消防隊による消火救出活動および警察による警備活動の経過
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「千日デパート火災」の記事における「消防隊による消火救出活動および警察による警備活動の経過」の解説
22時40分、大阪市消防局警防部警備課指令第1係が千日デパート保安係から119番通報を以下の内容で受信した。 消防局 「こちら119番です」通報者 「千日デパートビル火事です」消防局 「何階が燃えているのか」通報者 「3階が火事です」消防局 「電話は何番ですか」通報者 「××××(電話番号)、保安係(氏名も名乗ったが不明確で確認できず)」消防局 「わかりました」 大阪市消防局は火災通報をただちに受理した。なお火災通報時の気象状況は、天候=曇り(雲量10)、風向=東北東、風速=5.5メートル、気温=摂氏17.9度、湿度=69パーセント、実効湿度=63パーセントであった。 22時41分、「ミナミ千日デパート3階出火」の一報を指令室より管内全消防署に発報。第1次出場が指令された。 22時42分、南消防本署および南消防署・各出張所より第一陣が出場した。千日デパートからもっとも近い東側200メートルに位置していた南消防署・南阪町無線付き普通ポンプ車分隊(PR)と同救出車分隊(R)の2個分隊と、北側200メートルに位置していた南消防署・道頓堀PR分隊が、それぞれ現場に急行し、デパートビル50メートル手前まで差しかかったところで同ビル北側の窓から黒煙が噴き出しているのを確認し、南阪町分隊は「煙気あり」を即報。走行中に「第2次出場」を要請した。 22時43分、南消防署・南阪町および同道頓堀分隊が火災現場に到着。放水準備作業が開始された。 22時44分、南消防本署・はしご車分隊(L)、同無線付きポンプ車分隊(PR)、同水槽付きポンプ車分隊(T)、同スノーケル車分隊(S)の各隊が現場に到着した。消防指揮者は千日デパート保安係員に対し、消火活動のためにデパート北東正面出入口とE北西出入口のシャッターを開けるよう命じた。さらに消防指揮者は、デパートビル北側に特殊車両を配置するよう指示した。出入口シャッターが開放されたと同時に7階プレイタウンの窓から要救助者50人から60人が身を乗り出した。 22時45分、南消防本署・はしご車分隊は、はしごの伸長を開始した。南消防署・上町PR分隊が現場に到着した。同時刻に大阪府警は110番通報を受信した。 22時46分、南消防署各隊により延焼階に対して放水が開始された。南消防署・救急隊は、7階に10人以上の要救助者を認めたことから、大阪市消防局管内すべてのはしご車の出動を要請した。 22時47分、指令室より特別出動態勢が発令された。南消防本署・はしご車分隊は、7階ホステス更衣室窓で救出活動を開始した。同窓から女性2人を救助した。その後、13分間にわたり救出活動を行った。南阪町PR分隊は、7階北東角の窓から投下された救助袋が2階ネオンサインに引っかかったため、はしごを立てかけて登上し、地上へ降ろす作業を行った。 22時48分、南消防署・南阪町PR分隊が「第3次出場」を要請した。大阪府警は、火災現場に警察官を派遣し、現場付近一帯の交通規制を開始した。 22時49分、南消防署・南阪町PR分隊は、20人程度の通行人に地上に降ろされた救助袋先端部分(出口)の把持の協力を要請した。 22時50分、「第3次出場」が発令された。第2次出場の東消防署・本町PR分隊、南消防署・恵美須TR分隊(無線付きTポンプ車)および同立葉T分隊(無線なしTポンプ車)、西消防本署・T分隊、特別出場の天王寺消防本署・S分隊が現場に相次いで到着した(47分から50分の間)。 22時51分、西消防本署・はしご車分隊が現場に到着した。方面隊は、約5分間にわたって7階プレイタウンからの脱出者に対し、ハンドマイクで「飛び降り制止」と「救助袋の正しい使用方法」を呼びかけた。 22時52分、西方面隊より「7階で20人から30人の要救助者を確認した」と報告が入る。