自動車の洗車の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 04:38 UTC 版)
自動車は使用に伴い、空気中の埃や土砂等によって車体が次第に汚れてくる。車体を「洗う」ことを洗車と言う。(なお、車内の塵を手で拾ったり掃除機をかけることは「洗車」とは言わず、「車内の掃除」と言う。) 洗車を実施するタイミングは、その所有者や使用者(オーナー)が判断するものであり明確な基準は存在しない。但し汚れが激しいと、汚れの下で金属部分の腐食等が起きていても気づかない懸念があるので、自動車メーカーの殆どが定期的な洗車を推奨している。 当記事では、洗車の種類、洗車をする理由、するタイミング、汚れの原因物質、具体的洗車方法などについて解説する。 セルフサービス方式の、高圧スプレー(ウォーターガン)を使った洗車(ポーランド、2015年) 手洗いの洗車を仕事(有料)で行う人(カメルーン、ドゥアラ、2017年) トラックの洗車(ラオス、2010年) 洗車の種類・分類 洗車は、自動車のユーザー自身が実施する方法と、専門店等の業者に依頼する方法の2つに大別できる。(洗車の方法には幾つかの種類があるが、その作業を自動車のユーザー自身が行う場合と、ガソリンスタンドや専門店等の業者に依頼する場合とで2つに大別できる。)またどちらの場合でも、主に人間の手作業による方法と、主に機械に作業を任せる方法がある。 洗車実施のタイミング 前述の通り、洗車を実施するタイミング、つまり「どこまで汚れたら洗車をするべきか」という判断は、ユーザーが決定するものであり、明確な判断基準というものは存在しない。但し、汚損が進行すると車の外板(外装ボディパネル)や骨格、その他機械可動部分等に錆等の腐食が発生・進行したり、また堆積した汚れによって自動車各部の異常の発見が遅れる事等が懸念される。その為、自動車の適正保全や安全上の理由から、自動車メーカーの殆どが定期的な洗車を奨励しており、多くの場合自動車の取扱説明書にその方法が記載されている。また、定期点検や車検点検時には下回り等の洗車が法令により求められているが、これは故障や不具合(或いは不正)の確認に支障をきたす事がないようにする為である。また日本では、修理や定期点検等でカーディーラー等に車を預けた際に簡易的な洗車が為されて返却される場合が多く、その場合殆どが無償のサービスである。 洗車のタイミングや頻度は地域や文化(国や地方)によって異なると言われている。例えば世界中で、洗車が実施されている割合が高く且つ頻度も高い国は日本であると言われている。その背景には、日本は年間の降雨・雪日数が比較的多く汚損し易い事や、自動車そのものが所有者の豊かさの象徴であり、見栄や世間体から綺麗さを保つ傾向が強いのではないか、という事等があると考えられている。また、地域による洗車タイミングや方法の違いとして例えば日本であれば、降雪地帯では雪による汚損が激しく、また路上に散布される凍結防止剤や融雪剤が車体に与える影響(腐食し易い)等を考慮し、特に下部(=足回り・車体裏側)の洗浄を重点的に実施したりする。 汚れのもと 屋外で使用する自動車は大気中の様々な物質により汚れる(屋外に駐停車しているだけでも汚れる)。 汚れの原因物質はたとえば、チリ・埃、土砂(黄砂等を含む)、降雨の水滴、他車或いは自車の排気ガスや油脂類等の排出物等、鳥類の糞、虫類の死骸、樹液、積み荷から出る成分、鉄道施設や工場施設等から出る鉄粉、その他大気を汚染している様々な成分、等である。 塗装の損傷 自動車の車体表面は一見、強そうであるが、実のところ表面は塗装膜であり、塗装膜は些細なことで傷が付き易い。自動車の車体の汚れの下で塗装が劣化したり、塗装が傷つき下の金属が、微細なサイズで、露出することもある。 塗装というものは弱いものであり、細かい傷(虫眼鏡などで観察すると見える大きさの傷)はいとも簡単に付いてしまう。例えば外装にうっすらと埃が付着した状態で手の平で撫でただけでも傷が付くし、衣服のファスナーや金属ボタンが擦れただけでも傷が付いてしまう場合が殆どである。(極端な話、厳密に言えば、自動車は塗装を終えて工場を出た瞬間からミクロレベルの傷が付き始めていると言っても過言では無い。) 更には、洗車によっても傷が付く可能性は高いので、傷が付く程度を少しでも減らしたい場合は、幾つかの注意を払いながら作業を進める必要がある(但し、塗料や塗装技術及び保護材等の技術の進歩により、それらの耐性そのものが進歩してきているので、細かな傷がつく可能性は僅かずつではあるが低下しつつある)。 因みに、これらの細かい傷は遠目からでは視認する事は難しいが、車体に近づき、光源(太陽や明るい照明)をボディーに写りこませた状態で、光源とは反対からボディーを観察すると容易に確認出来る。 特に、光源を中心に円を描く様に確認できる傷は、主に洗車時に微細な埃や土砂を含んだ状態でワックスがけ等を行った時に出来た物の可能性が高く、一方、光源に対して線状に確認できる傷は、主に、微細な埃や土砂を含んだ状態で車体を布類で拭いた際にできた可能性が高い。また、機械式洗車(主にガソリンスタンド等に設置されている、門型の洗車機)を利用した際には円状と線状の両方の傷が付きやすい(昨今の洗車機は、この傷を付けにくくする工夫が施されている場合が多い)。
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