統合作戦司令官
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![]() 統合作戦司令官 Commander, JSDF Joint Operations Command (C-JJOC) |
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統合作戦司令官旗
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組織 | 行政府 防衛省 |
種類 | 自衛官 |
所属機関 | 統合作戦司令部 |
任命 | 防衛大臣 |
ウェブサイト | 防衛省・統合作戦司令部ホームページ |
統合作戦司令官(とうごうさくせんしれいかん)は、陸海空の各自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部の長[2][3]。防衛大臣の指揮監督を受け、統合作戦司令部の隊務を統括し、自衛隊の部隊運用を統合指揮する。陸上幕僚長、海上幕僚長及び航空幕僚長並びに次官級審議官と同等の政令指定職7号の役職である。
解説
設置の背景
2025年に統合作戦司令官が設置されるまでは、これに相当する役割は統合幕僚監部をつかさどる統合幕僚長が担っていた。しかし統合幕僚長は、次の二つの職務を兼ねていた。
このため、大規模災害や有事の際には、統合幕僚長はこの両方の職務に忙殺されて、対応が困難になる[注釈 1]可能性が指摘されていた。そこで、統合幕僚監部から運用部を切り離すなどして、新たに統合幕僚監部とは別の常設の「統合司令部」を創設し、そのトップである「統合司令官」には部隊の運用に専念させ、統合幕僚長は防衛大臣らの補佐に専念させる構想が持ち上がった。
経緯
2022年12月16日に閣議決定された国家防衛戦略(旧・防衛計画の大綱)および防衛力整備計画(旧・中期防衛力整備計画)において、常設の統合司令部が設立される方針が示された。これに基づき、2024年2月9日に統合作戦司令部の設置を盛り込んだ防衛省設置法等の一部を改正する法律案が国会に提出され、同年5月10日に可決・成立し、5月17日に公布された。2025年3月14日に公布された防衛省設置法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和7年政令第49号)[5]により、統合司令部は2025年(令和7年)3月24日に市ヶ谷に設置された。
位置づけ
統合作戦司令官は、四幕僚長と同格の四つ星の将官となる[注釈 2]。四幕僚長が所属する四幕僚監部は防衛省本省の機関[注釈 3]である一方、統合作戦司令部は三自衛隊の共同の部隊として、自衛隊内に設置されるので、統合作戦司令官は自衛隊内では最高位の自衛官となる。
統合作戦司令官の設置により、従来はいずれも統合幕僚長が担っていた、自衛隊の運用に関する自衛隊の最高指揮監督権を有する内閣総理大臣と防衛大臣の補佐を統合幕僚長が、作戦上の自衛隊の部隊運用・指揮を統合作戦司令官が分担することになる。これにより、アメリカ軍との関係でいえば、制服組トップのアメリカ統合参謀本部議長に対しては統合幕僚長が、アメリカインド太平洋軍司令官に対しては統合作戦司令官がそれぞれカウンターパートとなって、作戦の調整などを行うことになる。統合幕僚長が最高位の自衛官であるという構図に変化はない。
防衛省設置法等の一部を改正する法律(令和6年法律第24号)[7]による改正後の、自衛隊法第21条の2第3項では、「前2項(統合作戦司令部とそれ以外の、陸海空自衛隊)の共同の部隊の運用に係る防衛大臣の指揮は、統合幕僚長を通じて行い、これに関する防衛大臣の命令は、統合幕僚長が執行するものとするほか、当該部隊に対する防衛大臣の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、防衛大臣の定めるところによる。」と定めている。
また同改正後の同法第21条の3第2項及び第3項では「統合作戦司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、統合作戦司令部の隊務を統括する。」「防衛大臣は、第6章に規定する行動、第100条の5第1項に規定する国賓等の輸送、防衛省設置法第4条第1項第18号に規定する調査及び研究のうち運用に係るものその他の自衛隊の運用に関し、統合運用による円滑な任務遂行を図る必要がある場合には、自衛隊の部隊の全部又は一部を統合作戦司令官に一部指揮させることができる。」と定めている。
- 防衛大臣からの指揮監督系統
部隊運用 |
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防衛大臣 |
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統合幕僚長 |
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部隊運用以外 | ||||||||||
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統合作戦司令官 |
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陸海空各幕僚長 | ||||||||||||||
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統合任務部隊指揮官 |
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陸上総隊司令官等 |
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自衛艦隊司令官等 |
