薄膜トランジスタ液晶
別名:TFT液晶
英語:Thin Film Transistor Liquid Crystal Display、TFT LCD
薄膜トランジスタと呼ばれる薄型化されたトランジスタを使用して実現される液晶ディスプレイのこと。2012年4月現在、携帯電話やスマートフォンなどで多く利用されている。
2012年4月現在、スマートフォンに一般的に使用されているタッチディスプレイは、薄膜トランジスタ液晶の上にタッチパネルを重ねる「グラスオングラス方式」によって実現されている。CNET Japanなどの報道によれば、次世代の「iPhone」には薄膜トランジスタ液晶のトランジスタにタッチセンサーを直接組み込んだ「インセル型タッチパネル」が採用される可能性があるという。
インセル型タッチパネルは、グラスオングラス方式に比べてガラス板の使用割合が少ないため、軽量化や薄型化が図りやすいという特徴がある。
関連サイト:
次世代「iPhone」、インセル型タッチパネルを採用か - CNET Japan 2012年4月21日
TFT液晶
TFT液晶とは、液晶ディスプレイの一種で、アクティブマトリクス方式の、薄膜状に加工されたトランジスタを用いるタイプのものである。PCの液晶ディスプレイの多くに採用され、現在の液晶パネルの主流方式となっている。
TFT液晶では、画面を構成する各ドットごとにトランジスタが表示を制御している。このため、均一でムラのない表示が可能となっている。また、応答速度が速く、コントラストも高く、トランジスタの電圧を変えることによる画面の明るさの調整が可能である。大画面ディスプレイに用いても画質が劣化せず、最近では視野角も178度とCRT(ブラウン管)並の見易さを実現したものもある。
液晶に含まれる成分として、原子が無秩序の状態で並んでいるアモルファスシリコンが使用されることが多いが、最近では、より上位の素材として多結晶シリコン(ポリシリコン)が用いられる場合もある。アモルファスシリコンは量産性に優れ、様々なサイズのパネルを製造可能となるが、多結晶シリコンはアモルファスシリコンに比べて電子の移動速度が100倍以上であり表示の応答やコントラストの面で優れている。
TFT以外の液晶ディスプレイの方式としては、単純マトリクス方式のSTNやDSTN、あるいはTFTと同じくアクティブマトリクス方式のTFDなどがあるが、いずれも利用される場面が多くTFTに取って代わられている。現在台頭しつつある方式としては、プラズマテレビに使用されているプラズマ液晶や、携帯電話のディスプレイとして見込まれる有機ELなどがある。
TFT液晶
(TFT LCD から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/14 01:22 UTC 版)
TFT液晶 (thin-film-transistor liquid-crystal display) また薄膜トランジスタ液晶は薄膜トランジスタをスイッチング素子として使用する表示素子であり、液晶ディスプレイや薄型テレビに幅広く使用される。
注釈
- ^ 低温ポリシリコンは東芝が開発した
- ^ TN型はアクティブ・マトリクス駆動でも利用されているが、単純マトリクス駆動と比べると要求される表示品位が異なるため、設計パラメータは異なる。
- ^ 液晶パネルのサブ画素を透過部と遮光部とに分けた場合の全体に占める透過部の面積比。
- ^ 電圧印加時の画素内の配向が1つの回転方向にある場合には、視野角が広いものの、傾斜方向からの観察を行うと傾斜方位(画面に向かって傾斜させるときの傾斜の方位)に依存するような色づき(色度変化)が残ってしまうが、これは、液晶の回転する方向が互いに逆となる領域を画素内に設けるような電極構成をとることにより、互いに相殺しあって小さくされている。
- ^ IPS型の派生形式には日立のS-IPS (Super-In Plane Switching) 型、NECのSA-SFT型がある。IPSは日立ディスプレイの登録商標である。
- ^ 日本のシャープ社では新たにUV2Aという液晶表示モードを開発し、2009年10月から堺工場と亀山第2工場で従来のASV型の生産を全面的に切り替えると発表した。このUV2A型は配向膜に特殊な高分子材料と紫外線を使うことでリブやスリットが不要になり、紫外線照射設備は新たに必要とするものの全体で生産効率が向上するだけでなく、開口率が20%拡大、光漏れが低減しコントラスト比が1.6倍、応答速度が4ms以下と従来の2倍と性能も大きく向上するとしている。
