架空戦記の題材
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 10:12 UTC 版)
よく取り上げられる題材としては以下のようなものがある。 もし日本が朝鮮半島やドイツのような分断国家になっていたら?(ソ連が実際に分割占領を提案していたがアメリカの反対で消えた。「日本の分割統治計画」も参照) もし大日本帝国がポツダム宣言を受諾せず(あるいは失敗し)アメリカのダウンフォール作戦が決行されていたら? もし史実より強力な兵器(優秀な戦艦や航空母艦その他の艦艇、航空機や戦車、さらには自動小銃や対戦車ロケット弾、電波探信儀、ヴァルター機関(ワルター機関)、核兵器等々に至るまで)の開発・量産に成功し、実戦配備がされていたら? もし史実にあった失策や失敗がなかったら? もし史実にない事件が起きていたら? もし史実に存在しない人物や組織・機関が誕生していたら? もし史実と違った作戦を行っていたら? もし史実と違った戦略・戦術を採用していたら? タイムトラベルにより未来の技術や兵器、もしくはまだ現実化していない歴史に関する情報を持ち込んでいたら? 将来、どこかの国が崩壊、あるいは侵略してきたら? 題材となる時代は第二次世界大戦(主に太平洋戦争)が圧倒的に多いが、戦国時代や幕末、日露戦争、第一次世界大戦、冷戦期(#架空の冷戦)未来の戦争(宇宙戦争等)等を扱う作品もある。 第三次世界大戦やアジアでの地域戦争(北朝鮮崩壊や中国の台湾侵攻、韓国や中国の竹島・尖閣諸島侵入、ソビエト連邦の北方地域を橋頭堡とした道東侵攻など)といった近未来の紛争を扱った作品(大石英司などの小説、あるいは小林源文などの漫画)までも架空戦記とされることもあるが、これらの作品は1990年代の架空戦記ブーム以前から広く存在しており、そもそも過去の歴史の改変(架空の出来事)を扱っているのではなく、起こりうる未来を扱っており性格が全く異なるものであるとして『ポリティカル・フィクション』や『テクノスリラー』に分類する意見も強い。 このジャンルは主に70年代後半~90年代前半に隆盛し、「○○軍が日本に侵攻し(もしくは日本周辺で戦争を起こし)、自衛隊が応戦(もしくは架空の日本製ハイテク兵器が活躍)するというかなりステロタイプな内容が多かった。○○にはその当時の仮想敵国(旧ソ連、中国、北朝鮮)が入る。なお、70年代の円高ドル安期から80年代のバブル経済期にはアメリカまでもがこれに加えられ、「日本が○○軍の攻撃を受けるが日本の弱体化を望むアメリカ軍は傍観する」「アメリカが好況な日本を妬んでジャパンバッシングを武力攻撃にエスカレートさせてくる(そして自衛隊に返り討ちにされる)」という作品が一世を風靡した。 そしてバブル崩壊、ソビエト連邦の崩壊、湾岸戦争、その後の地域紛争の多発とアメリカの圧倒的な一極支配、日米安保の事実上の軍事同盟化と日本の(特に軍事面での)対米従属、さらにはアメリカ同時多発テロ事件以降の非対称戦争の時代の到来といった情勢の変化に応じて、冷戦時代のソ連脅威論を背景とした作品に代わって、日本周辺における低強度紛争やテロを扱った作品、紛争地域への自衛隊派遣を描いた作品などが書かれるようになっている。
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