種痘とは? わかりやすく解説

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種痘

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/27 15:34 UTC 版)

種痘(しゅとう)とは、天然痘予防接種のことである。ワクチン内に接種する。今日ではY字型の器具(二又針)に付着させて人の上腕部に刺し、傷を付けて皮内に接種する手法が一般的である。1980年天然痘ウイルスは撲滅され、自然界に存在しないものとされているため、1976年を境に日本では実施されていない。


注釈

  1. ^ 1970年(昭和45年)8月5日の厚生省公衆衛生局の通達では、生後6か月から24か月の健康状態が良好な時期に接種するように、との通達があるので、厳密には1975年(昭和50年)12月生まれ(昭和50年度後半)までが種痘の定期接種を受けた最後の世代である。
  2. ^ 有名人ではタレントの井上晴美(1974年9月生まれ)は右上腕肩付近に種痘瘢痕が残っており、定期接種を受けた最末期に近い世代である。
  3. ^ a b c d 左上腕に接種された例も時折見かける。
  4. ^ 「多圧法」とも呼ばれる。
  5. ^ 杉本(1971年)によれば最大で直径4 cmの記録がある[20]
  6. ^ この時代には国内で天然痘に罹患する危険性は極めて低くなったことに加え、女性の服装で袖の短い服の流行と相俟って、幼少時に接種された種痘の跡を嫌がる女性が増加した。杉本(1971年)によれば女性のケロイド化した種痘瘢痕が結婚の障害となった事例が報告されている[20]
  7. ^ 目立たない部位に徹底して右肩後部背中側に接種された例も少なからずあった。
  8. ^ 有名人では歌手の松田聖子(1962年生まれ)の右肩に非常に大きい種痘痕がある。
  9. ^ 有名人では元歌手の山口百恵(1959年生まれ)の左肩にケロイド化したBCG痕がある[21]
  10. ^ 有名人ではタレントのかとうれいこ(1969年生まれ)の右肩にケロイド化した種痘痕がある。
  11. ^ 接種部位は厚生省「予防接種実施規則」で昭和33年「右上腕伸側又は右肩部」、その後昭和39年に「原則として右上腕伸側」と決められており、右肩部が接種部位から除外されたが、肩部を避ける徹底が図られるまでは数年を要し、後年になってもなお肩部に接種された例も少なからずあった。
  12. ^ 有名人ではプロ囲碁棋士の吉原由香里(1973年生まれ)の右上腕三角筋部に非常に大きい種痘痕がある。
  13. ^ 例えば斉藤由貴1966年生まれ)のベストアルバム「YUKI's BEST」の歌詞カードの裏面の彼女の写真には、右上腕に種痘の瘢痕が確認できる。
  14. ^ 有名人ではタレントの松本明子(1966年生まれ)・歌手の堀ちえみ(1967年生まれ)・歌手の岡田有希子(1967年生まれ)は右上腕肩付近に2箇所の種痘瘢痕が横並びで残っており、左上腕には瘢痕が無い。
  15. ^ 有名人では女優の川島なお美(1960年生まれ)は左上腕上部に2箇所の種痘瘢痕が横並びで残っており、右上腕には瘢痕が無かった。
  16. ^ 瘢痕の残り方には個人差がある。
  17. ^ 種痘を左腕に接種された例よりも極端に稀である。
  18. ^ 丁度、最後に種痘接種を受けた世代が20歳代後半から30歳代に差し掛かる時期であった。

