構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 04:11 UTC 版)
サール社の研究グループは、COX-2を十分に阻害するには適切に置換された2つの芳香環が中心環付近に位置していなければならないことを発見した。セレコキシブの構造活性相関を推定するにあたり1,5-ジアリルピラゾール部分にさまざまな修飾を施すことが可能である。ピラゾール1位にあるパラ-スルファモイルフェニル基は、パラ-メトキシフェニル基よりもCOX-2を選択的に阻害することが分かった(Compound[化合物]1-3を参照)。さらに、COX-2を阻害するには4-(メチルスルフォニル)フェニル基か4-スルファモイルフェニル基が必要なことも知られている(Compound 2-4を参照)。例えば、これらのいずれかを–SO2NHCH3置換基に置きかえると、非常に高い50%阻害濃度が認められ、COX-2の阻害活性は減少する(Compound 5を参照)。また、トリフルオロメチル基やジフルオロメチル基が、ピラゾール3位に導入された場合、フルオロメチル基やメチル基よりも優れた選択性と阻害力を発揮する(Compound 6、7、8、9を参照)。 ピラゾールの4位は立体障害により大きく影響を受ける。すなわち、置換基のかさ高さが増大するほど阻害能は減少する。例えば、R1基の大きさをメチル基からプロピル基にまで徐々に拡大した場合、エチル基以上の大きさの置換基を有するとCOX-2阻害力が減少した(Compound 12、13、14を参照)。さらに、この位置にハロゲン原子を組み込むことでCOX-2阻害力が非常に大きくなる(Compound 15、16を参照)。ピラゾールの5位には芳香環が必要であることが知られているが、その柔軟性により、どういった修飾の組み合わせにより最大の阻害能と選択性が得られるかは不明であるため、この置換基の最適化は困難である。メタ部位(3-置換)と比較してパラ部位(4-置換)やオーソ部位(2-置換)での置換は力価が高くなることがわかっている(Compound 17、18、19を参照)。 これらの位置に-CN等の電子吸引基を有する場合は、COX-1およびCOX-2の阻害力が弱い。また、メトキシル等の電子供与基はCOX-1およびCOX-2のいずれも強力に阻害してしまうため、COX-2選択的阻害剤としては不十分である(Compound 20、21を参照)。パラ-メトキシ基の強力なCOX-1阻害力はα位でハロゲン原子を置換することにより軽減することができる。例えば、3-フルオロ基や3-クロロ基の導入によりCOX-1阻害作用がそれぞれ43倍および33倍減少する(Compound 22、23を参照)。5位の芳香環のパラ置換基により創出される立体障害を考慮することが必要である。パラ位のメチル化および4-エチル化によるCOX-2阻害力を考えた場合、メチル化した場合は50%阻害濃度が0.040μMでCOX-2を阻害することができるが、一方エチル化した場合では0.86μMであり、これはパラメチル置換基の阻害力が少なくとも20倍高いことを意味している(Compound 10、11を参照)。 Compound 10がセレコキシブである。COX-2の阻害にはピラゾール環の1位に4-スルファモイルフェニル基が必要であり、また、ピラゾール環5位の4-メチルフェニル基は阻害力を最大にするうえでの立体障害が低い一方、3位のトリフルオロメチルグループはより優れた選択性と阻害力を有する。セレコキシブの選択性を説明するには、薬物分子とCOX-1およびCOX-2酵素の結合差の自由エネルギーを解析しなければならない。構造の最適化は、シクロオキシゲナーゼの523番目のサイドポケット部位(COX-1ではイソロイシン、COX-2ではバリン)への結合が重要であることを見出した。この(523番目のアミノ酸の)変異は、セレコキシブ‐COX-1複合体を不安定化するようなスルホンアミド基の酸素とイソロイシンのメチル基の間の立体障害を作り出すことにより、COX-2選択性に寄与することが明らかとなった。従って、COX-2選択的阻害剤は非選択的NSAIDsよりも立体構造がかさ高いと考えるのが妥当である。
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構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 09:21 UTC 版)
「選択的エストロゲン受容体修飾薬」の記事における「構造活性相関」の解説
SERMの骨格構造は、17β-エストラジオールに類似している。その骨格には1~3個の原子を挟んで2つの芳香環が結合している。芳香環を繋ぐ連結部位には4位置換フェニル基がもう一つ結合しており、エストロゲン受容体(ER)に結合した時に結合部位から突き出して、ヘリックス12が受容体開口部に近付けず、通常、補助活性化因子タンパク質が結合してER作動薬活性を引き起こすべき空間をブロックする。SERMの骨格部分には多くのバリエーションがあるが、側鎖にはあまり柔軟性がない。SERMは骨格構造で分類される。
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構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/27 08:42 UTC 版)
イソプロピルアミン基がβ受容体への選択性を担っている。カテコールの水酸基が露出している事で代謝酵素への感受性が維持されていると考えられている。
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構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/03 00:45 UTC 版)
