蟹工船とは? わかりやすく解説

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かに‐こうせん【×蟹工船】

読み方:かにこうせん

北洋カニ漁を行う母船漁獲したカニ船中缶詰加工する設備をもつ。蟹母船。《 冬》

[補説] 書名別項。→蟹工船


かにこうせん【蟹工船】

読み方:かにこうせん

小林多喜二小説昭和4年(1929)発表厳し労働条件苦しむ蟹工船の労働者たちが、団結して闘争に立ち上がるプロレタリア文学代表的作品


蟹工船

作者小林多喜二

収載図書日本プロレタリア文学26 小林多喜二集 1
出版社新日本出版社
刊行年月1987.12

収載図書昭和文学全集 32 中短編小説集
出版社小学館
刊行年月1989.8

収載図書小林多喜二全集 第2巻新装版
出版社新日本出版社
刊行年月1992.12

収載図書小林多喜二名作ライブラリー 2 蟹工船・不在地主
出版社新日本出版社
刊行年月1994.11

収載図書愛蔵版 ザ・多喜二小林多喜二全一
出版社第三書館
刊行年月2003.2

収載図書蟹工船、一九二八・三・一五
出版社岩波書店
刊行年月2003.6
シリーズ名岩波文庫

収載図書蟹工船
出版社フロンティアニセン
刊行年月2005.5
シリーズ名第2刷 (フロンティア文庫)

収載図書蟹工船
出版社舵社
刊行年月2006.2
シリーズ名デカ文字文庫

収載図書朗読文学のしずく」 第4巻
出版社中経出版
刊行年月2007.9
シリーズ名楽書ブックス

収載図書蟹工船・党生活者 新装改版
出版社角川書店
刊行年月2008.8
シリーズ名角川文庫


蟹工船

作者荒俣宏

収載図書ゑびす殺し
出版社徳間書店
刊行年月1990.12

収載図書ゑびす殺し
出版社徳間書店
刊行年月1994.10
シリーズ名徳間文庫


蟹工船

読み方:カニコウセン(kanikousen)

タラバガニ底刺網捕獲する

季節

分類 動物


蟹工船

読み方:カニコウセン(kanikousen)

作者 小林多喜二

初出 昭和4年

ジャンル 小説


蟹工船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/25 01:50 UTC 版)

蟹工船
著者 小林多喜二
発行日 1929
発行元 戦旗』5月号(pp. 141-171)・6月号(pp. 128-157)
日本
言語 日本語
形態 文芸誌
ページ数 61
ウィキポータル 文学
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蟹工船』(かにこうせん)は、文芸誌戦旗』で1929年昭和4年)に発表された小林多喜二の小説である。いわゆるプロレタリア文学の代表作とされ、国際的評価も高く、いくつかの言語に翻訳されて出版されている。

1929年3月30日に完成し、『戦旗』5月号・6月号に発表。「昭和4(1929)年上半期の最高傑作」と評された[1]。『蟹工船』の初出となった『戦旗』では検閲に配慮し、全体に伏字があった[2]。6月号の編が新聞紙法に抵触したかどで発売頒布禁止処分[2]。1930年7月、小林は『蟹工船』で不敬罪の追起訴となる。作中、献上品のカニ缶詰めに対する「石ころでも入れておけ! かまうもんか!」という記述が対象であった[3]戦後1968年、ほぼ完全な内容を収めた『定本 小林多喜二全集』(新日本出版社)が刊行された。

この小説には特定の主人公がおらず、蟹工船にて酷使される貧しい労働者達が群像として描かれている点が特徴的である。蟹工船「博光丸」のモデルになった船は実際に北洋工船蟹漁に従事していた博愛丸(元病院船)である。

あらすじ

おい地獄さ行(え)ぐんだで!

蟹工船とは、戦前にオホーツク海カムチャツカ半島沖海域で行われた北洋漁業で使用される、漁獲物の加工設備を備えた大型船である。搭載した小型船でたらば蟹を漁獲し、ただちに母船で蟹を缶詰に加工する。その母船の一隻である「博光丸」が本作の舞台である。

蟹工船は「工船」であって「航船」ではないため、航海法[注釈 1] は適用されず、危険な老朽船を改造して投入された。また工場でもないことから、労働法規も適用されなかった[注釈 2]

そのため、蟹工船は法規の空白域であり、海上の閉鎖空間である船内では、東北一円の貧困層から募集した出稼ぎ労働者に対する資本側の非人道的酷使がまかり通っていた。また北洋漁業振興の国策から、政府も資本側と結託して事態を黙認する姿勢であった。

情け知らずの監督である浅川は労働者たちを人間扱いせず、彼らは劣悪で過酷な労働環境の中、暴力・虐待・過労や病気で次々と倒れてゆく。ある時転覆した蟹工船をロシア人が救出したことがきっかけで、労働者達は異国の人も同じ人間と感じるようになり、中国人の通訳も通じ、「プロレタリアートこそ最も尊い存在」と知らされるが、船長がそれを「赤化」とみなす。学生の一人は現場の環境に比べれば、ドストエフスキーの「死の家の記録」の流刑場はましなほうという。当初は無自覚だった労働者たちはやがて権利意識に覚醒し、指導者のもとストライキ闘争に踏み切る。会社側は海軍に無線で鎮圧を要請し、接舷してきた駆逐艦から乗り込んできた水兵にスト指導者たちは逮捕され、最初のストライキは失敗に終わった。労働者たちは作戦を練り直し、再度のストライキに踏み切る。

