日本でのレジャー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 06:48 UTC 版)
英語のleisureが余暇と訳されているため、第一義的には、この英語の定義は余暇の意味と同等である。余暇についての詳細は余暇を参照。 英国のleisureのきっかけが産業革命ならば、日本のレジャーにとってのそれは高度経済成長期である。産業振興の一方早くから国民の余暇活動育成への計画が練られていた。 そしてオイルショック後の昭和48年(1973年)、余暇開発センターによると『余暇時代における産業活動の社会的位置づけ』でのレジャー定義は「人間の多様な生活活動のうち自由裁量に裏づけられた活動のすべてをさす」というもので、生活基盤系生活活動(食べる、健康、着る、住む、働く)の半分弱、生活創造系生活活動(遊ぶ、学ぶ、知る、つきあう)の全て、仕事系生活活動(働く)の半分弱、財務系生活活動(納める、備える、貯める、借りる)の半分弱が自由裁量的な要素を持つ広義のレジャーであるとしている。 また、第4次国民生活審議会の答申「サービスに関する消費者保護について」では 6つのサービスのなかでレジャーサービスを筆頭にあげている。(他は運輸サービス、金融サービス、保険サービス、医療サービス、環境衛生サービス) 『人のいとなみを生活時間で分けると,生理的必要時間,労働時間,自由時間となる』とし、この自由時間での活動がレジャーに相当するものとして論を進めている。(第2部 業種別の消費者保護施策について 第1章 レジャーサービス) ここでのレジャーは英語でのleisureと同等の定義であるが、その前段で、より積極的な位置づけを提示し、第1部 サービス分野における消費者保護施策のあり方 第2章 各業種における重点課題と施策の方向で『レジャーそのものについて,それが労働時間等の残余に過ぎないという従来とかくみられた考え方を排し,人間生活の中で積極的な意義を有する自由時間であるという国民的認識を確立する必要がある。そのうえで,たとえば,自由時間の拡充,レジャーのための物的人的環境の整備,レジャー環境の破壊防止,レジャー政策のための総合調整機構の整備等,積極的な政策の展開が図られなければならない。』とし、これを施策のベースとする考え方を表明している。 この1973年の第4次国民生活審議会では『レジャーが生活のあり方を規定する重要な要素となってきた』『レジャーが国民福祉充実にとって,重要な分野を占めるようになってきた』『高福祉時代においてレジャーは人間が人間らしく生きるために,単に経済的充足にとどまらず心身ともに豊かな生活をおくるのに欠くことのできない要素となってきた』と規定している。ここでのレジャーは、『自由時間の使い方』に置き換えることができる。 またつづいて、『適正なレジャーサービスの提供があってはじめて消費者が豊かなレジャーを享受しうるとの観点に立って,事業者の提供するレジャーサービスおよびこれに関連する公共サービスについて消費者保護の見地から以下に述べる施策を講する必要がある。』 ここでは大きく、精神的緊張の緩和を求める『気晴しレジャー』と、自己の向上を目指す『創造的レジャー』とに区分し後者に重点を置く国民が増えてきていることが注目点だとしている。 国民生活センターの調査による余暇目的の重要度についてみると「身体や心を休める」についで「いろいろな知識や情報を得る」、「未知のものにふれたり新しいものを創り出したりして心を豊かにし人間性を高める」の項目が上位にある。 基本的な要因に加えて、レジャーへの関心を促がし、需要を増加させたものとして時間と所得の二つの要因があげられる。 生活価値観の変化、自由時間の増大、所得水準の向上 都市化等による社会環境の急激な変動および教育水準の向上やマスメディアの発達による情報の条件の変化に基づく価値観の変化 しかしながら、一般的に使用された余暇とレジャーは、漢字とカタカナの表現の違いから生じる印象から、その後、使用される意味範囲が異なってきた。 余暇は自由時間のことだが、レジャーは『余暇時間におこなう何かしら活動的なもの』を指すようになってきた。(レジャーのタイプを参照) 『レジャーに行く』や『レジャーをする』という表現が典型的な例としてあげられる。これは、すでに自由時間という概念を超越し、自由時間におこなう(おこなった)『遊び』や『旅行』や場合によってはより具体的な『ドライブ』や『キャンプ』や『乗馬』などという用語の置き換え表現となっている。また、レジャーと共に使用される動詞が『行く』『する』など行動をあらわすものが多いのも、レジャーがアクティブな自由時間だからである。何かをおこなうためにはお金がかかることも多い。日本でも産業振興の一環として『レジャー産業』という呼び方が官民一体で推進されたため、レジャーとはお金が要るものだという意識をもつ人も多い。 また、カタカナ言葉のもつ『おしゃれな響き』とあいまって、レジャーという言葉自体が『流行しているアクティビティをおこなう』や、『人々がしたいなあと憧れと思えるようなことをする』という意味で使用される場合がある。 早稲田大学の山口先生によれば、『それぞれの人が認識しているレジャーの概念は必ずしも一致していない。研究者、専門家、関係者においてもその認識に違いが見られる。「観光」や「リゾート」などが同様の意味をもって使用される場合もある。』とのこと。 競艇(ボートレース)の事をレジャーと称しており、レース案内の宣伝広告で「現代のレジャースポーツ」というコピーを用いたり、競艇専門のチャンネルはレジャーチャンネルという名称で運営されている。 行楽(花見やキャンプ、花火の鑑賞など)で使われる、地面に敷くマットやシートのことを、「レジャーシート」や「レジャーマット」と称して販売されている。
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