エボラ出血熱
別名:エボラ熱、エボラウイルス疾患、エボラウイルス感染症、エボラウイルス病、エボラウィルス疾患、エボラウィルス感染症、エボラウィルス病気
英語:Ebola Virus Disease、EVD
エボラウィルスを病原とするウィルス性の出血熱。近年、公式名称が「EVD」に改められた。
エボラ出血熱は中央アフリカで集中的に発生・蔓延している。1970年代にはじめて確認され、以来、断続的に流行している。一度の流行で数十名から百名以上の死者を出している。2014年現在、ワクチンも効果的な治療法も確立されていない。
エボラ出血熱は致死性が極めて高いことで知られる。感染した患者が死に至る確率は70パーセント以上とも75パーセント以上とも、場合によっては90パーセントを超えるケースがあるとも言われている。感染危険度の目安としてもしばしば参照されるバイオセーフティレベル(BSL)では、エボラ出血熱は最高ランクの「グループ4」に分類される。
エボラ出血熱への感染をもたらす自然宿主は、コウモリではないかと推定されているが、2014年現在では特定には至っていない。なお、エボラ出血熱は動物にもヒトにも感染するズーノーシス(人畜共通感染症)であるが、とりわけヒトに対する感染力と致死性が高い。ヒトからヒトへの感染力もきわめて高い。
2014年3月に、ギニアでエボラ出血熱の発症および流行が確認された。国境なき医師団(MSF)は、3月末時点で死者78名、感染の疑われる患者は120余名に上っていると報告した。その後もエボラ出血熱の流行は感染拡大を続けている。
2014年8月には、WHOが西アフリカでエボラ出血熱による死者が880名を超えたと報告した。同月、西アフリカのリベリアでは非常事態宣言が出された。9月初頭には死者が1900人を超えた。
エボラ出血熱はさらに拡大感染を続けており、局地的な大流行(アウトブレイク)の域を超えて世界規模(パンデミック)に至る可能性が濃厚になりつつあると危惧されるに至っている。アフリカに滞在した後に飛行機で移動し、空港到着後に発熱、エボラ発症の疑いで緊急隔離される、といった騒ぎがスペイン、米国、日本などでも起こっている。
2014年11月には、エボラ出血熱による死者が5000人を超えた。WHOが発表した。
リベリアで2014年8月に発令された非常事態宣言は、2014年11月に解除された。その後エボラ出血熱の勢威はごく緩やかにではあるが収束してゆき、2015年5月にはリベリアでエボラ出血熱の流行終息が宣言されるに至った。ただしギニアやシエラレオネなどでは依然としてあらたな感染者が出続けている。
関連サイト:
ギニア:エボラ出血熱が「前例のない規模」の流行に - 国境なき医師団 2014年04月01日掲載
ギニア共和国: エボラ出血熱、首都で4件の発症を確認 - 日本ユニセフ
エボラ出血熱について(ファクトシート) - 厚生労働省検疫所
Ebola virus disease (EVD) - WHO(世界保健機関)
Ebola outbreak deaths pass 5,000 - BBC News, 12 November 2014
イー‐ブイ‐ディー【EVD】
読み方:いーぶいでぃー
EVD
読み方:イーブイディー
別名:強化多用途ディスク
EVDとは、光ディスクの規格の一種で、1999年から中国で独自に開発が進められた規格のことである。2004年に対応製品が発売されている。
EVDのディスク形状は直径120mm、厚さ1.2mmで、DVD規格のサイズと同じである。データの読み書きが650nm(ナノメートル)の光波長によって行われる点もDVDと同じである。記録できる映像の品質はDVDよりもEVDが優れており、DVDが約720×567の解像度で映像を再生しているのに対して、EVDでは1920×1080の解像度で映像を再生することが可能であるとされている。記録容量はDVDもEVDも大差がないとされている。
EVDは中国独自に策定された仕様であるため、中国としては、従来のようにDVD規格を採用した場合に比べてライセンス料を低く抑えることが可能になる。ライセンス料を抑えることができればプレーヤーなどの製品価格を下げることも可能になる。そのため、中国では政府の支援の下で、国内における規格の標準化や普及が推進されている。2006年12月には、海爾(ハイアール)など中国の電機大手メーカーらによってEVD対応型プレーヤーが多数発売され、同じ時期に中国政府からは、2008年をめどに現行のDVDプレーヤー生産を停止してEVD対応プレーヤーのに移行するという趣旨を含んだ声明文「北京宣言」が発表されている。
なお、EVDのように「次世代光ディスク」と総称される規格としては、DVDフォーラムが策定したHD DVDや、ソニーや松下電器産業が中心となって策定したブルーレイディスクなどを挙げることができる。
参照リンク
FairfaxDigital - Chinese firms to dump DVD standard - (英文)
EVD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/26 09:10 UTC 版)
