開業に向けて
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「首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス」の記事における「開業に向けて」の解説
1985年(昭和60年)7月11日の運輸政策審議会答申第7号では「常磐新線の新設」という項目が設けられ、東京 - 守谷町南部間が「目標年次までに新設することが適当である区間」、守谷町南部 - 筑波研究学園都市間が「今後新設を検討すべき区間」とされ、後者についてはさらに「需要の動向、沿線地域の開発の進捗状況等を勘案の上、整備に着手する」とされた。この答申により初めて起点が東京駅と明記された。同答申はさらに常磐新線の事業主体が未定であること、建設運営経費が巨額となることなどの問題があることから整備方策を特記している。その要点は、 常磐新線は常磐線の混雑緩和を主目的として整備されるべきものであり、本来国鉄が建設運営にあたるべきであるが、国鉄の経営状態からすれば困難が予想され、第三セクター法方式も一案として考えられる。 資金調達を含め、建設・運営段階での関係者の全面的支援が必要。 従って答申後早期に国鉄等関連鉄道事業者、地方公共団体、金融機関等による検討と具体化が必要。 である。これを受けて運輸省や関係自治体などで協議が進められ、1987年(昭和62年)9月に運輸省、東日本旅客鉄道(JR東日本)、沿線4都県からなる「常磐新線整備検討委員会」が設置された。1988年(昭和63年)11月には同委員会で「常磐新線整備方策の基本フレーム」についての合意が成立し、当面の建設区間を秋葉原 - 筑波学園研究都市とすること、建設主体は第三セクター会社とし、完成後はJR東日本が運営を行うことなどの方針が決定した。始発駅は費用の関係で当初予定の東京駅から秋葉原駅となった。1989年(平成元年)3月には運輸省が「新たなフレーム(案)」を示し自治体の負担軽減を提案するが、JR東日本は常磐新線に距離をとる様になった。一方、同月に自治体および日本鉄道建設公団からの派遣職員により「常磐新線検討室」が設置され、検討事項に取り組むこととなった。 1989年6月には、鉄道整備と沿線の地域開発を同時に推進する「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」(略称:一体化法、宅鉄法)が制定された。この法律の内容は、鉄道新設と当時大きな課題となっていた首都圏の宅地供給事情を一体的にクリアするとしており、鉄道整備により、大量の住宅地供給が促進されることが見込まれることを期待し、周辺市町村を特定地域に指定して地元自治体などが宅地開発も同時に進めるとするものであり、常磐新線は同法の適用第一号鉄道となった。 「整備の方向を検討する路線」とされていた守谷以北については、茨城県の強い働き掛けで第2期線から第1期区間に格上げされた。この頃から常磐新線の事業主体は第三セクター方式になる方向性が固まっていき、ルート変更なども検討されたが、1990年(平成2年)11月15日の関連自治体副知事会で1990年度中に第三セクターを設立し、開業目標を2000年(平成12年)とすること、事業費用と負担割合についての合意が成立した。同年12月に「常磐新線検討室」は「常磐新線第三セクター設立準備室」に改組された。 1991年(平成3年)3月には、沿線の4都県・12市町村の出資により新線整備・運営主体となる第三セクターの首都圏新都市鉄道株式会社が設立され、同年10月には国レベルで建設費に対する無利子貸付制度が創設されるなど、早期開通に向けて体制が整えられた。同じ月に法的手続きの第一段階である宅鉄法に基づく基本計画が国から承認され、常磐新線の計画路線である東京都千代田区(秋葉原) - 茨城県つくば市吾妻(筑波研究学園都市)間の経路と19か所の駅の位置が定められ、整備に向けた動きが本格的に活発化した。 首都圏新都市鉄道は1992年(平成4年)1月10日付けで第一種鉄道事業免許を取得した。以降、同年9月に常磐新線プロジェクト研究会が、1994年(平成6年)6月には同研究会を引き継いで常磐新線プロジェクト推進協議会がそれぞれ設立され、出資方式、事業採算性、沿線開発などについての調査が実施された。 1994年に、秋葉原で起工式が行われたことを皮切りに、鉄道新線の建設が着々と進められたが、想定外の軟弱地盤や地下水対策による遅延や、基本計画当初から茨城県内の地権者の反対によって用地交渉が暗礁に乗り上がるなど開発は難航し、1996年(平成8年)12月には2000年の開業予定が2005年(平成17年)に変更された。 2000年1月の運輸政策審議会答申第18号においては工事が着手されていた秋葉原 - つくば間が「目標年次(2005年)までに開業することが適当である路線」と位置付けられた。未着手の東京 - 秋葉原間については位置付けが「今後整備について検討すべき路線」へと変更されており、整備区間の整備状況および開業後の経営状態から東京駅までの延伸を検討するという整理がなされた。 2001年(平成13年)2月には、常磐新線イメージづくり調査委員会の答申に基づいた路線新名称として「つくばエクスプレス」が首都圏新都市鉄道より発表された。 2005年7月22日に完成検査に合格し、同年8月24日に開業した。当初は10月開業予定であったが、地元の強い要望と学校の2学期に間に合うように2か月繰り上げての開業となった。
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