最初の定量的構造活性相関(QSAR)の研究は、モノアミン再取り込み阻害薬の芳香族置換基を変更すると親和性がどの様に変わるかに焦点が当てられた。 ニトリル先駆物質 → ペチジン/類縁物質 Ki & IC50, µM芳香環 [3H]Pax [3H]CFT [3H]Dop Ph ? → 0.413 ? → 17.8 ? → 12.6 p-F 10.1 → 0.308 45% → 10.7 8% → 47% p-Cl 5.11 → 0.277 22.0 → 4.10 36% → 26.9 p-I 0.430 → 0.0211 8.34 → 3.25 36.7 → 11.1 p-Me 13.7 → 1.61 41.8 → 12.4 22% → 76.2 m,p-Cl2 0.805 → 0.0187 2.67 → 0.125 11.1 → 1.40 β-Naph 0.125 → 0.0072 2.36 → 1.14 21.8 → 11.6 3回の実験結果の平均値 100µMでの阻害率(%) 特に注意すべき点は、p-ヨウ化物とβ-ナフチル誘導体の DAT(ドーパミン輸送体)阻害活性/SERT(セロトニン輸送体)阻害活性 比 である。 p-I, D/S = 155 β-Naph, D/S = 158 マウスを用いた行動活性研究ではいずれの化合物もコカインの代替とはならず、LMA(歩行活動)刺激薬として不活性であった。これはメチルフェニデート類縁物質がコカイン様の特徴を示した事と直接対照的である。アリール基はDAT親和性が望ましいか否かまたはSERT親和性が必要か否かで選択可能である。 ペチジン(当初はメペリジン)は最初は選択的SERT阻害(DAT非阻害)薬として発見された。 続いて実験されたQSARでは、芳香環がm,p-Cl2フェニル基に固定された。 m,p-Cl2メペリジンエステルRCFT nMPara nM比Et 125 18.7 6.7 Me 383 15.4 25 n-Pr 449 16.4 27 i-Pr 271 43.3 6.3 n-Bu 864 16.0 54 n-Pen 283 44.3 6.4 メペリジンのエステル結合は体内で速やかに加水分解される。 A fourth paper on 3,4-ジクロロフェニルメペリジンの4番目の論文が2010年に出版された。
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構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 22:19 UTC 版)
構造活性相関を考える上で、メディフォキサミンと構造的に似ている化合物として、メディフォキサミンと同じく第3級アミンの窒素に2つのメチル基が結合した部分構造も持った、3環系抗うつ薬のアミトリプチリンとイミプラミンが挙げられる。 しかしながら、メディフォキサミンは3環系抗うつ薬と、作用に関しては、あまり似ていない。と言うのも、3環系抗うつ薬は一般に抗コリン作用も有するのだが、メディフォキサミンには抗コリン作用は無い上に、3環系抗うつ薬は一般にアドレナリンα1受容体をブロックする作用も有し、特にアミトリプチリンやイミプラミンのような第3級アミンの構造を有している場合には強くアドレナリンα1受容体をブロックするのだが、メディフォキサミンにはアドレナリンα1受容体をブロックする作用も無い。また、3環系抗うつ薬は一般にノルアドレナリンの再取り込みも阻害するのだが、明らかに、メディフォキサミンにはノルアドレナリンの再取り込みを妨害する作用は無い。 ただ、それでも二重盲検法での調査の結果では、うつ病の治療に使用した限りにおいて、3環系抗うつ薬のイミプラミンやクロミプラミンとも、さらに、やや構造の異なる抗うつ薬のマプロチリンとも、その治療効果は似たり寄ったりであった。
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構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 15:38 UTC 版)
カチノンの分子構造は、エフェドリンやカチンやアンフェタミンなど、モノアミンの精神刺激薬に類似している。ベンゼン環に水酸基を持たない、これらの化合物は血液脳関門を通過し易い。カチノンも血液脳関門を容易に突破し、線条体からのドーパミンの放出を促進する。 しかしながら、カチノンはケトン基を持つ点で、他の多くのモノアミンの精神刺激薬と異なる。カチノンと骨格を共有する他のモノアミンの精神刺激薬には、抗うつ薬のブプロピオンや、精神刺激薬のメトカチノンなどが挙げられる。なお、カチノンの化学構造はメトカチノンに対して、アンフェタミンとメタンフェタミンの関係と同じ関係である。カチノンは、側鎖のβ位にケトン基を持つ点でアンフェタミンと異なる。 カチノンに対応するアルコールであるカチンは、カチノンと比べて覚醒剤としての効果が弱い事が知られている。
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構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 10:03 UTC 版)
「鉱質コルチコイド受容体拮抗薬」の記事における「構造活性相関」の解説
スピロノラクトンとエプレレノンは、アルドステロンの鉱質コルチコイド受容体への結合を競合的に阻害し、ナトリウムイオンと塩化物イオンの再吸収を妨げる。ステロイド系鉱質コルチコイド拮抗薬の活性は、C-17位にY-ラクトン環が存在する事に依存する。また、C-7位の置換基は、アルドステロンなどのC-7未置換の受容体作動薬との相互作用を立体的に阻害するため、活性には重要である。 ステロイド系鉱質コルチコイド拮抗薬には、薬理作用上重要なy-ラクトン環が存在する。 エプレレノンは、副作用を抑えたスピロノラクトン類似薬として開発された医薬品である。エプレレノンは、y-ラクトン環とC-7の置換基に加えて、9α,11α-エポキシ基を有する。この基が、エプレレノンがスピロノラクトンに比べて鉱質コルチコイド受容体に対する親和性が20〜40倍低い理由と考えられている。 フィネレノンは非ステロイド性である為、親油性や極性が異なるにも関わらず、鉱質コルチコイド受容体に対するフィネレノンの親和性はスピロノラクトンと等しくエプレレノンの500倍であり、多くの鉱質コルチコイド拮抗薬のステロイド骨格は鉱質コルチコイド受容体への親和性に必須ではないことを示唆している。エサキセレノンの鉱質コルチコイド受容体親和性はスピロノラクトンの4倍である。
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構造活性相関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 02:00 UTC 版)
窒素を修飾する三級ブチル基が、交感神経β2受容体選択性を高めている。ベンゼン環の4位に水酸基がない事で、COMTの影響を受け難くなっている。
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