笠間家
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「マイガール (漫画)」の記事における「笠間家」の解説
笠間 正宗(かざま まさむね) 本作品の主人公。第1話の時点では23歳。誕生日は7月2日。文具製作メーカー「宮本文具堂」の企画部に勤務。駅から徒歩20分、周りは畑ばかり、という築20年のアパートに暮らしている。原付バイクを所有し、通勤にも使っている。家族は写真家の父、強情で融通が利かない母、そして遠方に住む祖母(父方か母方か作中では明記されていない)がいる。 高校に入学して間もなく、正宗が使用していたテントウムシの飾りの付いたシャープペンシルが気になり話し掛けてきた4歳年上の塚本陽子と恋仲になり順調に交際を続けていた。正宗が高校3年生の時に陽子の留学が決まり、それを理由に別離を切り出される。しかし納得できない正宗は遠距離恋愛ともつかない、遠距離片思いを続け、陽子の帰国を信じて待つ日々を過ごしていた。3年が過ぎた頃、陽子が滞在先で就職したと耳にし、彼女への想いを諦める苦心と未練の狭間で一進一退を繰り返していた。陽子の留学から5年後の春、不慮の事故で亡くなったという知らせが届く。駆けつけた葬儀場で陽子が留学先で密かに産んで育てていた娘の存在を陽子の母から知らされる。 後日、陽子が正宗に宛てて書いていた“出さない手紙”を届けに来たコハルと出会う。初めは疑心暗鬼であったが、渡されたその手紙に綴られていた陽子の想いを知り、コハルと心を向かい合わせる。母を失った悲しみや寂しさを吐露するコハルの姿にかつての自身を重ね合わせ、陽子を大切に思う娘の気持ちを受け止め、同居することを決意する。 コハルと同居後、良き父親になろうと日々奮闘しているが、思いがけず5歳の女の子の父となったため、戸惑いや苦心の日々を送る反面、コハルとのふれあいや会話に日々のささやかな幸せを実感し、喜びを重ねている。 真面目で大人しい穏やかな性格であり、優等生タイプ。他人に対してあまり強固な物言いをしないため、良いように利用されることも多い、お人好し。幼少期よりメガネを使用している。 家事は一通りこなし、食事は基本的に手作り。陽子の遺影の前にも供えている。ケチャップで似顔絵を書いたオムライスを作ったりする心尽くしでコハルを喜ばせている。手先も器用で、毎朝コハルの髪を結ったり編んだり、クリスマス会のお芝居で着用するトナカイの着ぐるみ衣装をミシンを使って作ったこともある。 今でも陽子を愛し続けているが、周囲の助言に従って、将来的にはコハルの母となってくれる人を探すことが、コハルのため、自身のためにも良いのだろうか…と苦悩している。 会社同僚であった片桐から好意を示され交際を始める。しかし、お互いに気遣いすぎてぎこちなくなり、一度は別離するが紆余曲折を経て遠距離恋愛に至る。コハルも含めた交際を続け、時間をかけて絆を深めていった。後年、両親に紹介するまでになる。 笠間 コハル(かざま こはる) 正宗と陽子の愛娘。第1話時点で5歳。母・陽子の留学先で誕生、そのまま海外で育つ。陽子の死後、陽子の実家に身を寄せるため帰国。 母から伝え聞いていただけの父・正宗に宛てた陽子の手紙を届けるために1人で正宗の会社まで足を運ぶ。正宗もずっと陽子を大切に想っていたと知り、心を通わせ、同居を望み、引き取られた。正宗と出会った時点での苗字は「塚本」。その後、正宗がコハルを実子であると認知し、引き取るための手続きを行い「笠間」の姓になる。 現在は正宗のアパートで一緒に生活している。正宗が仕事の都合で帰りが遅くなる時などは祖母の家に預けられることもある。 留学先で女手一つで育児をし、学校に通い、仕事も見つけて頑張る陽子の姿を物心ついた頃から目にしていた。