東消防本署・はしご車分隊が現場に到着した。特別出場の西消防署・九条PR分隊が現場に到着した。 22時53分、西消防本署・はしご車分隊は、はしごの伸長を開始した。 22時54分、西方面隊より「7階で50人から60人の要救助者を確認した」と報告が入る。西消防本署・はしご車分隊は、7階北東中央窓から救出を開始した。13分間に10人を救出した。阿倍野消防本署・はしご車分隊が現場に到着した。 22時55分、南方面隊から「7階窓から飛び降りた者が10人」と報告が入る。東消防本署・はしご車分隊は、はしごの伸長を開始した。阿倍野消防本署・はしご車分隊は、はしごの伸長を開始した。北消防本署・はしご車分隊が現場に到着した。北消防本署・R分隊が現場に到着した。南消防署・道頓堀PR分隊は、デパートビル6階のボウリング場工事現場にアセチレンガスボンベ40キログラム1本と酸素ボンベ同2本が放置されていると報告した。南阪町PR分隊は、15人程度の通行人の協力を得てサルベージシート(救助幕)を設置し、救助袋から落下してくる者の救助を開始し、3人を救助した。その後に同分隊は、はしご車からの落下に備えて23時15分まで救出活動を行った。 22時56分、西成消防本署・PR分隊と同屈折放水塔車分隊(W)が現場に到着した。南方面隊は、大阪府警に対し雑踏警備や交通整理などのために機動隊の出動を要請した。阿倍野消防本署・はしご車分隊がバンドマン室窓で救出活動を開始し、18分間に20人を救出した。 22時57分、北消防本署・はしご車分隊は、はしごの伸長を開始した。天王寺消防本署・排煙車分隊(SE)が現場に到着した。 22時58分、南方面隊から「ビル7階北東部窓より12人が飛び降りた」と報告が入る。北消防本署・はしご車分隊は、タレント室窓および厨房窓で救出活動を開始し、10分間に10人を救出した。 22時59分、第3次出場の西成消防署・津守PR分隊、天王寺消防本署・T分隊、南消防署・浪速PR分隊、北消防署・南森町PR分隊、東消防署・東雲P分隊(無線なし普通ポンプ車)、大正消防署・泉尾TR分隊が相次いで現場に到着した(53分から59分までの間)。 23時、住吉消防本署・はしご車分隊が現場に到着し、ビル南側に部署し2階ないし4階の消火作業をおこなった。 23時1分、西方面隊から「7階に要救助者が20人から30人いる」と報告が入る。東消防本署・はしご車分隊は、ビル東側2か所および北東角(救助袋投下窓)の計3個所の窓で救出活動を開始し、23分間に10人を救出した。大阪府警機動隊1個中隊が火災現場に到着した。 23時3分、東消防本署・S分隊および東消防署・東雲PR分隊が現場に到着した。 23時4分、東成消防本署・R分隊が現場に到着した。 23時5分、港消防本署・S分隊が現場に到着した。大阪市消防局は、デパートビル北側・千日前通の路上に現地指揮本部を設置した。消防局長、警防部長、警備課長、各消防署長(計8消防署署長)が出場して方面指揮にあたった。また4方面隊で情報収集を行い、人命救助、防御活動、広報活動を行った。 23時7分、天王寺消防本署・PR分隊および港消防署・田中PR分隊が現場に到着した。 23時8分、北消防本署・S分隊が現場に到着した。西方面隊より「デパートビル3,000平方メートルが延焼中」と報告が入る。 23時9分、東消防署・今橋TR分隊が現場に到着した。 23時10分、東消防本署・TR分隊および北消防署・浮田PR分隊が現場に到着した。南方面隊から「40人程度をはしご車で救出中」と報告が入る。 23時13分、東淀川消防本署・はしご車分隊が現場に到着し、ビル北側西寄りに部署して3階ないし5階の消火作業、5階および6階で人命探索活動をおこなった。 23時15分、港消防署・田中P分隊が現場に到着した。南消防本署・はしご車分隊は、救出活動を終了した。 23時17分、阿倍野消防本署・PR分隊が現場に到着した。 23時19分、都島消防署・東野田PR分隊が現場に到着した。 