架空増資事件で上場廃止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 10:20 UTC 版)
先述の通り、主力銀行からの金融支援が見込めない状況下であったことから、増資による財務内容の改善を図って上場を維持しようとした。 しかし、2003年(平成15年)秋に増資の決議と中止を繰り返すなど増資が上手くいかなかったため、更なる増資失敗を繰り返せない状況に追い込まれた。 そこで、「飯倉ホールディングス」グループ傘下でその時点で民事再生手続き中だった中華料理店経営会社「海皇」が「あおぞら銀行」から2003年(平成15年)12月12日に約12億円の融資を受け、「飯倉ホールディングス」が第三者割当増資の引受金として約11億4680万円を当社の口座に払い込んだ形をとって「株式払込金保管証明書」を発行させた。 これを元に新株購入の払込金の入金を受けたとして、同月18日に「株式会社駿河屋」が和歌山地方法務局で資本金を5億3000万円から11億340万円に増額したと申請して法人登記を変更した。 この際に、第三者割当増資で得た資金のうち約半分を資本金の増額に当てると共に、残額を運転資金として活用すると発表した。 ところが、実際には払い込みからわずか3日後の同月15日に「海皇」の営業権の買い取り代金を名目として約5億円を「飯倉ホールディングス」に支払うと共に、それ以外の約6億5000万円を同社に貸し付けるなどの形で払込金全額を還流させた。そして、この還流を受けた資金を即日「あおぞら銀行」への返済に回しており、融資期間はわずか3日間となったが、同行は280万円の手数料を得ることになったとされている。 この結果、当社に資金が全く残らず、当社の発行済み株式の約47%に当たる新株940万株が「飯倉ホールディングス」に渡ることなった。 こうした一連の資金の流れや登記などが架空増資で「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」などに当たるとして、2004年(平成16年)11月13日に大阪府警捜査二課が当社の当時の社長岡本良晴や投資会社「飯倉ホールディングス」の上田高嗣前社長ら5人の取り調べを開始し、この5人が逮捕されることになった。 この逮捕を受けて東京証券取引所と大阪証券取引所(両市場とも現在の東京証券取引所スタンダード市場)は即日「会社の基本となる資本にかかわる事件」として監理ポストに割り当て、2005年(平成17年)1月6日の取引を最後に上場廃止となった。
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