Enhanced Versatile Discとは? わかりやすく解説

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EVD

フルスペル:Enhanced Versatile Disc
読み方イーブイディー
別名:強化多用途ディスク

EVDとは、光ディスク規格一種で、1999年から中国独自に開発進められ規格のことである。2004年対応製品発売されている。

EVDのディスク形状直径120mm厚さ1.2mmで、DVD規格サイズと同じである。データ読み書きが650nm(ナノメートル)の光波長によって行われる点もDVDと同じである。記録できる映像品質DVDよりもEVDが優れており、DVDが約720×567解像度映像再生しているのに対して、EVDでは1920×1080の解像度映像再生することが可能であるとされている。記録容量DVDもEVDも大差がないとされている。

EVDは中国独自に策定され仕様であるため、中国としては、従来のようにDVD規格採用した場合比べてライセンス料低く抑えることが可能になるライセンス料抑えることができればプレーヤーなどの製品価格下げることも可能になる。そのため、中国では政府支援の下で、国内における規格標準化普及推進されている。2006年12月には、海爾ハイアール)など中国電機大メーカーらによってEVD対応型プレーヤー多数発売され、同じ時期中国政府からは、2008年をめどに現行のDVDプレーヤー生産停止してEVD対応プレーヤーのに移行するという趣旨含んだ声明文北京宣言」が発表されている。

なお、EVDのように「次世代光ディスク」と総称される規格としては、DVDフォーラム策定したHD DVDや、ソニー松下電器産業中心となって策定したブルーレイディスクなどを挙げることができる。


参照リンク
FairfaxDigital - Chinese firms to dump DVD standard - (英文
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EVD

(Enhanced Versatile Disc から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/26 09:10 UTC 版)

Enhanced Versatile Disk
EVD
メディアの種類 光ディスク
記録容量 片面1層4.7GB
コーデック VP5・VP6・EAC2.0
読み取り方法 650nm赤色ヒ化ガリウムレーザー
策定 北京阜国数字技術
主な用途 動画
ディスクの直径 12cm
大きさ φ12cm×1.2mm
上位規格 なし
下位規格 なし
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EVD(Enhanced Versatile Disk、イーブイディー)は、中国で独自に開発され、中国国内のみで利用されているデジタル記録式の光ディスク

DVDを拡張した規格だとされ[1]、張宝全が中心人物となり、規格の普及活動が中国国内で行われていた。

規格

中国政府の支援の下、海爾集団(ハイアール)やTCL集団などの19社の中国の電機メーカーが参加する北京阜国数字技術によって1999年より開発が開始され、2003年11月に規格が策定された。

メディアのディスク構造は現行のDVDと同様の、1層0.6mmのポリカーボネートを2層張り合わせた構造となっており、厚さは1.2mm、直径12cmである。また使用する光源もDVDと同様の650nm赤色ヒ化ガリウムの固体半導体レーザーを用い、片面1層4.7GB、片面2層8.5GBの記憶容量を持つ。

ファイルシステムは光ディスク共通のユニバーサルディスクフォーマット (UDF) であるが、映像と音声の記録形式がDVDと異なる。映像の記録形式はOn2 TechnologiesのVP5およびVP6を使用し、音声の記録形式はCoding TechnologiesのEAC2.0 (Enhanced Audio Codec 2.0) を使用する[2]。これらはDVDが使用しているMPEG-2に比べライセンス料が安く[1]、それによって中国国内でのデジタル形式のビデオプレイヤーの低価格化を狙ったとされる。またBlu-ray Discに採用されているH.264/MPEG-4 AVCよりも圧縮率が高く、エンコード・デコード速度も高速とされる[2]

動画サイズは1080i(1920×1080ピクセル)と720p(1280×720ピクセル)での記録が規格化されており、標準的なデータ転送速度は1080iで16Mbps、720pで9Mbpsとなっている。

なお、EVD2と呼ばれる規格も存在し、最新のEVD規格としてセールスが行われているが、これは以前HVDと呼ばれていた全く別の規格であり、元々のEVDとは互換性を持っていない[3]

発売・撤退

北京阜国数字技術に参加する中国の電機メーカーはDVD単体機の生産を2008年までに中止すると発表しており[4]、これにより中国国内ではEVDが標準規格となることが一部では期待されていた。しかしEVDは著作権保護技術が弱かったため、ハリウッドはEVDに関して消極的であったため、ソフトが集まらなかった[1]。結果DVD単体機の生産も中止されなかった[1]

一方で2008年3月にはHD DVDに続き、EVDも撤退の危機に直面していると北京日報により報じられ[5]、Blu-ray Disc陣営が中国市場への普及を図る中、EVDは技術的な改良に伴い、HD-EVDへと名称の変更が発表される。新たなHD-EVD再生機は2008年末に発売される予定で、価格は1000元(約1万3653円)程度と予想された[6]。また、NNA ASIAによると、業界内では悪あがきとの声が強いという[7]。こうしてBlu-ray Discによって、中国国内の家電店からもEVD機器はほとんど見られなくなった[1]

発売されている主なタイトル

脚注

  1. ^ a b c d e 御池 2008, p. 31.
  2. ^ a b 御池 2008, p. 30.
  3. ^ 山谷剛史、「迷走する“EVD”を試しに購入してみた(前編)(後編)」、ITmedia、2007年1月28日。
  4. ^ 中国、独自DVDを推進・現行機生産08年までに停止」、日本経済新聞、2006年12月3日。
  5. ^ EVDも危機に直面、業界団体は撤退の可能性示す中国情報局NEWS 2008年3月4日
  6. ^ 中国EVD:HD―EVDと改名、ブルーレイと競争開始、China Press、2008年3月18日
  7. ^ 名称HD-EVDに、定着狙う中国独自規格[家電]、NNA.ASIA、2008年3月26日(会員登録が必要)

参考文献

  • 御池鮎樹『ブルーレイディスク徹底研究 「仕組み」から「周辺技術」の流れまで完全解説!』工学社〈I/O BOOKS〉、2008年7月25日。ISBN 978-4777513796 

関連項目



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