募集要綱と試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 13:43 UTC 版)
「日本競輪選手養成所」の記事における「募集要綱と試験」の解説
養成所の募集要綱では、男子・女子ともに受験資格として以下の事項が定められており、以下の条件を満たした受験者に対し、年に1回入所試験が行なわれる(2020年5月入学の119期<男子>・120期<女子>より適用)。なお、以下の各号の応募資格を有しないものは応募書類を受理しないことになっている。 日本国内に居住する者(国籍は不問)で、受験する年の4月1日時点で満17歳以上の者(年齢の上限は無し) 旧競輪学校時代では、92期までは受験時に満24歳未満という年齢制限もあったが、93期以降は年齢制限のうち上限が撤廃され満24歳以上でも受験が可能となった。 以下のいずれにも該当しないこと ア. 競輪選手として登録された者(消除者を含む) イ. 禁錮(きんこ)以上の刑に処せられた者 ウ. 自転車競技法、小型自動車競走法、競馬法、日本中央競馬会法又はモーターボート競走法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられた者 エ. 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者 オ. 反社会的勢力との関係が疑われる者 カ. 2018年度以前に旧日本競輪学校に在籍したことがある者で、日本競輪選手養成所規則第15条(旧日本競輪学校校則第18条)に定める在籍期間(最初に入所を許可され在籍する回のほか次回又は次々回まで)相当の期間を経過しない者、また前述の期間を経過した者であっても日本競輪選手養成所(旧日本競輪学校)に在籍中に懲戒により退所(退学)を命ぜられた者 キ. 2019年度以降、日本競輪選手養成所に在籍したことがある者で退所を命ぜられた者 ク.規定により明らかに試験に合格しないと思われる者 ケ.初回受験の日から8年が経過した者(2018年度以前の試験は初回受験に数えない) コ.2019年度以降に5回受験した者(2019年度以降に試験を辞退、欠席した者についても受験回数に数えるものとする) サ.タトゥー、入れ墨、アートメイクその他の身体に直接施術された物によって医療検査を受けられない可能性のある者 シ.その他上記に準ずる事実がある者 養成所となった現在は学歴不問となり中卒でも受験可能となったが、旧競輪学校時代から引き続き「満17歳以上」という下限での年齢制限は設けられているため、中卒直後に即受験することは従来通りできない。また、以下の通り第2次試験ではSPIを用いた適性検査が課されるため、学歴不問ではあるものの実質は高卒と同等程度の学力は必要である。一方で、旧競輪学校時代には無かった受験年数・受験回数に制限が加えられた。他にも、いわゆる暴力団関係者(と思しき者)や、身体にタトゥー、入れ墨を入れている者は受験できないことが明記された。また、かつては自主退所(自主退学)した者は再受験・再入所は認められなかったが、現在は上記の条件を満たせば可能となっている。 受験希望者は、受験料5,000円を指定口座に振込入金した上で、願書を養成所の公式ウェブサイトにある「応募フォーム」により電子申請するか、養成所に郵送する。なお、願書の受付期間は毎年7月上旬から8月下旬であり、参考に125期・126期では2022年7月1日午前10時から2022年8月21日午後5時までであった(郵送の場合は締切日の消印有効)。 試験内容は、男子・女子ともに基本的に同じ。試験は第1次・第2次と2回行なわれ、第1次試験の合格者のみが第2次試験を受験可能となっている。なお、実技試験における合格者の最高・最低・平均タイムも公表されており(かつては最高と平均のみ)、これが合格への目安となる。 合格発表は、男子・女子ともに毎年1月中旬の同日に行われる。なお、後述する特別選抜試験については、前年10月末までに出願した者は一般試験の発表と同時に発表されるが、それ以降に出願した者に対しては3月下旬から4月上旬にかけてのいずれかの日に行われる。 第1次試験 実技のみ。願書提出の際には、以下にある技能試験または適性試験のいずれか1つを選択する(なお、選択後の変更は認められていない)。 技能試験 - 主に自転車競技経験者が対象。自転車によるスタンディングスタートでの1000m走行時間(男子)/500m走行時間(女子)、および400mフライングスタートからの200m走行時間を、男子は小倉競輪場(北九州メディアドーム)にて、女子は養成所にて、それぞれ計測する。男女とも、技能試験において使用できる自転車であるか等を確認するため、受験日前日に前日検査(自転車)を受ける必要があり、前日検査を受けなかった者は受験できないことになっている。 