- ^ MVA型には、ディスプレイ・メーカーによってそれぞれの工夫が加えられて名称も異なるものが付いている。例えばシャープはCPA (Continuous Pinwheel Alignment) 型とASV (Advanced Super View) 型、MVA (Multi-domain Vertical Alignment) 型(MVA型は元は富士通のものだったが事業部がシャープに吸収された)、サムスン電子はPVA (Patterned Vertical Alignment) 型と呼んでいる。CPA型ではMVA型の特徴であり問題点でもあるドメインを形成せずディスクリネーションも発生させないように、従来は列状だった電極突起「リブ」を円錐形にすることで液晶分子の傾斜方向を360度全方向に均等に配向させている。応答速度も25ms程度と良好である。ただし、液晶分子が360度均等になると分子の長軸と偏光フィルムの偏光軸とが平行になる部分が生まれて光を透過しなくなるので、その方向だけが十字状に黒くなる。これを避けるために、カイラル剤によって配向に捩れを作り十字状の影を低減している。
- ^ Πセルと呼ばれるOCB用液晶分子の液晶材も2枚のガラス間に注入直後はスプレイ配向と呼ばれるほぼ面内方向を向いて整列しているが、最初に2V程度の電圧を1分ほど掛けると分子が弧を描いて並ぶOCB型の特徴的なベンド配向になり、以後は電界がなくともこれが維持される。
- ^ OCB型では、2009年7月現在で民生品では32型での試作段階である。
- ^ OCB型の高速応答性を利用して、フィールド・シーケンシャル・カラー (FSC) 方式の液晶ディスプレイが作られることもある。例えばサムスン電子は2005年10月にLEDバックライトを使うことでOCB型でFSC方式の32型カラーTVを発表している。
出典
- ^ 鈴木八十二著 『液晶ディスプレイ用語集』、日刊工業新聞社、2008年10月28日初版1刷発行、ISBN 9784526061479
- ^ a b 小林駿介著 『液晶、その不思議な世界へ』、オーム社、2007年11月30日第1版第1刷発行、ISBN 9784274204449
- ^ a b c 山崎照彦、他著 『カラーTFT液晶ディスプレイ』、共立出版、2005年10月30日改訂版大1刷、ISBN 4320086236
- ^ a b c 西久保晴彦著 『これで薄型ディスプレイのすべてがわかる』、秀和システム、2006年6月1日第1版第1刷発行、ISBN 4798013242
- ^ 小谷卓也 『"30年の夢"光配向液晶を実用化 シャープが堺新工場に全面導入へ』、日経エレクトロニクス2009年10月5日号、8-9頁
- ^ 西久保靖彦著 『大画面・薄型ディスプレイの疑問』、ソフトバンク・クリエイティブ、2009年3月24日初版第1刷発行、ISBN 9784797350531
- ^ 日経エレクトロニクス、2009年7月27日号、81頁
- ^ “ナナオ、OCB方式を採用した広視野角の液晶テレビなど2機種を発表”. CNET Japan (2004年9月30日). 2022年7月8日閲覧。
- ^ “ナナオ、応答速度5.5m秒のOCB液晶パネルを採用したデジタルハイビジョン液晶テレビ”. RBB TODAY. 2022年7月8日閲覧。
- 1 TFT液晶とは
- 2 TFT液晶の概要
- 3 関連項目
薄膜トランジスタ
(TFT LCD から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 21:18 UTC 版)
薄膜トランジスタ(はくまくトランジスタ、thin film transistor、TFT)は、電界効果トランジスタ(field effect transistor、以下FET)の1種である。基本的に三端子素子(バックゲート端子 (B) が存在しない)である。主に液晶ディスプレイ (LCD) に応用されている。半導体活性層としてセレン化カドミウム (CdSe) を使ったTFTは固体撮像素子用として1949年に発表され、1973年にLCDの駆動が発表された。半導体としてケイ素 (Si) を用いるものには、アモルファス膜と多結晶膜とがあり、アモルファス膜は1979年に英国ダンディ大学で開発され、その後日本を中心にLCD用に活発に研究開発が進んだ。アモルファスSiと多結晶SiのTFTは、カラーTFT LCDとして広く応用されている。現在、最も多くのPCで使われている液晶で、携帯電話や携帯情報端末、携帯ゲーム機でも普及してきているが若干、高価である。
- 1 薄膜トランジスタとは
- 2 薄膜トランジスタの概要
- 3 表示装置以外で使用される薄膜トランジスタ
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