辛くても弱音を吐かないで自分に笑顔を見せる母のためにも「聞き分けのよい、迷惑をかけない子でいることが助けになる」と肌で感じ取り、あまり手を煩わせることのないよう、幼いコハルなりに考えて行動してきた。同年代の子供に多いわがままを言うことも滅多に無い。自分のことよりも正宗を気遣う姿は気を回しすぎるほどである。正義感も強く、意地悪を言う人に意見したり、困っている人や気持ちの弱っている人にさりげなく心を添わせる優しさも。人の気持ちに敏感で感受性が豊かな、心優しい素直な女の子である。それを父の正宗は誇らしく感じている。 生後数年は正宗が父親だと知らされていなかった。同居後も「パパ」「お父さん」とは呼ばず、母と同様に「正宗くん」と呼んでいる。 母の中学入学時の写真を見て以来、同じ制服を着ることに憧れと希望を持ち、私立中学の受験を目指して熱心に勉強をしている。算数が得意科目のひとつである。 「コハル」の名前の由来は、10月のある日、正宗が「今の時期(小春)が好き。少し寒くて、少し暖かいって一番良いと思う」と陽子に語ったことから。 後年、念願であった母と同じ私立中学に合格。憧れの制服を着用し、満面の笑みで入学式に臨んだ。 塚本 陽子(つかもと ようこ) 正宗の恋人。故人。明るく前向きで負けず嫌い。少し勝ち気で気丈な性格。自我が強く1人で考えを深め、決定・実行に移してしまうことも多い。しかし、自身の心にある陰りの部分を周囲に悟られ、心配されることを嫌い、気を張って明るく振舞っている節もある。心の琴線が細やかで愛情豊かな一面もある。テントウムシが好き。 かつて正宗の通う高校の付属大学に通っていた。19歳の時に、図書室で勉強をしていた正宗が使っていたテントウムシの飾り付きのシャープペンシルに興味を持ち、「購買では売っていなかった」と話し掛けたことがきっかけで知り合い、後に交際へと発展する。2年後、留学を理由に正宗に別れ話を切り出す。 留学の本当の理由は、当時高校生だった正宗の子を妊娠したため。出産の決意はすぐに固まったが、正宗に相談するという選択肢は打ち消してしまった。堕胎の二文字は頭になかった。「愛する人の子供を産みたい」。だが「真面目な性格の正宗に打ち明ければ、必ず自分の未来や夢を押し殺してでも責任を取ろうとするだろう」と考慮。まだ、あまりにも若い正宗の将来を案じ、重荷にならぬよう、目の届かないところで未婚の母になる覚悟をした末の渡航だった。「留学から帰ってくるまで待っている」「結婚して欲しい」と望む正宗の気持ちを嬉しく思いながらも、これから生まれてくる子供や、それに伴う抑制を余儀なくされる生活が、正宗の将来に負担になってしまうことを憂いて、遠距離恋愛を諦めるよう仕向ける強気で辛辣な言葉を残し、勝ち気で自立を目指す気丈な印象を正宗の胸に残して旅立つ。 コハルが物心ついてからも暫くの間、父親の存在を明かさなかった。また、コハルに命名の由来を尋ねられた折に正宗の名前が出ても「ママの大切な友達」とだけ教えていた。 陽子自身、婚外子として出生。実父と生活を共に出来ないワケありの母子家庭で育っている。 正宗の下を去ってから5年後、突然の事故により帰らぬ人となってしまった。志し半ばで遺体のまま無言の帰国。 コハルが正宗に届けた大量の未投函の“出さない手紙”には、出産や正宗との別離、それらを1人で決めてしまったことを申し訳なく思う、決して小さくはない罪悪感にも似た気持ち。異国での不安や寂しさ。そして何より正宗への忘れえぬ想いを綴った切ない内容がこぼれんばかりに溢れていた。弱音にも似た本心を伝えることが出来ない代わりに、便箋に言葉を綴り、封をすることで自身の気持ちをも封じ込め、戒めていたのである。
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