2018年9月以降の日本における感染拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 03:48 UTC 版)
「豚熱」の記事における「2018年9月以降の日本における感染拡大」の解説
1992年(平成4年)、熊本県で日本の感染例以後は確認されていなかったが、2018年(平成30年)9月に岐阜県岐阜市の養豚場で発生が確認され、豚熱(当時の報道の名称は「非アフリカ豚コレラ」)と判明している。同月末、中華人民共和国は直接・間接を問わず、日本からのブタ・イノシシの輸入を禁止する公告を出し即日実施した。 2018年12月22日付の発表で、愛知県においても陽性の野生イノシシが犬山市内で確認報告され、2019年3月5日には陽性の野生イノシシが犬山市・春日井市で継続して確認された。2019年2月6日には豊田市の養豚場でも陽性の患畜と認められた上に、同養豚場から出荷された子豚から上記の1府4県に拡散されたことも確認された。愛知県内でも2019年2月6日以降は殺処分(防疫)および消毒を随時行った。 2019年3月28日には、岐阜県郡上市で野生イノシシのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)陽性が確認された。今後のイノシシの捕獲数にも影響があり、またシカ肉に対してもジビエ関係者に疑問の声が挙がっている。2019年4月16日には感染拡大が収まらない背景で、岐阜県JA家畜伝染病対策本部では飼育豚ワクチン接種要請書を岐阜県知事に提出した。同日に岐阜市の食肉処理場に搬出した豚に異常があったとして、陽性反応の確認から豚63頭が処分されている。養豚場経営の農家の中ではいつ終わるか分からない心境で常時消毒をしており、千頭単位の殺処分が行われ1農家だけでも損害額が1億円超は計上する。養豚再開の繋ぎとしては牛の飼育を検討しており、子豚の市場出荷に関しても岐阜県内を理由として敬遠されると、風評被害傾向にあると報道されている。 また、農林水産省は2019年5月28日、岐阜県と隣接する長野県・滋賀県・三重県にも野生イノシシへのワクチン入りの餌投与をする検討と報道された。 2019年6月14日には、三重県でも陽性の野生イノシシが発見された岐阜県養老町から近い養豚農家1箇所において監視体制が敷かれていた中で、同月26日に三重県いなべ市で陽性の野生イノシシが発見された。 2019年7月8日には、福井県大野市で感染した野生イノシシが発見され、死亡イノシシの消毒やワクチン入り餌を検討している。2019年7月12日には長野県内でも木曽町で陽性の野生イノシシが発見された。2019年7月30日には富山県でも富山市葛原地内で同月27日に死亡で発見した野生イノシシが陽性と判明した。2019年9月18日には滋賀県内でも多賀町で陽性の野生イノシシが発見されている。 2019年9月13日、国内41例目として埼玉県秩父市の養豚場で、豚コレラが発生したと発表した。感染地域の拡大を受けて、2019年9月28日にブタへの感染を防ぐ豚コレラワクチン接種を決めたため、停止されていた「清浄国」の認定が取り消しとなる方向。 2019年(令和元年)9月14日時点で、愛知県・長野県・滋賀県・大阪府・三重県・埼玉県の養豚場に感染範囲を拡大し、養豚場を消毒の上に検査において陽性豚については殺処分が行われた。後述の通り、野生イノシシでの感染が継続して報告されており、農林水産省は2019年(平成31年)2月22日の報道発表資料で、野生イノシシに対して餌ワクチンを設置する方針を発表した。 ただし、飼育豚に対してワクチンを使用すると、「清浄国」への復帰に時間がかかるため、農林水産省は慎重な姿勢を示している。また、日本国政府の調査チームは、岐阜県で全養豚場に対して飼養衛生管理基準順守の指導を進めており、愛知県でも実施する意向を示している。同月26日には岐阜県・愛知県以外の7府県37農場対しても発生予防および蔓延防止策が出され、経営再建支援が制限区域外の農家にも出ている。 ただ、2019年2月4日に豊田市の養豚場で早期流産増加の異常があったのにも関わらず、出荷自粛を求めなかった愛知県の初動に疑問があるという報道もされている。2019年3月24日から経口ワクチンが愛知県内でも実施のために同月15日に研修会が行われた。陽性イノシシの範囲拡大につれて、該当県に経口ワクチン設置が進んでいる。 岐阜県内では、発見された2018年9月以降において野生イノシシのPCR検査および防疫・消毒が継続している。2019年2月15日の時点でも野生イノシシの感染が継続しているため、山域での消毒強化やイベントの自粛を県内市町村に要請している。また、岐阜県庁職員が防疫・消毒措置により、時間外労働・ストレスが過剰になっていることも報道されている。2019年3月7日、岐阜県庁では野生イノシシに対する経口ワクチン投与・追加対策だけでなく、豚コレラ発生農家等に対する経営支援強化を実施する計画を立てた。岐阜県内での経口ワクチンについては2019年3月25日からの実施となった。 2019年10月17日、静岡県藤枝市岡部町野田沢(静岡市との市境付近)にて、道路上で死亡していた野生イノシシが発見され、死骸の検査の結果、翌18日に豚コレラの陽性が確認され、静岡県内にも感染が拡大した。その後、11月20日時点までに藤枝市岡部町野田沢の最初の発見位置より10km圏内を中心に狩猟により捕獲された個体や、死骸が発見された個体などから13例の豚コレラの陽性例が確認されている(2020年1月17日時点では24例に増えたが、静岡県内養豚場での発生はない)。 2019年11月11日、農林水産省は人間のコレラとの混同やそれに伴う風評被害の抑制のため、公式発表における豚コレラの表記をCSFへと統一する方針を発表した。国の発表を受けて、都道府県におけるプレスリリースにおける表記も「CSF(豚コレラ)」への変更が進められている。 2020年3月12日、沖縄県うるま市の農場で国内58例目の患畜を確認している。農研機構動物衛生研究部門での遺伝子検査の結果による遺伝子系統図(2018~2020株)は、2020年1月17日時点で「岐阜・愛知・長野・大阪・三重・福井・富山・石川・山梨・埼玉・群馬・滋賀・静岡・沖縄」のイノシシや養豚場に及んでいる。 2021年1月27日現在、沖縄県以降の養豚場における防疫処置は群馬県・山形県・三重県・和歌山県でも実施された。また、沖縄県の事例以前に山梨県の養豚場でも防疫処置がなされている。 2021年2月24日時点で感染が確認された陽性の野生イノシシは、岐阜県内で1209頭、愛知県内で139頭、三重県内で328頭、福井県内で112頭、長野県内で262頭、富山県内で80頭、石川県内で46頭、滋賀県内で250頭、埼玉県内で118頭、群馬県内で103頭、静岡県内で294頭、山梨県内で65頭、神奈川県内で11頭、新潟県内で32頭、京都府内で24頭、茨城県内で3頭、東京都内で8頭に、山形県内で1頭、福島県内で14頭、栃木県内で6頭、大阪府内で6頭、奈良県内で21頭、和歌山県内で34頭に及んでいる。
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