目潰し魔事件関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 09:39 UTC 版)
平野 祐吉(ひらの ゆうきち) 容疑者の一人。36歳。身長は5尺2寸程と小柄。徳島出身。細密な彫金細工を生業にしていた飾り職人。喜市の友人。昭和23年夏に妻を亡くし、以来独り暮らしで、昭和26年春から信濃町の借家を借りていた。 小田原の農家の娘と結婚するも徴兵され、軍隊時代に非人道的な体験をした所為で心因性の性的不能者になり、自分が戦死したと思い込んで男を作っていた妻の不貞を黙認したが、妻と間男の閨房を覗き見て異常な性的興奮を覚えた挙句、覗きを知った妻に自殺されてしまう。矢野妙子の殺害後に失踪し、鑿で次々と女性の目を潰す目潰し魔として指名手配されている。降旗によって「視線恐怖症」と診断されている。 川島 新造(かわしま しんぞう) 容疑者の一人。木場修太郎の悪友。池袋で「騎兵隊映画社」という会社を興している。丸坊主に兵隊服、黒眼鏡と外見はかなりの強面。前島八千代が最後に会った人物とされ、殺害容疑が掛けられるが、他に目的があり逃亡する。 川島 喜市(かわしま きいち) 容疑者の一人。印刷工場の職人。平野祐吉の友人で、川島新造の異母弟。平野に精神科医の降旗を斡旋した。素性は石田芳江の息子であり、戦後8年を経て母の死について知ることとなり、母を自殺に追い込んだと、3人の娼婦(弓栄、八千代、志摩子)を憎んでいる。 矢野 妙子(やの たえこ) 第一の被害者。19歳。信濃町の地主の娘であり、平野が借りていた家の大家の娘。目元の涼しい小綺麗な娘で、地元でも小町娘と渾名される。生来世話好きだったらしく、品行方正で近所の評判も良い、蔭日向のない娘だった。 何かと平野を気に掛けていて、昭和27年5月2日、平野の家まで様子を見に行くが、玄関先で殺された。 川野 弓栄(かわの ゆみえ) 第二の被害者。35歳。切長の目も仇っぽい、脂の乗った年増風。「渚」という酒場を経営し、裏では私娼たちの元締めをしている。男出入りの激しい自堕落な女で、情夫は3人や4人ではなく、その殆どと金銭の絡む軋轢を起こしていた。また、婦人と社会を考える会とも対立して抗議を受けていた。 昭和27年10月半ば、千葉県興津町で殺された。 山本 純子(やまもと すみこ) 第三の被害者。30歳。聖ベルナール学院の教師で舎監。世界史や道徳を教えており、厳しい舎監としても有名だった。厳格で生徒から嫌われており、死してなお陰口を叩かれている。「世界婦人」辺りの流れを汲むかなり先進的な社会主義婦人論者でもあり、戦前なら間違いなく危険思想扱いされる過激な論文を発表している。 昭和27年12月末、千葉県勝浦町で殺され、学院では呪い殺されたと噂される。 前島 八千代(まえしま やちよ) 第四の被害者。28歳。親は空襲で死んで天涯孤独で、看護婦か薬剤師の学校を中退して遠縁の足袋屋を頼り、3年前に日本橋の老舗呉服店に嫁いだ。旧姓は金井。器量も良く、亭主の世話も甲斐甲斐しく、使用人出入り業者にも当たり柔しく、客扱いも巧みで金勘定もできる、どこから見ても申し分のない呉服屋の若令室、うらなりには過ぎた嫁と噂されていた。 蜘蛛の使いを名乗る人物から脅されており、昭和28年2月、四谷左門町の連込宿で売娼の如き姿で殺された。 前島 貞輔(まえしま さだすけ) 前島八千代の夫。根が陰湿で猜疑心が強く、臆病な小物。世間知らずで芯から何も出来ず、臆病で慎重なだけが取り柄の、生来の役立たずだと評判だった。 蜘蛛の使いに脅されていた妻が元売春婦だと考え、妻を尾行して真冬の深夜に4時間も連込宿の前で張り込んでいた。妻が死んだ際には一緒にいた巨漢の禿以外は出入りしていないと証言する。 多田 マキ(ただ マキ) 前島八千代の遺体発見現場だった連込宿の女主人。したたかな、中々一筋縄では行かない曲者の老婆で、人生観は屈折しているが、一種潔さも感じられる。鳥目。30年もの間もぐりの宿を経営し、戦前は良からぬことも彼是としていたが、今は宿を直引きの散娼が安く使っているだけで、暴力団の息がかかっている訳でも、花代の上前を刎ねる斡旋業者でもなく、ポン引きもせず柔順しく細々と約しくやっているので、違法営業を警察でも目零しされていた。 高橋 志摩子(たかはし しまこ) 「紅蜘蛛」の異名をとる娼婦。鉄火肌で勇ましく、義理堅い性格。戦後すぐに19歳で役場勤めで肺病病みの男と結婚するが、亭主の留守中に進駐軍に暴行され、それを逆に責められてひと月保たずに離婚。その後は開き直ってR・A・Aに所属し、将校専用の隅田川の大倉別邸に移されたものの、制度崩壊後は街娼として生きてきた。命を狙われているらしく、川島新造と川島喜市が接触をしていた。第五の被害者。 降旗 弘(ふるはた ひろむ) 元精神科医。木場修太郎の友人。『狂骨の夢』事件の後に東京に戻り、元従軍看護婦の娼婦・徳田里美のヒモとなって生活している。退職前に、平野祐吉を診察している。 竹宮 潤子(たけみや じゅんこ) 池袋にある場末の酒場「猫目洞(ねこめどう)」を営んでいる気風のいい女主人。通称「猫目のお潤」。木場に、降旗の現状を教える。
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