF). 農林水産省. 2020年2月6日閲覧。
- ^ “合板の日本農林規格の一部を改正する件 新旧対照表” (PDF). 農林水産省. 2020年2月6日閲覧。
- ^ “木材製品の規格と品質基準”. 日本貿易振興機構. 2020年2月2日閲覧。
- ^ (財)日本住宅・木材技術センター、2008年、木材需給と木材工業の現況(平成19年度版): 93-109。
- ^ 農林水産省大臣官房統計部、2009、平成20年木材統計
- ^ 木材工業ハンドブックから引用。監修者:独立行政法人 森林総合研究所
- ^ 関口洋嗣, 田中邦明「南極昭和基地第10居住棟パネル合板の経年変化と接着耐久性」『南極資料』第46巻2A、2002年9月、504-511頁、doi:10.15094/00009244、ISSN 0085-7289、NAID 120005510183。
- ^ インテリア・デザイン 段谷産業株式会社 耐久性合板 実用新案 1997年B27D 登録番号2558301号
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