架空戦記の源流とは? わかりやすく解説

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架空戦記の源流

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 10:12 UTC 版)

架空戦記」の記事における「架空戦記の源流」の解説

古代から史実記録した戦記軍記物存在しており、それを題材とした叙事詩軍記物語語り物講談軍記読み)が一定の人気得ていた。これらの中には説話美談娯楽性高めるため史実脚色した作品多かった草双紙として出版され甲越川中嶋軍記一騎打ち場面では、文章リアリティ重視した表現であるが画は見栄え重視した描写となっている。 近代以降先進各国近代的な編成軍隊整備されたことと、本格的な軍事衝突現実化し政治情勢だったことから、史実を描く戦争文学以外に未来戦争シミュレーションする小説登場し始めた日本では明治期政治小説流行し国権拡張北進論南進論などに基づく海外雄飛主眼とした作品多数登場した。その中には西欧列強との武力衝突や、西欧同士戦争考慮する小説もあった。その中で1887年明治20年)に高安次郎ロシアアメリカ対立描いた世界列国行末』や、南進論盛り込んだ須藤南翠『旭章旗』などが先駆けとされている。戦争相手国は、ロシア中国ドイツなど時代背景創作動機により様々だった。また南進論からアジア舞台にした軍事小説は、押川春浪海野十三などにより軍事よりも冒険小説傾向強くしていくなど独自の進化遂げた第二次世界大戦前昭和初期1930年代)にかけては、現実味帯びてきた日米戦争テーマにした小説多数刊行された。しかしこれらの作者海軍少佐福永恭助を始めとした軍人政治活動家が自らの政治的主張広めるために書いたものが多く文芸作品としては概して出来が悪い評される乱造された作品中には日米双方架空新型兵器次々開発して戦う『日米戦争未来記』(1920年 樋口麗陽)などSF要素を持つ作品存在し、これらが日本SF一つ潮流と後の研究者から評価受けている。 日本以外でも、1897年にはハミルトンアメリカ海軍大尉の『日米開戦未来記』、1925年にはイギリス元海情報機関員ヘクター・C・バイウォーターen:Hector Charles Bywater)による『太平洋大海戦』(The Great Pacific War)、1930年アメリカ陸軍少佐ジョージ・フィールディング・エリオット(en:George Fielding Eliot)による『米国武官見た日米未来戦』といったものが書かれているが、日本側と同じく政治主張主目的作品多く戦争終結する従軍した作家発表した戦争文学連合軍華々しい活躍描いた戦争映画の影に隠れ次第忘れられていった第二次大戦敗戦後欧米SF影響強く受ける形で日本SF界は再出発した。そのサブジャンルとして「歴史改変」を扱った物が日本SF界にも早くから導入されており、初期の代表作としては小松左京の『地には平和を』(1961年昭和36年))や豊田有恒の『モンゴル残光』(1967年昭和42年))、高木彬光の『連合艦隊ついに勝つ』(1971年昭和46年))などを挙げることが出来る。1971年には半村良の『戦国自衛隊』が発表された。陸上自衛隊員1個小隊戦国時代史実微妙に異なパラレルワールド)へタイムスリップする物語で、天下統一への過程軍事シミュレーションであった本作は(1979年昭和54年))に映画化され大ヒットしているが、原作漫画版異なりエンターテインメント性が重視されている(タイムトラベルパラレルワールドの項目も参照)。 豊田有恒『タイムスリップ大戦争』1975年昭和50年))、『パラレルワールド大戦争』1979年昭和54年))も、同趣向の作品であったが、太平洋戦争時代舞台選んでいることで、現在の架空戦記先駆としては、直接的な物と思われるまた、1978年昭和53年)に元NATO軍司令官ジョン・ハケットの『第三次世界大戦 -1985年8月』がベストセラーになった冷戦下という時代背景もあり、その後1970年代終わりから1980年代はじめにかけて二見書房第三次世界大戦シリーズ(『第三次世界大戦 日本海封鎖せよ!』『第三次世界大戦アジア篇 中ソ戦争勃発す!』『日本ソ連軍日本上陸!』『続・日本ミンスク出撃す!』『国後島奪回せよ! 第三次世界大戦米ソ激突す!』など)をはじめ多数第三次世界大戦ものが出版された。これらの作品多く軍事ジャーナリストによって書かれSF色はなく、近未来軍事シミュレーション小説であった。この第三次世界大戦ブームが後の架空戦記ブーム少なからぬ影響与えた考えられる。 後に『艦隊シリーズ』と並ぶ荒巻義雄の2大架空戦記として扱われるうになる『要塞シリーズ』も、当初はこの系列属していた。

※この「架空戦記の源流」の解説は、「架空戦記」の解説の一部です。
「架空戦記の源流」を含む「架空戦記」の記事については、「架空戦記」の概要を参照ください。

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