出典

  1. ^ 青木歳幸全国へ広がった佐賀の種痘」(PDF)『日本醫史學雜誌』第55巻第2号、2009年6月、142頁、ISSN 05493323NAID 100247929812022年10月12日閲覧 
  2. ^ 緒方靖哉、西山孝、土居克実「改訂 ウイルス分類:話題のウイルスの知見と動向」『化学と生物』第58巻第1号、日本農芸化学会、2020年、20-33頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu.58.20ISSN 0453-073XNAID 130007964955 
  3. ^ Schrick, Livia; Tausch, Simon H; Dabrowski, P. Wojciech; Damaso, Clarissa R; Esparza, José; Nitsche, Andreas (2017). “An Early American Smallpox Vaccine Based on Horsepox”. New England Journal of Medicine 377 (15): 1491–1492. doi:10.1056/NEJMc1707600. PMID 29020595. 
  4. ^ 29.ワクチンによるウイルス感染症の根絶(2):天然痘の根絶”. 一般社団法人 予防衛生協会. 2021年8月19日閲覧。
  5. ^ 富田英壽『天然痘予防に挑んだ秋月藩医緒方春朔』(海鳥社、2010年)。青木歳幸「人痘法の展開」青木歳幸・大島明秀・W.ミヒェル編『天然痘との闘い―九州の種痘―』(岩田書院、2018年)。
  6. ^ アン・ジャネッタ、廣川和花・木曾明子訳『種痘伝来―日本の〈開国〉と知の国際ネットワーク―』(岩波書店、2013年)pp.98-105
  7. ^ 『福井市史』資料編9(1994年)pp.227-232。
  8. ^ a b c d e 青木歳幸天然痘ウイルス撲滅へ 佐賀藩の先進性に学ぶ - 種痘普及へ佐賀藩の先手◇西洋医学取り入れ天然痘撲滅を目指した先人の歩みを調査研究◇」『日経新聞』日本経済新聞社、2021年11月10日、朝刊、文化面。2022年10月12日閲覧。
  9. ^ アン・ジャネッタ、廣川和花・木曾明子訳『種痘伝来―日本の〈開国〉と知の国際ネットワーク―』(岩波書店、2013年)pp.155-163。
  10. ^ 京都の除痘館の開館は嘉永2年(1849年)10月16日。『笠原白翁筆 戦兢録』(福井市立郷土歴史博物館、1989年)
  11. ^ 青木歳幸「人痘法の展開」青木歳幸・大島明秀・W.ミヒェル編『天然痘との闘い―九州の種痘―』(岩田書院、2018年)
  12. ^ 笠原白翁『白神記―白神用往来留―』福井県医師会、1997年
  13. ^ 柳沢芙美子「福井藩における藩営除痘館の開設とその運営」『福井県文書館研究紀要』第16号、福井県文書館、2019年3月、47-70頁、hdl:10461/29259ISSN 1349-2160NAID 120006885954 
  14. ^ 富山市史編纂委員会編『富山市史 第一編』(1960年4月 富山市史編纂委員会)p.804
  15. ^ 松木明知新出の平沢屏山のアイヌ種痘図に関する一考察 : オムスク造形美術館所蔵の「種痘図」を巡って」(PDF)『日本醫史學雜誌』第56巻第3号、日本医史学会、2010年9月、427-436頁、ISSN 05493323NAID 10026700614 
  16. ^ 諸澄邦彦「医療史跡 五郎治と久蔵」(PDF)『Isotope News』2014年7月号(No.723)、公益社団法人日本アイソトープ協会、51頁、2022年7月26日閲覧 
  17. ^ 『内局ニ規程課ヲ置キ審案課ノ次ニ列ス』(法令の種別・番号:丙第87号達)発令主体:海軍省、1884年5月。国立国会図書館サーチR100000031-I000010403-00 明治17年5月27日(発令年月日)
  18. ^ 予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律(昭和51年6月19日法律第69号)”. 2023年3月18日閲覧。
  19. ^ ○種痘の実施について”. 厚生労働省. 厚生省 (1970年8月5日). 2022年10月12日閲覧。(昭和四五年八月五日)
  20. ^ a b c d 杉本 1971, p. 48.
  21. ^ 山口百恵著 蒼い時 集英社 1980年
  22. ^ 八事石坂クリニック院長ブログ
  23. ^ 吉原賢二『私憤から公憤へ- 社会問題としてのワクチン禍』(岩波新書 1975年, ISBN 4004111196)pp.56-57
  24. ^ 種痘ワクチン 岐阜でも死者出る 二一二人に 全国の被害者『朝日新聞』1970年(昭和45年)6月16日夕刊 3版 8面
  25. ^ 百余年、改良されぬ種痘 雑菌まじり毒性 新ワクチン開発へ『朝日新聞』1970年(昭和45年)6月16日夕刊 3版 8面
  26. ^ 川上武『戦後日本病人史』農文協 2002年, ISBN 4540001698, 第8章「薬害・医原病の多発とその背景」p.324-330
  27. ^ 山内一也、三瀬勝利『ワクチン学』岩波書店, ISBN 4-00-006225-5
  28. ^ 痘瘡ワクチン接種について” (PDF). 防衛省. ワクチン等に係る検討会 (2002年4月26日). 2020年7月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月12日閲覧。


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