消防音楽隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/12 13:28 UTC 版)
消防音楽隊(しょうぼうおんがくたい)とは、音楽の演奏を通じて市民と消防との融和をはかり、消防活動の広報にあたるための消防吏員(消防官)等によって編成されている部隊のこと。
概要
消防音楽隊のうち音楽活動を専門とする専務隊は、東京消防庁や政令指定都市に置かれている。残りの消防本部の音楽隊(約150隊)は消防の通常業務を兼ねている兼務隊である。
ほとんどが軍楽隊と同様の吹奏楽の形式を採用しているが、一部、金管楽器だけで編成されている音楽隊も存在する。兼務隊の中には消防団員を消防吏員とともに音楽隊員として採用している部隊もある。入隊に際して実技(楽器演奏)選考を課す隊もある。
歴史と動向
1934年、愛知県一宮市で、明治28年発足した一宮音楽会を「一宮消防組音楽隊」と改称、隊員も消防組員を主体として、ここに全国で初めての消防音楽隊が発足した。 その後、昭和37年には「一宮市音楽隊」と改称して市営となり、昭和62年に現在の名称である「一宮市消防音楽隊」となった。
1949年7月16日、旧日本海軍軍楽隊のメンバーを主体に、東京消防庁音楽隊が23名で発足した[1][2]。
大阪市消防音楽隊は、2007年度末(平成19年3月31日)をもって廃止。政令指定都市の消防音楽隊としては初のケースとなった[3][4]。廃止の反対や撤回を求める署名が日本全国から数多く寄せられたが、決定は覆せなかった。
京都市消防音楽隊も政令指定都市の専務隊であったが、年間約1億円の活動経費が市の財政の負担となり2022年(令和4年)3月31日に廃止された[5][6]。
名古屋市消防音楽隊は、名古屋市に本社を置くポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社と2016年(平成28年)4月からネーミングライツ契約を締結し、「ポッカレモン消防音楽隊」の愛称で活動している。
2025年現在、下記のように地方を中心に活動を休止・断念する消防音楽隊が増えている[5]。
- 福井県 若狭消防音楽隊(2025年廃止、消防業務多忙のため)
- 奈良県 奈良市消防音楽隊(2020年ごろ休止、消防業務多忙のため)
- 埼玉県 秩父消防音楽隊(2023年廃止)
- 群馬県 太田市消防本部音楽隊[7](2025年廃止)
脚注
- ^ 東京消防庁音楽隊のあゆみ
- ^ 東京消防庁音楽隊とカラーガーズ隊
- ^ 大阪市執行会議 会議要旨(平成18年1月12日) 消防音楽隊は、財団法人大阪市消防振興協会に業務委託
- ^ 財団法人大阪市消防振興協会 平成19年3月31日消防音楽隊事業の廃止
- ^ a b 浜崎春香 (2025年5月20日). “消防音楽隊、地方で解散・休止相次ぐ…救急出動増え練習ままならず「消防行政の課題を象徴」”. 読売新聞 2025年5月20日閲覧。
- ^ “消防音楽隊及びカラーガード隊の廃止について”. 京都市消防局 (2022年4月1日). 2025年5月20日閲覧。
- ^ “消防音楽隊”. 太田市 (2025年3月21日). 2025年5月20日閲覧。
関連項目
外部リンク
政令指定都市
- 札幌市消防音楽隊
- 新潟市消防音楽隊
- さいたま市消防音楽隊
- 千葉市消防音楽隊
- 川崎市消防音楽隊
- 横浜市消防音楽隊
- 静岡市消防音楽隊
- 浜松市消防音楽隊
- ポッカレモン消防音楽隊(名古屋市消防音楽隊)
- 堺市消防音楽隊
- 神戸市消防音楽隊
- 岡山市消防音楽隊
- 広島市消防音楽隊
- 北九州市消防音楽隊
- 福岡市消防音楽隊
その他の自治体
消防音楽隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 07:18 UTC 版)
詳細は「消防音楽隊」を参照 日本では、消防音楽隊は、各自治体の消防本部あるいは消防団によって運営される。吹奏楽編成のものが多い。ほかに信号ラッパのみ、あるいは打楽器を加えた編成も数多い。 音楽隊員の身分は、消防職員のみ、また消防団員のみ、あるいは混成、さらに一般人をも含んだりと多岐に亘る。 活動内容は、吹奏楽を通じた防火・防災の啓蒙・広報活動を目的とし、消防関係の式典や行事(出初式など)における演奏や、地域からの依頼演奏のほか、定期演奏会などの自主的な演奏がある。 個人負担金は団体ごとの規定によるものの、ないところが多い。
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固有名詞の分類
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