Enhanced Versatile Disk EVD |
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メディアの種類 | 光ディスク |
記録容量 | 片面1層4.7GB |
コーデック | VP5・VP6・EAC2.0 |
読み取り方法 | 650nm赤色ヒ化ガリウムレーザー |
策定 | 北京阜国数字技術 |
主な用途 | 動画 |
ディスクの直径 | 12cm |
大きさ | φ12cm×1.2mm |
上位規格 | なし |
下位規格 | なし |
EVD(Enhanced Versatile Disk、イーブイディー)は、中国で独自に開発され、中国国内のみで利用されているデジタル記録式の光ディスク。
DVDを拡張した規格だとされ[1]、張宝全が中心人物となり、規格の普及活動が中国国内で行われていた。
規格
中国政府の支援の下、海爾集団(ハイアール)やTCL集団などの19社の中国の電機メーカーが参加する北京阜国数字技術によって1999年より開発が開始され、2003年11月に規格が策定された。
メディアのディスク構造は現行のDVDと同様の、1層0.6mmのポリカーボネートを2層張り合わせた構造となっており、厚さは1.2mm、直径12cmである。また使用する光源もDVDと同様の650nm赤色ヒ化ガリウムの固体半導体レーザーを用い、片面1層4.7GB、片面2層8.5GBの記憶容量を持つ。
ファイルシステムは光ディスク共通のユニバーサルディスクフォーマット (UDF) であるが、映像と音声の記録形式がDVDと異なる。映像の記録形式はOn2 TechnologiesのVP5およびVP6を使用し、音声の記録形式はCoding TechnologiesのEAC2.0 (Enhanced Audio Codec 2.0) を使用する[2]。これらはDVDが使用しているMPEG-2に比べライセンス料が安く[1]、それによって中国国内でのデジタル形式のビデオプレイヤーの低価格化を狙ったとされる。またBlu-ray Discに採用されているH.264/MPEG-4 AVCよりも圧縮率が高く、エンコード・デコード速度も高速とされる[2]。
動画サイズは1080i(1920×1080ピクセル)と720p(1280×720ピクセル)での記録が規格化されており、標準的なデータ転送速度は1080iで16Mbps、720pで9Mbpsとなっている。
なお、EVD2と呼ばれる規格も存在し、最新のEVD規格としてセールスが行われているが、これは以前HVDと呼ばれていた全く別の規格であり、元々のEVDとは互換性を持っていない[3]。
発売・撤退
北京阜国数字技術に参加する中国の電機メーカーはDVD単体機の生産を2008年までに中止すると発表しており[4]、これにより中国国内ではEVDが標準規格となることが一部では期待されていた。しかしEVDは著作権保護技術が弱かったため、ハリウッドはEVDに関して消極的であったため、ソフトが集まらなかった[1]。結果DVD単体機の生産も中止されなかった[1]。
一方で2008年3月にはHD DVDに続き、EVDも撤退の危機に直面していると北京日報により報じられ[5]、Blu-ray Disc陣営が中国市場への普及を図る中、EVDは技術的な改良に伴い、HD-EVDへと名称の変更が発表される。新たなHD-EVD再生機は2008年末に発売される予定で、価格は1000元(約1万3653円)程度と予想された[6]。また、NNA ASIAによると、業界内では悪あがきとの声が強いという[7]。こうしてBlu-ray Discによって、中国国内の家電店からもEVD機器はほとんど見られなくなった[1]。
発売されている主なタイトル
- ブラックマスク2(2002年)
- ビッグ・ママズ・ハウス(2002年)
- HERO ディレクターズカット版(2002年)
- LOVERS(原題『十面埋伏』、House of Flying Daggers)(2004年)
脚注
- ^ a b c d e 御池 2008, p. 31.
- ^ a b 御池 2008, p. 30.
- ^ 山谷剛史、「迷走する“EVD”を試しに購入してみた(前編)(後編)」、ITmedia、2007年1月28日。
- ^ 「中国、独自DVDを推進・現行機生産08年までに停止」、日本経済新聞、2006年12月3日。
- ^ EVDも危機に直面、業界団体は撤退の可能性示す、中国情報局NEWS 2008年3月4日
- ^ 中国EVD:HD―EVDと改名、ブルーレイと競争開始、China Press、2008年3月18日
- ^ 名称HD-EVDに、定着狙う中国独自規格[家電]、NNA.ASIA、2008年3月26日(会員登録が必要)
参考文献
- 御池鮎樹『ブルーレイディスク徹底研究 「仕組み」から「周辺技術」の流れまで完全解説!』工学社〈I/O BOOKS〉、2008年7月25日。ISBN 978-4777513796。
関連項目
- E V Dのページへのリンク