再脚光

再脚光のきっかけは作者の没後75年にあたる2008年平成20年)、毎日新聞東京本社版1月9日付の朝刊文化面に掲載された高橋源一郎雨宮処凛との対談といわれる[4][5]。同年、新潮文庫『蟹工船・党生活者』が古典としては異例の40万部が上半期で増刷され例年の100倍の勢いで売れた。5月2日付の読売新聞夕刊一面に掲載[6]。読者層は幅広いが、特に若年層に人気がある[7]毎日新聞等では、日本共産党党員が近年増加しているのは蟹工船等の影響もあるのではないかと論じられた[8]。2008年の新語・流行語大賞で流行語トップ10に「蟹工船(ブーム)」が選ばれた[9]2006年(平成18年)以降、イタリア語版、韓国語新訳版、台湾からの中国語新訳版、大陸での中国語旧訳再版、「マンガ蟹工船」と合本の中国語新訳版、フランス語版、スペイン語版などが各地で出版されている。

舞台版

漫画版

画像外部リンク
マンガ蟹工船を閲覧する
「マンガ蟹工船」 - 白樺文学館 多喜二ライブラリー (作画: 藤生ゴオ、解説: 島村輝)

映画

1953年

『蟹工船』(1953年)

山村聡主演・初監督の作品。1953年(昭和28年)9月10日に公開。芸術祭参加作品。

製作

出演者

2009年

映像外部リンク
YouTube
映画「蟹工船」SABU監督インタビュー (EnterJam、2010年2月10日)
「蟹工船」で映画初出演、お笑いコンビTKO語る (朝日新聞社、2009年7月1日)

2009年平成21年)7月4日に公開。DVDは2010年(平成22年)1月21日発売。

主題歌はNICO Touches the Wallsの「風人」。

撮影は栃木県足利市で2008年11月から12月にかけておこなわれた[11]

スタッフ

キャスト

脚注

注釈

  1. ^ 航海法という法律は小説内の創作で、日本には存在しない。また船舶安全法が出来たのは作者の死後である。
  2. ^ 当時、労働者保護法制として工場法がかろうじて存在していたが、同法は(仮に適用されたとしても)成人男子に対する就業時間制限すらないなど、戦後の労働基準法と比較して著しく低い保護水準であった。

出典

  1. ^ 155・小林多喜二『蟹工船』 - 安曇野を歩く”. 市民タイムス. 2017年3月27日閲覧。
  2. ^ a b 大滝則忠 (2011年2月18日). “4.発禁本の現在を探して 小林多喜二著『蟹工船』の場合”. 千代田図書館トークイベント 戦前期の発禁本のゆくえ. NPO法人 神田雑学大学. 2017年3月27日閲覧。
  3. ^ 弁護士会の読書:小林 多喜二”. 福岡県弁護士会 (2008年10月30日). 2017年3月27日閲覧。
  4. ^ プロレタリア文学:名作『蟹工船』異例の売れ行き(毎日新聞、2008年5月14日付) - 毎日jp(毎日新聞)[リンク切れ]
  5. ^ 週刊現代、2008年6月7日号 48頁-49頁
  6. ^ 「蟹工船」悲しき再脚光 異例の増刷、売り上げ5倍 (読売新聞・本よみうり堂・出版トピック、2008年5月2日付)[リンク切れ]アーカイブ 2008/05/11
  7. ^ 「蟹工船」重なる現代 小林多喜二、没後75年朝日新聞、2008年2月14日付)、今、若者にウケる「蟹工船」 貧困に負けぬ強さが魅力? (朝日新聞、2008年5月12日付)、【断 佐々木譲】蟹工船の次に読むもの産経新聞、2008年5月25日付)[リンク切れ]アーカイブ 2008/05/29
  8. ^ 共産党:新党員2万人確保 中央委総会で方針(毎日新聞、2008年7月13日付)[リンク切れ]共産党、新規党員増加 「蟹工船」「資本論」ブームで? (産経新聞、2008年8月3日付)[リンク切れ]アーカイブ 2008/08/06
  9. ^ “08流行語大賞/「蟹工船」入賞/名ばかり管理職・後期高齢者も”. しんぶん赤旗. (2008年12月2日). https://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-02/2008120201_02_0.html 
  10. ^ 白樺文学館多喜二ライブラリー 『マンガ蟹工船』を無料公開!! 2007年9月27日
  11. ^ 映画『蟹工船』 - 栃木県フィルムコミッション

関連項目

戦前の労働問題を扱った作品

本作品のテーマにかかわる項目

本作品の題材や発表に関係する項目

外部リンク


蟹工船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/19 03:09 UTC 版)

原恵一郎」の記事における「蟹工船」の解説

原作小林多喜二小説

※この「蟹工船」の解説は、「原恵一郎」の解説の一部です。
「蟹工船」を含む「原恵一郎」の記事については、「原恵一郎」の概要を参照ください。

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