男子は、1000m走行時間は1分10秒が一般的に合否のボーダーラインと言われている。参考に、119期生入所試験1次試験における1000m走行時間の平均は1分09秒83、200m走行時間タイムの平均は11秒45であった。また、競輪選手資格検定における合格ラインは、1000m走行時間が1分15秒以内、200m走行時間が12秒8以内とされている。 女子は、参考に、120期生入所試験1次試験における500m走行時間の平均は38秒99、200m走行時間の平均は12秒99であった。また、競輪選手資格検定における合格ラインは、500m走行時間が42秒以内、200m走行時間が14秒0以内とされている。 適性試験 - 自転車競技未経験者が対象。垂直跳びの跳躍高と、背筋力計による背筋力、長座体前屈による柔軟性を、養成所で計測。「団体競技も含む他競技において優秀な成績を収めた者」においては、第1次試験の免除を申請することができる。この制度を利用し、元プロ野球選手の松谷秀幸、元プロスノーボーダーの猪頭香緒里らが旧競輪学校に合格し、のち競輪選手として活躍した。旧競輪学校時代には、この規定を周知させるため、プロ野球トライアウト会場にブースを設営しトライアウト参加者に入学願書を配布するなど、より優秀な選手を獲得しようとスカウト活動にも取り組んだこともあった。 第2次試験 身体検査 - 業務規程別表第1の「身体検査合格基準」で定める検査項目。 人物考査 - 口頭試問、適性検査・作文などの筆記試験、受験態度など。口頭試問では面接で志望動機などが問われ、また適性検査ではSPIを用いた基礎学力(国語力、数学力。高卒程度の学力の内容)が問われる。養成所となって以降は『受験態度』も考査の対象となった。 実技試験(適性受験者のみ) - 養成所で、固定式自転車を用いて、6秒間の走行時の最大パワーおよび最大回転数、45秒間(男子)/30秒間(女子)の走行時の平均パワーを計測。 このほか、自転車競技ないし自転車競技以外の競技における直近3年間での世界規模の大会(JKAが認めた大会に限る)において優秀な成績を収めた者、および世界自転車競技センター(WCC)における半年以上の訓練受講者に対しては、上記の一般入試とは別枠で特別選抜入試制度が設けられており、一般入試と比べて願書受付期間が翌年3月中旬までと大幅に延長されているほか、試験内容が面接、作文程度と大幅に緩和されている。 この制度により、自転車競技で活躍した窪木一茂・近谷涼・一丸尚伍、スケート競技で活躍した植松仁・武田豊樹・牛山貴広、モーグル競技で活躍した原大智が入所(入学)している。なお、西谷岳文の場合は金メダルを獲得したのが1998年開催の長野オリンピックであり、2006年の受験時とはかなりの間があったことからこの制度での受験はできず、一般受験(適性)で合格した。このほか、世界自転車競技センターにおける訓練受講により、大森慶一、永井清史、北津留翼、柴崎淳がこの制度で旧競輪学校時代に入学した。なお、女子は募集開始(102期)以降特別選抜入試での合格者(受験者)はいない。 ほとんどの受験者は自転車競技経験者、または自転車競技未経験でも師匠(主に現役選手)の下で猛練習を積んできた者であるため、技能試験の受験者が圧倒的に多く、現状では男子・女子ともに適性試験での合格枠は基本的に毎回5名とされているが決まっているものではなく、回により前後することもある。ただ、史上最年長となる45歳でGIレース優勝を果たした松本整、「怪物」滝澤正光(現養成所所長)、「中部の帝王」山田裕仁(元年間獲得賞金額最高記録保持者)、ガールズケイリン特別競走4タイトルを制覇した小林優香、2018年 - 2020年の賞金女王児玉碧衣などは適性受験者(俗に『適性組』とも呼ばれる)であり、男女ともに養成所に入所するまで自転車競技は未経験であっても競輪界でトップレーサーに上り詰めた者も存在する。 入所時には競走で使用するピスト(ただし、男子と女子ではフレームの材質が異なる)とロード走行用のロードレーサーの2種類の自転車を用意しなければならないが、適性試験で合格した者に対しては入所前に購入に向けて別途ガイダンスが行われる。 技能試験では、かつては国体などで自転車競技(トラックレース)において優秀な成績を収めている者は第1次試験を免除する制度があったが、現在は男女ともに免除する制度はない。 適性試験では、かつて(昭和〜平成初期)は第1次試験で持久力走、100m走、立ち幅跳びなどが行われていたが、これらは鍛え方(努力)次第でタイムを縮めることができることから廃止された。
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