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航空総隊司令官等 |
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サイバー防衛隊司令等 |
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- アメリカ軍とのカウンターパート比較(統合作戦司令部設置後)
自衛隊 | アメリカ軍 | ||||||||||||||||||||||||
防衛大臣 |
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国防長官 | ||||||||||||||||||||
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補佐 |
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統合 幕僚長 |
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統合参謀 本部議長 |
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統合作戦 司令官 |
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インド太平洋軍 司令官 |
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部隊運用 |
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自衛隊部隊 | アメリカ軍部隊 | ||||||||||||||||||||||||
歴代司令官
代 | 氏名 | 在職期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 |
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1 | 南雲憲一郎 | 2025年 | 3月24日 -防大33期 | 統合幕僚副長 |
関連法規
自衛隊法(令和7年3月24日施行)[8][2][7][9](なお原文は縦書きで、数字はいずれも漢数字)
- (編成)
- 第21条の2 陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として統合作戦司令部を置く。
- 2 前項に定めるもののほか、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の防衛大臣直轄部隊(陸上総隊、方面隊、自衛艦隊、地方隊、教育航空集団、練習艦隊、航空総隊、航空支援集団、航空教育集団及び航空開発実験集団を除く。)は、統合運用による円滑な任務遂行上一体的運営を図る必要がある場合には、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として置くことができる。
- 3 前2項の共同の部隊の運用に係る防衛大臣の指揮は、統合幕僚長を通じて行い、これに関する防衛大臣の命令は、統合幕僚長が執行するものとするほか、当該部隊に対する防衛大臣の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、防衛大臣の定めるところによる。
- (統合作戦司令官)
- 第21条の3 統合作戦司令部の長は、統合作戦司令官とする。
- 2 統合作戦司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、統合作戦司令部の隊務を統括する。
- 3 防衛大臣は、第6章に規定する行動、第100条の5第1項に規定する国賓等の輸送、防衛省設置法第4条第1項第18号に規定する調査及び研究のうち運用に係るものその他の自衛隊の運用に関し、統合運用による円滑な任務遂行を図る必要がある場合には、自衛隊の部隊の全部又は一部を統合作戦司令官に一部指揮させることができる。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 防衛省発令(将人事)2025年3月24日
- ^ a b “自衛隊「統合作戦司令部」新設へ | お知らせ | ニュース”. 自由民主党 (2024年5月15日). 2024年5月19日閲覧。
- ^ 日本放送協会 (2024年5月10日). “自衛隊を一元的に指揮「統合作戦司令部」設置 改正法が成立”. NHKニュース. NHK. 2024年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月19日閲覧。
- ^ 「吉田圭秀統合幕僚長が過労で入院、復帰時期は未定 防衛省制服組トップ」『産経新聞』2024年2月15日。2025年4月25日閲覧。
- ^ 官報号外第51号第3頁2025年(令和7年)3月14日
- ^ 2025年(令和7年)3月21日官報号外第58号19頁 -
- ^ a b “防衛省設置法等の一部を改正する法律(法律第24号〈令和6年5月17日〉)”. 衆議院第213回国会 制定法律の一覧. 2024年8月31日閲覧。
- ^ “自衛隊法 - e-Gov 法令検索”. デジタル庁. 2024年8月31日閲覧。
- ^ “陸海空自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令官が誕生、日本の命運を担う”. JBbress. (2024年5月13日) 2024年5月19日閲覧。
- 統合作戦司令官のページへのリンク