家畜伝染病
家畜が感染する伝染症。特に「家畜伝染病予防法」で指定され、感染予防・蔓延阻止の対象となるものを指す。
家畜伝染病に感染した家畜が見つかった場合、生産者・獣医師・都道府県知事・農林水産省を中心として、発生時の届出から患畜の殺処分や移動制限など、蔓延防止のためのあらゆる処置をとる必要がある。
2011年5月改正の「家畜伝染病予防法」では、口蹄疫、豚コレラ、狂犬病、伝達性海綿状脳症(スクレイピー)、高病原性鳥インフルエンザなど、計26種類の疾病が家畜伝染病に指定されている。家畜伝染病の中には人間にも感染する人畜共通感染症(ズーノーシス)も含まれる。
家畜伝染病予防法で指定されている26種は「法定伝染病」とも呼ばれる。この他に、感染例が見つかったら届け出る義務がある「届出伝染病」が70余種指定されている。
2010年に宮崎県で口蹄疫が大流行した際には、被害拡大を防ぐ措置として、患畜20数万頭が殺処分された。また、2011年5月には、宮崎県に棲息する野生馬で天然記念物に指定されている「御崎馬」全80数頭のうち何頭かが、家畜伝染病の一種である「馬伝染性貧血」に感染していることが判明し、7月までに感染馬12頭が殺処分されている。
高病原性鳥インフルエンザはズーノーシスとして知られ、パンデミックの危険性がある家畜伝染病として2000年代以降たびたび話題となっている。
関連サイト:
家畜伝染病予防法 - e-Gov
家畜伝染病予防法の解説 - 動物検疫所
かちく‐でんせんびょう〔‐デンセンビヤウ〕【家畜伝染病】
家畜伝染病(法定伝染病)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 00:01 UTC 版)
「家畜伝染病予防法」の記事における「家畜伝染病(法定伝染病)」の解説
家畜伝染病(法定伝染病)には、家畜伝染病予防法2条1項で具体的に28種の伝染性疾病が定められており、それぞれ家畜伝染病予防法2条や家畜伝染病予防法施行令1条に定められている特定の家畜の種類についてのもののみを指す。 家畜伝染病(家畜伝染病予防法2条・家畜伝染病予防法施行令1条)伝染性疾病の種類家畜の種類(※印は政令で追加されているもの)1 牛疫 牛、めん羊、山羊、豚、水牛※、鹿※、いのしし※ 2 牛肺疫 牛、水牛※、鹿※ 3 口蹄疫 牛、めん羊、山羊、豚、水牛※、鹿※、いのしし※ 4 流行性脳炎 牛、馬、めん羊、山羊、豚、水牛※、鹿※、いのしし※ 5 狂犬病 6 水疱性口内炎 牛、馬、豚、水牛※、鹿※、いのしし※ 7 リフトバレー熱 牛、めん羊、山羊、水牛※、鹿※ 8 炭疽 牛、馬、めん羊、山羊、豚、水牛※、鹿※、いのしし※ 9 出血性敗血症 牛、めん羊、山羊、豚、水牛※、鹿※、いのしし※ 10 ブルセラ症 11 結核 牛、山羊、水牛※、鹿※ 12 ヨーネ病 牛、めん羊、山羊、水牛※、鹿※ 13 ピロプラズマ症(農林水産省令で定める病原体によるものに限る) 牛、馬、水牛※、鹿※ 14 アナプラズマ症(農林水産省令で定める病原体によるものに限る) 牛、水牛※、鹿※ 15 伝達性海綿状脳症(BSE) 牛、めん羊、山羊、水牛※、鹿※ 16 鼻疽 馬 17 馬伝染性貧血 18 アフリカ馬疫 19 小反芻獣疫 めん羊、山羊、鹿※ 20 豚熱 豚、いのしし※ 21 アフリカ豚熱 22 豚水疱病 23 家きんコレラ 鶏、あひる、うずら、七面鳥※ 24 高病原性鳥インフルエンザ 鶏、あひる、うずら、きじ※、だちょう※、ほろほろ鳥※、七面鳥※ 25 低病原性鳥インフルエンザ 26 ニューカッスル病 鶏、あひる、うずら、七面鳥※ 27 家きんサルモネラ症(農林水産省令で定める病原体によるものに限る) 28 腐蛆病 みつばち
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