表現型分散の詳細
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/08 08:09 UTC 版)
一般に全表現型分散 V P {\displaystyle V_{P}} は、全遺伝分散 V G {\displaystyle V_{G}} 、環境分散 V E {\displaystyle V_{E}} 、遺伝と環境の相互作用による分散 V G E {\displaystyle V_{GE}} 、遺伝と環境の共分散 C G E {\displaystyle C_{GE}} の和になる。 V P = V G + V E + V G E + 2 C G E {\displaystyle V_{P}=V_{G}+V_{E}+V_{GE}+2C_{GE}} 遺伝と環境の相互作用による分散 V G E {\displaystyle V_{GE}} は、遺伝と環境の影響が非相加的な場合に生じる。例えばある環境で、ある遺伝子型の効果が大きくなる場合である。遺伝と環境の共分散 C G E {\displaystyle C_{GE}} は、優れた遺伝子型に良い環境が与えられる場合に生じる。例えば、乳量の多い乳牛により多くの飼料を与える場合である。遺伝と環境の共分散は、よく管理された育種実験では多くの場合無視できる。 さらに全遺伝分散 V G {\displaystyle V_{G}} は、相加的遺伝分散 V A {\displaystyle V_{A}} 、優性(ドミナンス)分散 V D {\displaystyle V_{D}} 、相互作用(エピスタシス)分散 V I {\displaystyle V_{I}} の和に分解できる。後者2つは非相加的な遺伝の分散である。 V G = V A + V D + V I {\displaystyle V_{G}=V_{A}+V_{D}+V_{I}} 環境分散は、共通環境の分散 V E C {\displaystyle V_{EC}} と非共通環境の分散 V E W {\displaystyle V_{EW}} に分割できる。 V E = V E C + V E W {\displaystyle V_{E}=V_{EC}+V_{EW}} 共通環境の分散は家族間の分散に寄与し、家族内の分散には寄与しない。非共通環境の分散は血縁に関係なく生じる分散である。
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