著作者人格権とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > > 権利 > 権利 > 著作者人格権の意味・解説 

著作者人格権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:14 UTC 版)

著作権」の記事における「著作者人格権」の解説

「著作者人格権」も参照 狭義著作権著作財産権)は財産権一種であるが、著作者認められる権利著作者の権利)としては、そのほかに著作者人格的利益保護するものとして、人格権一種である著作者人格権がある。両者の関係については考え方および立法例分かれる。 まず、著作権法により著作者に対して保障する権利純粋に財産権としての著作権として把握する考え方がある。この考え方徹底しているのがアメリカ合衆国著作権法であり、著作者人格的権利コモン・ロー上の人範疇含まれる。もっとも、ベルヌ条約加盟国に対して著作者人格権の保護要求していることもあり、1990年法改正により、視覚芸術著作物について限定された形で著作者人格権を保護する旨の規定設けた合衆国法典第17編第106A条)。 第2に、著作者に対して財産権利人格的権利双方著作権法上保障する考え方がある。大陸法著作権法基本的にこのような考え方立脚している。フランス著作権法がこの考え方立脚しており、著作者の権利について、人格的な性質財産的な性質包含するものとして規定し1111条2項)、いわゆる著作者人格権は処分できないものとする1211条第3項)のに対し著作権処分できるものとして(122の7条)区別している点にこのような考え方現れている。 第3に、著作者に対して財産権利人格的権利双方著作権法上保障するが、両者は一体となっており分離できないものとして把握する考え方がある。ドイツ1965年9月9日著作権および著作隣接権に関する法律がこの考え方立脚しており、著作者の権利内容構成するものとして著作者人格権に関する規定置いているが(11条-14条)、財産権人格権一体化しているがゆえに、財産権をも含む著作者の権利について譲渡できない旨の規定置かれている(29条)点にこのような考え方現れている。 日本法法制は、著作権法上、著作者の権利として財産権たる著作権人格権たる著作者人格権を保障しつつ、前者譲渡可能なものとして理解し後者譲渡不可能なものとして理解している点でフランス法に近い。

※この「著作者人格権」の解説は、「著作権」の解説の一部です。
「著作者人格権」を含む「著作権」の記事については、「著作権」の概要を参照ください。


著作者人格権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 07:42 UTC 版)