23時20分、北消防本署・はしご車分隊の隊員2人がビル屋上に進入し、探索活動をおこなった。 23時22分、西成消防署・海道TR分隊が現場に到着した。 23時23分、生野消防署・勝山PR分隊が現場に到着した。東消防本署・はしご車分隊は、救出活動を終了した。 23時25分、東成消防本署・PR分隊、都島消防署・高倉PR分隊、阿倍野消防署・晴明通PR分隊、東住吉消防署・股ヶ池PR分隊が現場に到着した。西消防本署・はしご車分隊は、救出活動を終了した。 23時29分、阿倍野消防本署・はしご車分隊は、救出活動を終了した。 23時30分、北消防本署・はしご車分隊は、救出活動を終了した。消防隊は、右時刻を以ってすべての人命救出活動を終了した。 23時32分、大阪市消防局は、管内の全消防車両の3分の1にあたる85台(はしご車7台、救急車12台を含む)を投入した。 23時35分、大阪府警は、機動隊1個中隊第2陣を火災現場に配備した。 23時58分、阿倍野消防本署・サルベージ車分隊(SA)が現場に到着し、ビル2階で照明灯火作業をおこなった。 14日0時過ぎ、火勢が衰え出す。消防隊は火災鎮圧までの間、延焼階に対する消火活動と火災防御活動を継続した。大阪府警は負傷者の搬送、捜査活動、警備隊などを現地指揮するための府警本部長を長とする現地警備本部を設置した。南消防署・道頓堀PR分隊から「デパートビル6階のボウリング場工事現場にガスボンベ3本が放置されている」「地下1階に重油タンクがある」「地下で都市ガス漏洩の恐れあり(大阪ガス係員情報)」との一報を受け、大阪府警・警備本部は通行人らに対し千日前通からの避難命令を出した。警察官の出動は総数1,008人にのぼり、負傷者の救護搬送、交通規制、雑踏警備にあたった。 0時28分、城東消防本署・PR分隊が現場に到着し、地下街の浸水調査をおこない、その後にビル2階へ進入し消火作業をおこなった。 1時12分、福島消防本署・P分隊が現場に到着し、各隊に対して燃料補給を実施した。 2時ころ、大阪府警・南署は、出火当時ビル3階で電気工事に携わっていた工事作業員4人を署に呼び、任意で事情聴取を始めた。 3時、北消防署・梅田PR分隊が現場に到着し、放水砲を輸送して南消防署・救助隊に渡した。 4時1分、福島消防本署・SA分隊が現場に到着し、千日デパートビル地階および地下街「虹のまち」への浸水阻止作業を実施した。 5時、南消防本署・はしご車分隊、同TR分隊および東淀川消防本署・はしご車分隊は、はしご車を使って7階窓からプレイタウン店内へ、または5、6階窓からビル内に進入し、内部探索を開始した。 5時15分、大阪府警・機動隊1個小隊30人が7階プレイタウンへ内部探索に入った。 5時20分、消防隊から「7階で31人の遺体確認。死者は更に増える見込み」と無線連絡が入る。 5時43分、火災鎮圧。 6時、大阪府警および大阪市消防局は、7階「プレイタウン」の現場検証を開始した。 6時15分、7階を探索中の消防隊から「96遺体を確認。遺体に付ける番号札(エフ)が足りない」と無線連絡が入る。 7時41分、火災は鎮火したと一旦は発表された。延焼範囲は、2階から4階までの8,763平方メートルだった。大阪市消防局救急隊7隊は、現場検証終了後(9時30分)に7階から遺体搬出活動を行った。 9時、大阪府警・鑑識課、科捜研、大阪市消防局が合同で3階出火元の現場検証を開始した。検証の結果、3階中央部東寄り売場の床が最も激しく燃えていたことから同場所を火元と断定した。 15日0時15分ごろ、千日デパートビル6階中央部から白煙が噴き出しているのを通行人が目撃し119番通報した。大阪市消防局は消防車両8台を出場させ、同ビル6階窓と7階窓から放水し、小火程度で消し止めた。大阪市消防局は、消火困難箇所および内在物品などの燻りがまだデパートビル内に残っていると判断し、消火および火災防御活動を再開した。 15日17時30分、正式に火災鎮火と発表された。
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