自動車の暗視装置・システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 00:31 UTC 版)
「暗視装置」の記事における「自動車の暗視装置・システム」の解説
自動車の暗視装置・システムは、赤外線カメラでとらえた映像をディスプレイに表示し、夜間の視界を拡大することで安全走行に寄与する夜間運転支援システムである。遠赤外線カメラを用いて熱源を検知するものと、近赤外線を照射し赤外線カメラで検知する2つのタイプがある。コスト的には近赤外線タイプが優れるが、検知距離では遠赤外線タイプに劣るなど一長一短がある。各自動車会社が考案し実用化しているが、コストなどの問題から全車に装備するまでは至っておらず、採用されているのは一部の高級車もしくは用途の特定された専門車に限られている。 GM暗視装置 GMがレイセオンのライセンス(名称および独占使用権も含む)を元に開発したシステムで、レイセオンが開発した民間向け低コストの遠赤外線カメラが用いられている。カメラはフロントグリルに埋め込まれ、映像はHUDに表示される。全面改良された2000年モデルのキャデラック・ドゥビル(現キャデラック・DTS)に自動車用安全装備としては初めてオプション設定され、それ以降はシボレー・タホなどにもオプション設定された。2000年モデルでは7,000台以上に装着され好調だったが、世界初のシステムということもあり、オプション金額が高額だったために年々装着数は落ち込み、2003年に廃止されたと同時に暗視装置のライセンスも返上した。 THERMAL-EYE L-3 コミュニケーションズインフラレッドプロダクツ(元レイセオンコマーシャルインフラレッド)により発売されている遠赤外線カメラで、外付けの自動車用もラインナップされている。 インテリジェント・暗視装置システム 本田技研工業が開発したシステム。2基の遠赤外線カメラにより歩行者や対向車の位置や動きを検知し、HUD上の表示とブザー音により運転者の注意を促すなど、唯一インテリジェント化がされている。2004年に全面改良されたホンダ・レジェンドに日本でのみオプション設定されている。 BMW暗視装置 BMWが採用している遠赤外線タイプのシステムで、オートリブの暗視装置システムを元に開発された。人間工学を重視した設計で、映像はセンターコンソールのディスプレイに表示され、走行速度、走行状態によりパン、ズームを自動で行う機能を持つ。2005年にBMW・7シリーズにオプション設定、その後5シリーズ、6シリーズの一部にも設定されている。 ナイトビュー トヨタ自動車が開発したシステムで、近赤外線を利用している。最大およそ250mほどの距離を照射し、認知可能範囲はおよそ150m。映像はHUDに表示される。2002年に初めてランドクルーザーシグナスにオプション設定された。クラウンマジェスタではヘッドライトのハイビーム側に、可視光カットフィルターを用いることにより赤外線投光器の役割を付加している。 ナイトビュー・アシスト ダイムラー・クライスラー(現 ダイムラー)がボッシュと共同開発したシステム。近赤外線タイプでハイビームモジュールに可視光カットフィルタが取り付けられ、フロントウィンドウ内のカメラで撮影する。映像はインストルメントパネルのLCDに表示される。2005年に全面改良されたメルセデス・ベンツ・Sクラスが初搭載。一方でクライスラーでは採用された例がない。 暗視装置システム アウディが採用しているシステムで、2009年に全面改良されたA8(D4型)に「アウディプレゼンスパッケージ」の中に組み込まれる形でオプション設定された。 プジョー暗視装置 グループPSA傘下のプジョーが採用されているシステム。2019年に全面改良された508(2代目)に「フルパッケージ」の中に組み込まれるオプションとして設定された。
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