著作権法 (フランス)」の記事における「著作者人格権」の解説

フランス著作権法では、以下の諸権利が著作者人格権として認められている(L121条)。著作物そのもの転売されたり著作財産権第三者譲渡したとしても、著作者人格権は「一身専属性」の原則により、著作者本人死後永続的に守り続ける(L121条-1-2L121条-1-3)。 公表権 公表権判例認められてきた保護内容を、1957年法改正時に明文化している。公表権に関する代表的な判例として、1900年破毀院フランス最高裁判所)による「ウィスラー判決」や、1931年の「カモワン判決」(Camoin v. Carco) が知られている。前者は、アメリカ合衆国出身イギリスでおもに活躍した画家ジェームズ・マクニール・ウィスラーホイッスラーとも綴る)が、完成した作品契約に対して引き渡し拒否した事例である。破毀院は、ウィスラーに対して損害賠償命じたものの、著作権法上の公表権ウィスラー認め作品引き渡し要求棄却した。また後者は、出来栄えに不満を持った画家シャルル・カモワン(フランス語版英語版)が切り刻んでゴミ箱捨てた作品を、ゴミ漁り人がアート収集家売却して復元されてしまい、11年後1925年フランシス・カルコフランス語版英語版)が所有していることが判明した事件である。復元され作品差し押さえられ、5,000フラン損害賠償として原告カモワンに支払うよう命じられた。 なお、ベルヌ条約第6条で著作者人格権を全般的に規定しているが、公表権については規定がないことから、各国著作権法保護状況バラきがあるフランスでは単に無断公表されない権利だけでなく、公表する手段についても著作者意思尊重され手厚い保護なされている。たとえば、書籍の出版契約上でハードカバー装丁規定されていたにもかかわらず出版者著作者無断ポケット文庫装丁変更して出版すると、フランスでは公表権侵害にあたる。 氏名表示権 氏名表示権とは、著作者実名公表している場合は、その作品著作者名と肩書表示しなければならない権利である。したがって著作者名を削除する行為だけでなく、著作者以外の第三者の名前を表示する行為盗作を含む)も、氏名表示権侵害に当たる。しかし、先述のとおりフランスでは応用美術作品にも著作権認めていることから、たとえば自動車デザインにまで逐次デザイナー氏名表示するのは現実的ではない。このようなケースでは氏名の非表示免責され判例存在するまた、変名無名匿名)を選択することも氏名表示権範疇である。いわゆるゴーストライター起用して著作物発表する場合は、ゴーストライター本人に著作者人格権が発生するため、一身専属性の原則に基づきゴーストライター起用主に著作者人格権を譲渡することはできない。仮にこのような譲渡契約結んだとしても、フランスでは契約自体無効になる。ただし、ゴーストライター本人の名前を表示しない意思であることから、ゴーストライター起用主の名前を著作物表示する行為そのものは、氏名表示権侵害にはあたらない尊重 フランス尊重は、著作物内容他者無断削除付加改変されないよう守り著作者個性尊重する権利であり、他国著作権法一般的な同一性保持権」よりも保護範囲の広い概念である。尊重に関する判例フランスで多数存在する。たとえば、サミュエル・ベケット著『ゴドーを待ちながら』(1952年出版)は、ベケット男性主人公想定していたにもかかわらず演劇の演出家が女性変更しようとしたことから、ベケット死後著作権相続人がこの演劇差し止め求めて提訴している。これに対しパリ大審裁は1992年尊重侵害認めている。また、画家ベルナール・ビュッフェ冷蔵庫に絵を描いたが、その作品購入者ビュッフェ意に反して冷蔵庫解体して絵だけを切り売りしようとした事件では、破毀院1965年ビュッフェ意思尊重する判決下している。同一性保持改変禁止)以外でも、自動車大手ルノー彫刻家デュビュッフェ作品発注したにもかかわらずルノー完成拒んだことから、彫刻家作品完成させる尊重侵害されたと、ベルサイユ控訴院1981年判示している。このようにフランス尊重条文上だけでなく、実質的に広く適用されている。 修正撤回権 一方修正撤回権であるが、こちらについては著作者権利行使すると出版者などに実損害が発生するため、権利行使の際には損害賠償が伴うことから、尊重比較して実際権利行使きわめて限定的である。 著作者人格権の制限・例外 なお、一部著作物ジャンルでは、これら著作者人格権の例外存在する映画など視聴覚著作物場合プロデューサー主たるディレクター、あるいは法定上の共同著作者最終版確定した場合無断改変転写不可とされるL121条-5)。したがって、製作実務者として参加していても、後述する「共同著作者」として認定されない者は、著作者人格権の修正撤回権尊重主張できないまた、視聴覚著作物共同著作者が製作過程途中離脱しても、完成版からその離脱者の寄与分取り除いたり、公表阻止することはできないL121条-6)。 ソフトウェアに関しても、名誉棄損該当しない限りにおいて、著作者同一性保持権および修正撤回権行使できないL121条-7、L122条-6-1)。これは、感情表現した芸術的な著作物とは異なり実用的なソフトウェア場合は、中身修正改変しても、著作者であるプログラマー精神的に傷つく可能性が低いためである。

※この「著作者人格権」の解説は、「著作権法 (フランス)」の解説の一部です。
「著作者人格権」を含む「著作権法 (フランス)」の記事については、「著作権法 (フランス)」の概要を参照ください。


著作者人格権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:30 UTC 版)

著作権法 (ルーマニア)」の記事における「著作者人格権」の解説

作品公衆知らしめるか否か、それをいかに、いつ行うかを決め権利 作品作者であることを認めるよう要求する権利 作品いかなる名称で公衆知らしめられるかを決め権利 作品完全性遵守するよう要求し作者の名誉又は声望損なうようないかなる改変その他の干渉拒否する権利 作品撤回する権利 これらの権利は、放棄することも譲渡することもできない作者の死亡後は、上記1、2及び4の権利は、相続人無期限行使する

※この「著作者人格権」の解説は、「著作権法 (ルーマニア)」の解説の一部です。
「著作者人格権」を含む「著作権法 (ルーマニア)」の記事については、「著作権法 (ルーマニア)」の概要を参照ください。


著作者人格権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:28 UTC 版)

著作権法」の記事における「著作者人格権」の解説

著作者人格権とは、著作物創作した著作者認められる人格的利益保護するための権利である。著作権著作財産権)とは異なり一身専属的な権利であるため、他者譲渡することはできない公表権氏名表示権同一性保持権3種権利存在する詳細は「著作者人格権」および「同一性保持権」を参照

※この「著作者人格権」の解説は、「著作権法」の解説の一部です。
「著作者人格権」を含む「著作権法」の記事については、「著作権法」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「著作者人格権」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ




著作者人格権と同じ種類の言葉

このページでは「ウィキペディア小見出し辞書」から著作者人格権を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から著作者人格権を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から著作者人格権 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「著作者人格権」の関連用語

著作者人格権のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



著作者人格権のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの著作権 (改訂履歴)、著作権法 (フランス) (改訂履歴)、著作権法 (ルーマニア) (改訂履歴)、著作権法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS